IMFレポート解説:暗号通貨と中央銀行の通貨がいずれ競合関係になる可能性とは

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IMFレポート解説:暗号通貨と中央銀行の通貨がいずれ競合関係になる可能性とは

暗号通貨がいずれ中銀の通貨の需要を削減する可能性

IMFが、暗号通貨に関するレポートを出しました。
レポートのタイトルは「Monetary Policy in The Digital Age」、副題として「Crypto assets may reduce demand for central bank money」となっています。直訳をすると、「デジタル世代にとっての金融の考え方、暗号通貨がいずれ中央銀行の通貨の需要を削減をする可能性」といったところでしょうか。

参考:IMFレポート|Monetary Policy in The Digital Age

IMFは、一連のレポートで、過去の金融危機へのアンチテーゼとして暗号通貨が生まれたことに触れ、今後、各中央銀行はそれぞれが発行する通貨と暗号通貨は競合関係になるだろうという見方を示しています。

一連のレポートで、IMFは各中央銀行に対し、発行する通貨をより安定したものにし、また新しい時代で求められるようになるよう警告をしています。

レポートでは、ビットコインを通貨として捉えた場合の、構造的な欠陥を3つ挙げており、デフレリスクへの対策、一時的な金融危機に対するフレキシブルな対応、貸し手としての有用性を取り上げています。一言でいえばビットコインは、『供給スケジュールが硬直的であり、金融政策ができない』ということです。

しかしIMFは、AIを用いて市場の需要から供給コントロールを将来的にできる可能性や、アルゴリズムでターゲットプライスを決めるStable coin(ステーブルコイン)などがすでに存在することも触れています。

IMFが挙げたアルゴズミック中央銀行は、DAIや、Basis protocolのことを指しているのでしょう。よく調べられている内容です。

IMFは、将来に中央銀行が暗号通貨と競争力を保っていくために、既存のフィアットカレンシー(法定通貨)をより安定したものにすることと、デジタル世代にとって使いやすいものにすべきだとしています。ビットコインをはじめとした暗号通貨は、0.1セント以下まで分割ができ、クロスボーダーでの仕様にも優位性は高い、この点も既存の中央銀行の通貨にはない利点です。

暗号通貨と中央銀行の競争は小国から顕著に

ここからは、僕の意見ですが、中央銀行と暗号通貨は競合関係になるか?と言えば、もちろんなるでしょう。特に小国の中央銀行から厳しい競争にさらされると思います。

たとえば、この記事の読者が誰かと取引をするとして、アフリカの通貨とビットコインどちらで受け取りたい?と聞かれたら、ほとんどの人はビットコインと答えると思います。アフリカの通貨を日本で換金できるところは少ないですが、ビットコインの方がまだグローバルで流通量が多く、換金性が高いです。これは将来的に、当該国の貿易にも関わります。

上記の事例で見ると、外国企業が、あなたの国の通貨ではなく、ビットコイン、またはUSドルでお願いしますというような状況です。

兼ねてより、僕は、小国の中央銀行がビットコインなどの暗号通貨をリザーブして通貨を発行したりすることはいつか来ると予測していましたが、今回のIMFのレポートが出て、そういった中央銀行が現れるのは、そんなに遠くないのではと思いました。

ただ、ここでいう競争によって、極論ですが、ある国に中央銀行が存在せず、暗号通貨だけでやり取りされるような未来は来ないと思いますし、また、そういった経済環境は望ましくもないとも思います。

指摘されているように、経済危機などに対して、対策はなにも打つことができないからで、要はバランスです。中央銀行と暗号通貨の競合関係は、小国から先に 顕著になると思いますが、より長期的な視点でみると、日本のような先進国の中央銀行も無縁ではないでしょう。

分散型のコモディティ的通貨と競合をし、それにより、既存の中央銀行がより良い金融政策の実施と、ユーザーフレンドリーな金融システムが構築されることを望んでいます。

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