インドネシアが中国、韓国に次いで仮想通貨取引禁止の最終段階に

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Bank Indonesiaイメージ

インドネシアの中央銀行であるバンクインドネシア(以下:BI)が2018年1月13日、仮想通貨の販売、購入もしくは取引を控えるよう、すべての関係者に強く求める声明を発表した。

声明は「ビットコインを含む仮想通貨は、有効な決済手段として認められず、インドネシアにおいて決済手段としての使用は禁止されるべきである」と主張している。声明は何度か触れられてきた仮想通貨の規制に関する中銀の最終見解とみられる。インドネシアはアジアでは中国、韓国に次いで、仮想通貨を正式に禁止する国に一段と近づいた。

仮想通貨によるフィンテック取引はすべて禁止済み

BIのアグス・マルトワルドヨ総裁は同日、今回の禁止措置の決定の背景について、以下のように厳しく説明した。

「仮想通貨の所有者は、大きなリスクを負い、投機的である。公的な管理者はなく、仮想通貨価格の基礎となる原資産もないので、取引価格は非常にボラタイルである」

「仮想通貨はリスクテイクバブルを受けやすく、マネーロンダリングやテロの資金調達手段になりやすい。金融システムの安定性に影響を与え、国民に害を及ぼす可能性がある」

インドネシアではすでに、決済システム・サービスプロバイダーと銀行および機関銀行によるフィンテック(FinTech)技術プロバイダーが、仮想通貨による決済取引処理を行うことを禁止していた。しかしこれは、仮想通貨そのものの取引を禁止するものではなかった。

ジャカルタでのISテロ事件が規制強化のきっかけ

インドネシアは、仮想通貨が急騰した特に2017年以来、何らかの規制が必要であるとの見解を繰り返し示してきた。BIはビットコイン取引による損害に一切責任を負わない姿勢を取り続け、商店に対してビットコインによる決済を受け入れないよう繰り返し警告してきた。

インドネシアはここまで、決済システムプロバイダーが、仮想通貨を使って取引を行うことを監視下に置く、従来の規制措置を踏襲してきたが、94万人以上の会員を擁す最大手取引所PT Bitcoin Indonesiaは今のところ、通常通り営業している。

国民の圧倒的多数がイスラム教徒であるように、インドネシアは東南アジアで数少ないイスラム国の1つである。同国は数年前から仮想通貨に比較的批判的な目を注いできたが、厳格なイスラム国ほど厳しい対策は取ってこなかった。

インドネシアは、マネーロンダリングなどを監視するため、2002年に金融取引報告分析センター(PPATK)設立した。PPATKは、2016年にジャカルタで起きたテロ事件の主犯、イスラム国(IS)のバフルン・ナイムらテロリストが、テロリスト間の送金に仮想通貨を使っていたとの結論に達した。インドネシアはそれ以来、テロリストの資金調達手段に仮想通貨が使われていると特に警戒を強めていた。

次は中東のイスラム諸国の対応

2017年まで、ビットコインを中心とする仮想通貨の価格上昇に一役担ってきたアジアだが、中国、韓国に次ぎインドネシアでも取引禁止になれば、周辺諸国に少なからぬ影響を与えそうだ。マレーシアはインドネシア同様、イスラム教徒が多く、仮想通貨の取引にはどちらかと言えば消極的だ。シンガポールも国民の過剰な反応には警戒心を強めている。

一方、アジアとは対照的に、南アフリカ、スーダン、ケニアなどアフリカ諸国は、仮想通貨ブームに沸いている。仮想通貨の規制をめぐる次の焦点は、イスラム教義に反することを理由に、禁止措置を取りつつあるエジプトなど、中東イスラム諸国の対応ではなかろうか。併せてロシア、さらには欧州の主要国の動きを注視すれば、仮想通貨の全体的な動向が見えてくる。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考:
Bank Indonesia
Bloomberg
CoinDesk