資金調達手段としてメジャーになったIEO、その市場規模と状況とは?

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資金調達手段としてメジャーになったIEO、その市場規模と状況とは?

取引所によるオファリングであるIEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)は、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)に代わる新しい資金調達の形式として浸透したと言って良いでしょう。

IEOプロジェクトは自身でICOのスマートコントラクトを書いてオファリングするのではなく、取引所のアカウントを経由してトークンを購入し、その後、数週間以内に同取引所内で取引も開始されるというものです。2019年初めにバイナンス(Binance)がこのスキームを始めて、その後、OKExやHuobi、Kucoinなどさまざまな取引所が同手法を真似ています。このIEOという形式がポピュラーになって半年が経過しましたが、今の状況を概観してみましょう。

IEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)市場の概観

まず簡単にIEO市場の概観を行います。Bitmex Researchが主要なIEOのディールをまとめた図を作成していたので、これを引用します。

IEOディールまとめ
出典:Bitmex Research

この図によると、Binanceをはじめとした取引所のIEOトークンは、IEO時点の価格に対して高いリターンを出していることが分かります。また、各IEOごとに調達金額は多くても500万ドル(約5億3,000万円)程度で、ほとんどが300万ドル以下にとどまります。これは1,000万ドル(約10億円)以上調達することも珍しくない従来のICOや、VC投資と比べて非常に小粒であることが分かります。

また、Circle Researchによると、2019Q2だけで14億ドルがIEOで資金調達されています。

IEOの資金調達状況
出典:Circle Research

同じくCircle Researchは、トップのIEOプロジェクトは大きな投資リターンを提供したものの、中央値では-40%のリターンになっていることを指摘しています。

IEOに関する指摘図
出典:Circle Research

中央地ではマイナスに転じているということは、Binanceなどの取引所の優良なIEOプロジェクト以外では、マイナスなパフォーマンスも多いということが考えられます。IEO参加者としては、参加するIEOプロジェクト吟味することが求められています。

IEOを取り巻く各プレーヤーのメリット

なぜIEOがこれだけ一般的になったのか、取引所と調達したいプロジェクトが組むことによるメリットを各プレーヤーからの視点で整理をします。

①プロジェクト側
取引所が既にある程度のユーザーベースを持っているため、ICOの開始を露出しやすい。またKYC(本人確認)は取引所が既に行っているので、プロジェクトチームが担う必要がない。

②取引所
昨今は取引所の競争環境も厳しく、経営存続のために新しいキャッシュフローが必要な場合が多く、プライマリーは新しい売上に繋がる。

③ユーザー
トークンを購入したらすぐに上場をすることが分かっているので、投機層も含め買うハードルが下がる。また、新規でKYCを行う必要もなく簡単である。

このようなメリットが有る限りは、IEOは引き続きポピュラーな調達手法として存在し続けるでしょう。また、IEOについて、その利益構造をより深く解説したレポートを下記でも配信しています。興味ある方は是非閲覧ください。

参考:IEOの構造を理解する。IEOのビジネスモデルや市場構造の深堀り

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