米国への投資増目立つ、アジアに台頭するブロックチェーン・スタートアップ企業

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米国への投資増目立つ、アジアに台頭するブロックチェーン・スタートアップ企業

ブロックチェーン技術と仮想通貨関連のスタートアップ企業がこのところ、アジアで急速に進展している。これら業界のイノベーションが、経済に新風を吹き込み、フィンテックのグローバルリーダーになろうと意気込むアジア諸国を駆り立てている。

ブロックチェーン技術開発に国を挙げて支援

イーサリアムの創設者ヴィタリク・ブテリン氏が「クリプト議員」と呼ぶ台湾のジェイソン・スー議員は、経済成長にブロックチェーンと仮想通貨を利用することに積極的であり、台湾をブロックチェーンアイランドにするため2017年12月、「Financial Technology Experimentation and Innovation Act(金融技術実験・革新法)」を成立させた。

タイは最近になって、ブロックチェーン技術の開発で国を挙げて支援する動きを見せ、ICOや仮想通貨取引所の認可など広い分野で規制の緩和を率先して実行している。

仮想通貨やブロックチェーンに国家統制を強化する中国を除き、アジア諸国は日本、韓国、シンガポール、インドは言うまでもなく、ほとんどの国が研究・開発に熱を入れている。その結果アジアでは、これらスタートアップ企業が知的な求職者を受け入れる機運が高まり続けている。

仮想通貨・ブロックチェーン技術関連の求人数が2017年以来50%増

英スペシャリスト人材会社ロバート・ウォルターズ (Robert Walters)はこのほど、2017年以来、仮想通貨とブロックチェーン技術関連の求人数がアジアで50%増を示しているとの調査結果を公表した。同社によると、これら企業は特に汎用のプログラミング言語Python(パイソン)に精通した人材を求めているという。求職検索サイトの情報では、インド、シンガポール、マレーシアなどの求職者が、この分野に特に大きな関心を示しているという。

アジアでこのような状況を生んだ理由はいくつかある。

アジア特に東南アジアは、ほかの地域とは異なり暗号・ブロックチェーン技術で利益を上げやすい環境にある。東南アジアは出稼ぎからの本国送金が年間1280億ドル(約14兆円)という大きな市場である。出稼ぎからの送金はその国の経済や家族の生活の重要な一端を担っている。ブロックチェーン技術の進歩は、金融界を変革するとの期待が東南アジア諸国の企業内に広がっている。

例えばインドは、ブロックチェーンに目を向け、テランガーナ州では初のブロックチェーン開発特別区が誕生した。香港では最近、初の人材リストが公表された。これは付加価値が高く多様性のある経済のため、香港を支援する諸外国の人材リストであり、すでに11の専門家が候補に挙がっている。その専門分野は人工知能(AI)、ロボット、分散型台帳技術(ブロックチェーン)、バイオメトリクスだという。

アジアの投資家による世界ベンチャー資金調達の40%を占める

アジアの投資家あるいはスタートアップ企業は、米国の技術市場に目を向けている。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アジアの投資家は、世界のベンチャー資金調達の約40%を占めている。10年前の5%と比較すると大幅な増加である。シードラウンドによる資金調達を必要とする仮想通貨、ブロックチェーン技術の台頭がその理由である。特に米国のこれらスタートアップ企業は、資金源としてシリコンバレーからアジアに依存するようになったのが目立っている。

仮想通貨デリバティブのBitmexは、背景にはアジアの仮想通貨エコシステムが成熟したことだと分析している。LinkedInの元CTOで共同創業者のエリック・リー(Eric Ly)氏によると、世界のブロックチェーン産業におけるアジアの重要性は、過度に強調しすぎることはないと次のように述べている。

「(アジアで)現在進行している関心と活動の観点からして、特にクリプトワールドにおいては軽々に片付けるべきではない地域となっている」

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

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参考
Bitcoinist(1)
Bitcoinist(2)