国家主導の仮想通貨発行を9月にも決定か?イランが米国制裁回避進める

4591

編集部ピックアップ

国家主導の仮想通貨発行を9月にも決定か?イランが米国制裁回避進める

米国との関係が最悪の状態になっているイランは、米国の制裁を回避するため、仮想通貨の全面禁止を解除し、新たな規制の枠組みを作成して国家主導の仮想通貨を発行する方向に向かっている。これらの動きはすべて9月にも正式に発表されると、現地メディアはイラン当局者の発言を引用して伝えている。

仮想通貨全面禁止を解除し9月中に国家主導仮想通貨発行プロジェクト発表へ

イラン中央銀行(以下:CBI)当局者によると、金融規制当局者は全面的な仮想通貨禁止措置の見直しを進めており、9月末までに仮想通貨に関連する新たな規制手段を決定するだろうという。CBIの革新技術部門次席担当のナセル・ハキム氏は先日、9月中にも仮想通貨禁止を全面的に解除するだろうと述べた。仮想通貨の全面禁止は、2018年4月22日、特にマネーロンダリング(資金洗浄)と金融テロに対応する措置として発表された。

イランの日刊紙フィナンシャル・トリビューンは8月25日、仮想通貨に関する新たな政策は、ハッサン・ロウハニ大統領の指導の下で進められていると伝えた。同紙はまた、国家サイバースペースセンター(National Cyberspace Center)が、国家主導の仮想通貨プロジェクト原案がまとまったことを明らかにした。

ハキム氏はまた、国家主導の仮想通貨の開発状況に触れて、「国家が発行する仮想通貨は、世界でまだ成功かどうか実証されていないが、イランの経済官僚は重視している。中央銀行のシステム関連企業インフォマティクス・サービス・コーポレーション(ISC)はすでに、国家主導の仮想通貨発行のテストを完了しており、関係省庁も協力している」と語った。

イラン大統領府当局者も仮想通貨発行は米国経済制裁の迂回と認める

一方イラン国営Press TVによると、イラン大統領府の科学技術問題担当局すでに、国家主導の仮想通貨発行計画の存在を認めている。アリゼラ・ダリリ同局次長、ISNA(イラン学生通信)に対して、「われわれは、イラン国内で国産のデジタル通貨を使用する準備を整えようとしている」と語った。同氏はさらに、イランの多くのハイテク企業はCBIと協力して、デジタル通貨を開発するスキルを持っていると語った。同氏は「仮想通貨は世界のどこからでも送金可能で、(米国からの)制裁を受けた時にもわれわれを助けてくれるだろう」とコメントした。 

イランはデジタル通貨草案を監督するサイバースペース最高協議会(SCC、Supreme Cyberspace Council)のサイード・マディユーン副議長もまた「イラン中央銀行は9月末までに、ビットコインやイーサリアムを含む仮想通貨の使用について立場を明確にする可能性がある」ことを認めている。

米国との対立が始まった5月以来国家主導の仮想通貨発行の準備始まる

米国との決定的な対立が伝わり始めた5月以来、イラン国民は仮想通貨の全面禁止にもかかわらず、積極的に取り入れていれる動きが目立った。5月10日のForbesの報道によれば、イランの市民がビットコインやほかの仮想通貨を使って、25億ドルを国外に送金した。イランは現在、8月以降に米ドルの獲得から完全に締め出されることを含め、難題を回避するためにブロックチェーン技術に頼ろうとしているようにみえる。

国家主導の仮想通貨は、イラン中央銀行の管理下で供給される。金融・クリプトメディアIBENAによると、イラン中央銀行が発行する仮想通貨は法定通貨リアル(IRR)に裏付けされるデジタルリアルであり、Linux Foundationが主導するオープンソースのHyperledger Fabric技術によって開発されるという。

中央銀行のシステム関連企業Informatics Services Corporations(ISC)によると、イランのデジタルリアルが中央銀行の管理下で供給されるということは、ビットコインのような分散型な暗号通貨と異なり、マイニング(採掘)できず、取引記録はプライベートブロックチェーンによってのみアクセスできることになる。

イランは果たして、今年2月に世界初となる国家主導の仮想通貨「Petro(ペトロ)」を導入したベネズエラに次いで、国家主導の仮想通貨の発行を強いられることになるのだろうか?

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

関連
仮想通貨の導入でアメリカの経済制裁回避を検討するイラン政府(2018/7/18)
ベネズエラ仮想通貨Petro(ペトロ)、投資家から30億ドルを調達。(2018/3/5)

参考
Bitcoin.com
Btcihowtoinvest