イラン政府「仮想通貨の試験的発行準備整う」と通信情報技術(ICT)大臣が確認

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イラン政府「独自仮想通貨の試験的発行準備整う」と通信情報技術(ICT)大臣が確認

イランのモハンマド・ジャワド・アザリ・ジャフロミ通信・情報技術大臣はこのほど、国内独自の仮想通貨発行プロジェクトを開始する用意が整ったことを明らかにした。イラン・イスラム共和国中央銀行(CBI、以下イラン中銀)はその数日前、銀行による仮想通貨取引の禁止を通知したばかりである。

ジャフロミ通信・情報技術大臣は2018年4月下旬、イラン国営通信社IRNAに答えて、「中銀の取引禁止は、国内開発でデジタル通貨の利用を禁止もしくは制限することを意味するものではない。すでに先週のプロジェクト進行に関する合同会議で、(仮想通貨発行の)試験的モデルは準備完了していることが発表されている」と語った。

イランの国営銀行、情報通信技術研究所などの合作プロジェクト

ジャフロミ通信・情報技術大臣は2月に、ブロックチェーンベースの官製仮想通貨開発に向けて努力していることを初めて明らかにした。官製の仮想通貨発行イニシアチブは、テヘランに所在する国営銀行ポスト・バンク・オブ・イランによって開発指導されている。プロジェクトは、表向き国内の金融市場における取引のスピードアップが目的だとされている。

新しい官製仮想通貨は、通信・情報技術省の情報通信技術(ICT)研究所、イラン中銀のMonetary and Banking Research Instituteおよびポスト・バンク・オブ・イランによるジョイントベンチャーである。

同相は当時(2018年2月21日)、Twitter上で次のように書き込んでいた。

「ブロックチェーンに基づくデジタル通貨に関するポスト・バンク・オブ・イラン取締役会で、イラン初となるデジタル通貨の試験的実装に必要な措置が、イランのエリート層によって始まったことが確認された。試験的モデルは、イランの金融システムに対して検討・承認のため提出される」

官製仮想通貨発行は米国の制裁への反撃?

官製仮想通貨開発プロジェクトの詳細は不明だが、2月~5月初めの間に、試験的モデルは完成済みとみて間違いない。4月頃は米国主導の金融制裁が再発効するのではないかとの恐れもあって、イランの不換紙幣リアルの価値が急落した事態に発展したことがある。さらにトランプ米大統領が、イランとの核合意を5月12日に放棄するのではないかという恐れもあり、イランの官製仮想通貨発行の動きは、制裁に対する反撃であるとの見方もある。

一方、イラン中銀は4月下旬、ビットコイン(BTC)、ライトコイン(LTC)、イーサリアム(ETH)など外国の仮想通貨取引を禁止すると発表した。

イスラム法典「シャリーア」はトークンの実質価値の裏付けを求める

4月初めには、インド、パキスタンが仮想通貨の銀行取引を禁止したと報じられているが、これらの禁止発表はイランの動きとは関係はないようだ。ジャフロミ通信情報技術大臣はコメントを発表し、イラン中銀の今回の禁止措置は、フィンテク利用状態のすべてに反対するものではなく、国家主導の取引用コイン(仮想通貨)は含まれないと語った。

イランの新しい官製仮想通貨の実現に向けては、いくつかの懸念がある。イスラム法典「シャリーア(Sharia)」によると、マネーは実質価値を持つか何らかの裏付けがなくてならない。イランが発行するトークンは、金の裏付けがあるマレーシア・コイン、あるいは原油の裏付けがあるベネズエラのトークン「Petro(ペトロ)」のように、何らかの資産の裏付けによって支えられるのだろうか?

イランの官製仮想通貨発行は、ベネズエラのトークン「Petro」がそうだったように、米国(と言うより)、トランプ大統領の制裁と関係があるとすれば、発行後の成り行きは国際政情にも影響するかもしれず、深刻な問題に発展しかねない。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考:CCN