仮想通貨はイスラム法の壁を超えて総人口17億のイスラム教国に拡散するのか?

編集部ピックアップ

仮想通貨はイスラム法の壁を超えて総人口17億のイスラム教国に拡散するのか?

仮想通貨は、イスラム教義「シャリーア(Shariah)」に反しないという研究報告書が公表されて話題になっています。もしかしたら、この研究がきっかけになって、世界人口のほぼ4分の1を占める約17億人のイスラム教徒(教国)が、教義に裏付けられて、仮想通貨取引を認める日が近づいているのではないかと考えられます。

仮想通貨市場にとって、市場を一挙に広げる意味でまさにバラ色の話です。私は「シャリーア法に反しない」という内容の報告書に興味を抱きました。インドネシアのマイクロファイナンス会社 Blossom Financeは、22ページの報告書の中で、「ビットコインは、政府が禁止する国を除き、イスラム通貨として合法である」と結論付けています。

ビットコインはイスラム教義に照らして「許される」か「禁じられる」かの二者択一

ビットコインは、シャリーアに照らして「haral(許される)」か「haram(禁じられる)」の対象です。イスラム圏の銀行は、利益分配、損失負担、賃貸、富の保管などの適用に、シャリーア適格金融(shariah compliant)政策に基づく独自のルールを適用しています。例えば、利子の授受、投機的取引、不確実な取引、禁忌(haram)的取引などはおおむね禁じられます。

Blossom Finance創業者のマシュー・マーティン氏は、海外情報メディアBitcoin.comの質問に答えて、「シャリーア教義は、単なるルールの集まりではない。さまざまな問題について異なる解釈、意見を対象とする学術的分野である。著名なイスラム聖職者による最近のfatawah(さまざまな法律上の見解)は、不完全もしくは矛盾している。この混乱のさなかにあって、われわれは初心者や経験者双方に役立つ、確かな研究に基づく明白なガイダンスを提供したい」と語っています。

マーティン氏によると、ビットコインは「慣習貨幣」であり、国家の法律はシャリーアに優先するため、イスラム貨幣として適格になります。例えばドイツは2018年4月初め、ビットコインを支払い通貨として認めましたので、国内ではイスラム貨幣としても適格となります。他方インドネシアは2018年1月、国内のすべての決済はインドネシア・ルピアとするとの政府指針を発布しました。同氏は「これはビットコイン禁止を意味するものではない。金、銀、主要外貨と同様に、インドネシア国内でビットコインを売り買いすることは合法である」と説明しています。

イスラム学者ムハマッド・アブバカル氏らが執筆したこの報告書は、ブロックチェーン技術について、過剰な不確実性を減らすというシャリーアの精神と極めて相似していると強調しています。

報告書はしかし、「ICOは極めて不確実で、勧められない」としています。その理由は、シャリーアの主要な目的の1つが富の保全であり、個人は失いたい以上のお金を投資してはならないとしているからでしょう。「ICOの多くは、余りにも不確実でありイスラム教義の認める投資として適格ではない」とのことです。

イスラム教国はエジプトなど一部を除き官製仮想通貨の発行を目指す

アラブ首長国連邦(UAE)やインドネシアなど一部のイスラム教国は、仮想通貨の取引をほぼ認めています。UAEのドバイは最も開放的で、2017年10月には独自のデジタル通貨「emCash」の発行を発表、公共料金やショッピングの支払いに供します。

サウジアラビアもすでに行われている仮想通貨の取引を静観しており、電力会社ACWAパワーはSolarCoin(ソーラーコイン)を発行する計画です。イラン、トルコなどでも、混乱を避けるため国が独自の仮想通貨を発行する動きを見せています。

一方、エジプトなど一部の国は、仮想通貨取引を厳格に禁じています。しかし、シャリーアと仮想通貨の解釈が進めば、イスラム教国が仮想通貨市場の自由化に足並みをそろえても不思議ではないと、私は考えています。

参考
Bitcoin.com
公益財団法人 国際通貨研究所による資料

関連:アラブ首長国連邦が2021年技術戦略発表:政府取引50%はブロックチェーン決済へ

編集部ピックアップ

マルチシグ管理の安心・安全ウォレット