ここ最近、韓国の取引所であるCoinrail(コインレール)とBithumb(ビッサム)では、立て続けにハッキング事件が起こりました。事件の詳細については↓の記事をご覧ください。
関連①:44億円相当の仮想通貨が流出!韓国取引所コインレール(Coinrail)でハッキング被害が発生
関連②:韓国大手取引所Bithumb(ビッサム)が35億円相当の仮想通貨ハッキング被害
当然、取引所のハッキング被害は、ビットコイン(BTC)の価格の大きな下落要因になります。事実、Coinrail(コインレール)がハッキングされた6月10日を起点にビットコイン(BTC)が下落していることがわかります。しかし、Bithumb(ビッサム)の事件が起きた6月20日付近では↓のチャートを見る限り、大きな価格下落が起きていません(わずかに下落していますが)。Bithumbは、韓国最大の取引所であり、市場に与える影響はCoinrailに比べて大きいという前提があるにも関わらずです。
この記事では、なぜCoinrailのハッキング事件では、ビットコイン(BTC)価格が大きく下落したにも関わらず、Bithumbのハッキング事件では、相場への下落影響が少なかったのかを考察します。
結論を単刀直入に云うと、Coinrail(コインレール)とBithumb(ビッサム)では、
ハッキング被害への対応速度と対応策の透明性に雲泥の差があったから
です。
Coinrail(コインレール)のハッキングが起きた直後の対応速度は遅く、補償や復旧に関する発表は未だに不透明なままです。これに対して、Bithumb(ビッサム)は、ハッキングが起きてニュースに報道されると、即座に対策を発表しました。
[Jun 20th Incident Report]
We would like to share with you the events that took place on June 20, 2018 and the steps we're taking to ensure that your asset is safe and secure with Bithumb.— Bithumb (@BithumbOfficial) 2018年6月21日
[お知らせ]進行状況の報告と今後の計画案内(原文は韓国語)によれば、Bithumb(ビッサム)は次の4つの対策を行なったと述べられています。
- コールドウォレットへの移動措置
- 資本金の公開と全額充当の確約
- 入出金サービス再開の見通し発表
- 他機関との共同による原因救命措置
とくに、コールドウォレットへの移行と全額充当の確約を速やかに発表したことは、事後対策として非常に懸命な行動であったように思います。これによって、多くの投資家を安心させることに成功して、相場が大きく下落することを防いだのだと推察することができます。
五月雨(筆者)の考察と結論を述べます。恐らく今後も取引所のハッキング被害はいくつも発生すると予測できます。ただ、それを前提とするならば、大事なことはこの記事で述べた「ハッキング被害への対応速度と対応策の透明性」が鍵を握ります。それにより、相場に与える影響や取引所の評価を大きく左右します。
ハッキングを防げなかったことは、Bithumb(ビッサム)の落ち度ではありますが、その「事後対策」には見習うべきポイントがあるように思います。すべての取引所は今回の事件を教訓にすべきではないでしょうか。もし取引所の関係者の方がいましたら、本記事の内容を参考にしていただけると幸いです。
参考
・Bitcoinist
・NEWSBTC