ビットコイン(BTC)のスマート紙幣「Tangem Notes」とは?

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ビットコイン(BTC)のスマート紙幣「Tangem Notes」とは?

シンガポールのショッピングモールにこのほど、初めてとなる試験的な「スマート紙幣(smart banknote)」が出現した。銀行券(紙幣)を使って簡単に、仮想通貨の取得、所有と流通を狙ったもので、テスト販売されたスマート紙幣は、0.01BTC(時価約1万円)、0.05BTC(同5万円)の額面で流通する。

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このスマート紙幣の発行元は、スイスの仮想通貨ハブ都市ツークに本社があり、シンガポールのほか香港、中国本土、モスクワにオフィスを持つTangem(タンジェム)社。同社はブロックチェーン技術アプリの開発企業であり、2018年5月3日、シンガポールのメガファッシュ・サンテックシティ店でスマート紙幣「Tangem Notes」をリリースした。

ビットコイン(BTC)のスマート紙幣「Tangem Notes」とは?出典:https://tangem.com/

紙幣は秘密鍵とウォレットをまるごと譲渡するだけで移転完了

同社は発表に当たり、「Tangem Notesは、高度利用あるいは初心者のユーザーが、仮想通貨を容易かつ安全に取得、所有、流通させる機能を劇的に向上する」という。この銀行券について同社は、「特別なインフラも、複雑なアプリもなく、NFC(近接型RFID規格)機能付きスマートフォンで銀行券に触れるだけで、有効な資産として100%保証付き」と説明している。

同社はスマート紙幣の使い方について、銀行券の移転は、現金と同様に手渡しで、相手に直接ウォレットを瞬時かつ匿名で譲渡する形で行われると説明している。同社によると、その銀行券はチップ上にビットコインの価値を記憶しており、「ブロックチェーンのプライベートキーとともにウォレット全体を物理的に譲渡するだけ。取引手数料はゼロ、ブロックチェーンの確認の待ち時間なし」という。紙幣は高度セキュリティ機能のCommon Criteria EAL6+とEMVCoの基準に準拠する。

銀行券の中に埋め込まれたハードウェアは、サムスン電子製のS3D350Aチップで、ハードウェアとソフトウェアに対する既知のあらゆる攻撃経路(アタックベクトル)にも対応する。付随するコールドウォレットは、コピーできない。このスマート紙幣の製作コストは2ドルで、すでに数百万枚を製作済みだという。

ビットコイン(BTC)のスマート紙幣「Tangem Notes」とは?出典:https://tangem.com/

同社は記者発表で、「シンガポールで事業を先行したため、世界の有望なパートナーや流通業者向けに、まず1万枚の銀行券を商用試験用として出荷する」と述べている。

似たような構想の唯一先行企業Opendimeは、USBサムドライブ(Thumb Drive)にビットコインを埋め込んだようなもので、何とも味気ない。共通点があるとすれば、物理的に手渡しできる点かもしれない。

スイスとシンガポールの共通項を生かした「スマート紙幣」事業

シンガポールは、アジアの中でもブロックチェーン開発や仮想通貨の中心地として知られる。日本のFintech協会は3月13日、Singapore Fintech Association(SFA)と相互支援の覚書を交わし、フィンテックのイノベーションと発展のための共同プロジェクトに取り組む。シンガポールは特にブロックチェーン技術の開発に熱心であり、シンガポールの中央銀行である金融管理局(MAS)は、例えば国際決済にブロックチェーンを利用する研究・開発を進めている。

一方、スイスは米国のシリコンバレーを想定して、ツークを中心にクリプトバレー(Crypto Valley)と呼ばれる仮想通貨天国を開発中で、ビットコインATMの配備や規制緩和に積極的である。スイス金融市場監査局(FINMA)は、ICOを合法化する比較的緩やかなガイドラインを作成している。

シンガポールとスイスは、どちらも金融センターとして発展している共通点がり、ブロックチェーンの基づくフィンテック(Fintech)の開発に熱心である。Tangemがシンガポールを拠点として、スマート紙幣の普及に目を付けたのはうなずける。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

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参考:Bitcoin.comCCNビットコインリアルタイムレート