ニューヨークが独自の仮想通貨とブロックチェーン決済普及を目指す

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ニューヨークが独自の仮想通貨とブロックチェーン決済普及を目指す!?

暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術を比較的冷たく扱ってきた米ニューヨーク州(以下:NY州)が2020年を迎えて、突然独自の仮想通貨決済システムを運用する計画を明らかにしました。この全く逆転的な姿勢の転換の裏に何があるのか、関心を示すのはニューヨーク市民だけではありません。

悪名高いビットライセンス法で仮想通貨業務を規制

NY州はこれまで、州政府の姿勢として仮想通貨やブロックチェーン技術を冷淡に扱ってきたことで、その過剰な政策が広く批判されてきました。同州政府は5年前の2015年8月、「BitLicenses(ビットライセンス)」を州法で施行しました。これはウォールストリート金融街を抱える同州金融サービス局(NYDFS)が発行する免許制度であり、仮想通貨の両替サービスやウォレットなど決済サービス、仮想通貨の運用や管理にライセンスを発行する法令です。

NY州当局はライセンスを取得しようとするスタートアップ企業に高額の手数料を課し、例えば人気の取引所であるクラーケン(Kraken)はかつて、進出を諦めて二度とニューヨークで事業を始めないと公言したことさえあります。

NY州内で通用する独自の仮想通貨を発行する動き

ところが最近、NY州はもっと大きな計画を持っているのではないかという政策が発表されました。それは州内 から仮想通貨やブロックチェーン企業をライセンスの発行で規模しく制限する代わりに、州内で通用する独自のデジタル通貨を最終的発行する計画です。同州は恐らく、中国独自のデジタル人民元(CBDC)の発行計画を手本にしているのではないかとも解釈されています。

NY州規制当局者によると、州内には銀行サービスを受けられない人口が多く、クレジットの利用が普及していません。NYDFSは真剣に、独自の仮想通貨を発行する計画を進めているというのです。また州議会の上院議員とコーネル大学のロバート・ホケット(Robert Hockett)法学教授が提案した「Inclusive Value Ledger(IVL)」プロジェクトは、P2P決済の普及を目指します。

州内で友人同士が銀行を利用しなくても、気軽に小額のマネーを貸し借りできるほか、広く商品購入の決済手段になります。

州政府管理のウォレットによる州民向けP2P送金アプリIVL開発か?

このバンキングシステムを利用するニューヨーカーはすべて、自分のデジタルウォレットを保持し、州議会の表現によると「マスターウォレット(Master Wallet)」と呼ぶ一元管理できる元ウォレットと接続されます。このマスターウォレットは、州政府によって管理され、送金手数料がなく、利用する人々の決済処理をスピードアップすることができるので、標準的な銀行サービス同様の恩恵を受けることができます。

州議会のロン・キム(Ron Kim)議員は「IVLサービスの提案は、真の革命となる可能性を秘めている。無料の公共貯金手段(ウォレット)と決済プラットフォームは、すべてのニューヨーカーが、商品やサービス支払いにとどまらず、1対1の直接送金にも利用することができる」と説明しています。

参考
New York Is Looking to Release Its Own Blockchain Payment System
New York Could Launch Own Cryptocurrency, Blockchain Banking: How Will It Work?

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長瀬雄壱
フリージャーナリスト、大手マスコミのOB記者。在職中は社会部、科学部、外信部で記者活動を行なう。特に外信部では、10年余り海外特派員(3カ国)を務め、国際関係、政治、経済、社会、戦争取材など、あらゆる分野で記者活動を続けた。翻訳業務経歴は約50年あり、今でも海外ニュースを深くモニターしている。