伊藤穰一スケーリングビットコイン

伊藤穣一氏は最近のICO(イニシャル・コイン・オファリング)の過熱ぶりについて言及し、手軽な資金調達方法として広まってしまったICOについて苦言を呈している。

スタンフォード大学で2日間に渡って行われているビットコイン開発者向けのイベント「スケーリングビットコイン」2日目はMITメディアラボでディレクターを務める伊藤氏のキーノートから始まった。

ICOはスタートアップが仮想通貨のトークン(コイン)を販売して資金を調達し、その後プロダクトの開発を進めるものとして広まっている。短時間で何十億もの資金を集めるプロジェクトが続出し、ICOへの注目が高まった。

トークンを買った投資家はその価格が今後上昇することを期待して購入、トークンが仮想通貨取引所に上場すればICOで安く買ったトークンを売って利益を得ようと考える。

しかし、実際はプロジェクト側も自分たちが作ろうとするプロダクトの価値以上の金額を集めてしまっているであろうケースが多数見受けられ、中には詐欺まがいのものまで紛れ込んでいる。

伊藤穣一スケーリングビットコイン

伊藤氏はスピーチの後半でICOの問題についてとりあげ、そもそもビットコインをはじめとする仮想通貨のコンセプトは既得権益を持つ金融機関が一般の人々からお金を搾取できないようにするはずだったはずなのに、ICOは何も理解していない人からお金を取るシステムになりつつあると指摘した。

伊藤氏は「仮に悪いことができない設計であったとしてもICOに関わりたくない理由は、本来投資してもらうべきでない人々の興味も引いてしまうからだ」と話す。

投機による影響についてインターネットバブルを次のように振り返る。

企業のCEOにとって株価が過剰に評価されてしまうのは大きな懸念だった。自分たちの実態以上の価格がついてしまうと後から失望されるのは免れない。投機が過熱してしまうと自分たちについた数字に見合うように嘘やごまかしで取り繕わなければならなくなってしまう。

このスピーチはビットコイン技術者向けのもので、ICOについては何を実現しようとしているのかに立ち返り、よりフェアな仕組みを作れるよう励ますものだったが、ICOの参加や実施を考えている人にとっても改めて状況を考えさせられる内容だ。