新型コロナウイルス対応でデジタル決済や規制改革進む

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新型コロナウイルス対応でデジタル決済や規制改革進む 

新型コロナウイルスのパンデミックが、暗号資産(仮想通貨)コミュニティーに予想以上のプラスの影響を与え、デジタル決済の成長やフィンテックの規制改革を加速しているとの調査結果が出ました。10月28日に公表された世界銀行とケンブリッジ代替金融センター(CCAF)が実施した共同研究は、規制当局者や中央銀行がデジタル通貨時代に備えるための一環として実施されました。

72%がデジタルエコシステム活動を強化もしくは開始

共同研究は、世界の114の国にまたがる118の中央銀行と金融規制当を対象に実施されました。その結果、パンデミック発生後の金融規制に関連して、回答者の72%が「デジタルエコシステム活動を強化もしくは開始した」と回答、その内58%が「レグテックとスプテック」政策を中心的課題として重視していることが分かりました。

レグテックとスプテックはそれぞれレギュラトリー・テクノロジー(Regulatory Technology)とスーパーヴァイザリー・テクノロジー(Supervisory Technology)の略語であり、規制と監督に新しい情報技術(IT)を応用するテクノロジーのことです。レグテックは規制を受ける金融機関が規制報告(コンプライアンス)をサポートする革新的技術のこと、またスプテックは規制当局の規整業務を支援する革新的技術のことです。

規制当局者の政策決定処理の中心は、特に仮想通貨など新興市場など不安定なフィンテック環境に関連するのリスクの問題です。共同研究の回答者は、デジタルエコシステムの最大の脅威としてサイバーセキュリティの問題を挙げ、次いで運用上のリスク、消費者保護、詐欺的活動などを指摘しています。

デジタル決済は特に発展途上国で採用進む

同報告書では、デジタル決済について総じて採用が進んでいるとしながらも、先進国と発展途上国の間に差のあることを指摘しています。新興国・途上国(EMDEs)は最近、フィンテクの加速・導入に積極的です。EMDEsによるデジタルエコシステム支援活動は、送金と決済に向けられ、手数料の免除や新型コロナウイルスの影響を弱めるために取引の方法を変える動きが目立ちます。

調査結果によると、デジタル決済は全体として約60%伸びたのに対して、仮想通貨取引所の活動はわずかに3%の伸びにとどまっています。しかも、仮想通貨取引所の成長に明白な相違があり、取引所の利用の伸びは先進国の6%に対して、途上国は2%増にとどまっています。

パンデミックが動機でCBDCの研究・開発への関心高まる

共同研究は世界のデジタル決済ネットワークの現状を詳しく調査し、CBDCの研究・開発への関心が同時に高まっていることを確かめました。CBDCは現在、特に国際決済銀行(BIS)が主要7カ国の中銀と行った共同研究に興味ある包括的な調査結果によると、パンデミックはCBDCの研究・開発の大きな動機になっていることが分かりました。

世界銀行グループの貿易・投資・競争力グローバルディレクターのキャロライン・フロイント(Caroline Freund)氏は「調査結果は、新型ウイルスによって、デジタル金融への移行をサポートする政策や計画を加速する多くの事例が確認した」とコメントします。

また外務・英連邦省のアフリカ担当国務相のジェームス・ ダドリッジ(James Duddridge)氏は「新型ウイルスは、人々と金融サービスとの関係の変化を加速し、安全確実かつ包括的なデジタル金融への移行を求める発展途上国からの要求が前例のないほど高まっている」と述べています。

参考
Global study reveals impact of COVID-19 on fintech regulatory innovation

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長瀬雄壱
フリージャーナリスト、大手マスコミのOB記者。在職中は社会部、科学部、外信部で記者活動を行なう。特に外信部では、10年余り海外特派員(3カ国)を務め、国際関係、政治、経済、社会、戦争取材など、あらゆる分野で記者活動を続けた。翻訳業務経歴は約50年あり、今でも海外ニュースを深くモニターしている。