米国の企業経営者や投資家の圧倒的多数は、仮想通貨について「規制上の明確さ(透明性)」を求め、ビットコインが大規模な受け入れに最もふさわしい通貨とみていることが新しい調査で明らかになった。
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60人以上の投資家や経営者等を対象とした「2018年仮想通貨調査」の実施
法律事務所フォーリー・ラードナー(Foley & Lardner LLP)が、60人余りのプロフェッショナル(その内大多数が投資家もしくは経営者)に聞いた「2018年仮想通貨調査」によると、当然のことだがビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)が仮想通貨空間におけるリーダーであると位置づけられた。
ビットコインはいろいろな用途があるにしても、回答者の43%が、マネーとして幅広く決済手段として取得してみたいと回答している。同じ用途では、イーサリアムは17%、次いでリップル(XRP)、ダッシュ(DASH)、匿名性の高いジーキャッシュ(Zcash)とモネロ(Monero)の順だった。
イーサリアムは、回答者の中の38%が最も優れた投資チャンスの対象として選ばれ、35%のビットコインを上回った。
ETF(上場投資信託)への投資意欲があると回答したのは72%
興味深い調査結果は上場投資信託(Exchange Traded Fund/ETF)に対する考え方である。ビットコイン単独のファンドには3%の支持しかなかったのに対して、ビットコインとその他通貨も併せたETFに投資したいという回答は実に72%もあった。これはJPモルガンがすでに、仮想通貨投資家にとってETFは「聖杯(holy grail)」であると表現したことをそのまま反映している。
ETFについてはこのところ、認可を求める声が投資家だけでなく取引関係者からも強まっているが、規制当局はあいまいなコメントにとどまり、青信号を出すまでには至っておらず、流動性、保管、裁定取引、市場操作の可能性などに関する懸念をコメントしている。
注目すべき結果の1つは、国家もしくは中央銀行が、自前の仮想通貨を発行する件について、賛成した回答者が25%に対して、反対が過半数(58%)に達したことであろう。
仮想通貨業界に対する苦情の多くは、クリプト資産の保存・保護に関連するもので、プライベートキー管理は、強力もしくは非常に強力なリスクをもたらしていると、67%が指摘している。その他の強力および非常に強力の降順のセキュリティ上の関心事は、①ハッカーおよびセキュリティ違反(71%)、②ICO詐欺(62%)、③取引操作(61%)など。
仮想通貨業界は規制に対する理解が足りないと72%が回答
仮想通貨空間では、参加者の間で共通の合意に達することが難しい。共通の合意とは、この世界ではトランザクションが納得いく形で行われたかどうかの問題である。マイニング(採掘)も同様で、マイニングとは取引の記録とトランザクションをブロックごとにまとめて新たなブロックを生成する手続きのことだ。
その際のコンセンサスアルゴリズム(合意アルゴリズム)である、ビットコインのPoWあるいはイーサリアムのPoSの長期的な持続可能性について、双方が28%の支持を受けたが、26%は分からないと答えた。
最後に、規制上の明確さについては、州および国家レベルで既存の金融市場もしくは金融サービスの規制について、仮想通貨業界はしっかりした理解が足りないと、72%もの人が答えている。さらに84%が、ICOは連邦政府、州あるいはその両方によって規制されるべきだと答えているが、58%がリスクを取っても、仮想通貨ビジネスを始めるか、投資すると答えている。
大多数の回答者は法律上の明確の規定を望んではいるが、仮想通貨空間は自発的な基準を開発することによって、自己規制すべきものとする回答者が86%を占めた。また、89%の回答者が仮想通貨業界は明文化した自己規制を通じて守るべき基準を模索すべきだと答え、その内ほとんどの回答者が、自己規制がどのようなモデルになろうとも、規制監督を受けるべきだと考えている。
(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)
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参考
・Bitcoinist
・foley