「ビットコインは魅力的な通貨」と易綱氏、中国人民銀行新総裁発言の真意とは?

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ビットコインに好意的な易綱氏、中国人民銀行新総裁発言の真意とは?

中国人民代表大会(全人代)は2018年3月19日、中国の中央銀行である人民銀行(People’s Bank of China=PBoC)の新総裁に易綱氏(イーカン氏:60歳)を就任させる習近平国家主席の人事を承認した。易綱氏は10年余り副総裁を務めてきた。米国で学び英語も堪能、世界経済に精通しているリベラル派として知られる。

周小川前総裁もまた、リベラル派の総裁として広く知られていた。易綱新総裁は同じリベラル派として、GDPの3倍もの債務をどのように改善するか、金融センターとしての改革・開放をどのように進めるか、そして周氏がやり残した仮想通貨対策など、山積する問題をどのように処理するか注目される。

ビットコインはすべての人が自由に参加できる

易綱氏がビットコインに精通していることは、過去の発言からも良く知られている。同氏は副総裁だった2013年に、ビットコインは「ワクワクする」もしくは「惹かれる」通貨であると表現して、ビットコインの自由な売買を肯定した。同氏はさらに2016年の伊勢志摩サミットに出席した際、ブロックチェーン技術を称賛している。

ブロックチェーン技術研究メディアのThe New Research Groupが伝えるところによると、易綱氏は総裁就任後、中国メディアとのインタビューに答えて、「ビットコインは、すべての人が自由に参加できる通貨である」との見解を示した。易綱氏はさらに「ビットコインはアドレナリンを放出する対象であり、長い間人々が大きな関心を持ってきたトピックそのものである」ともコメントしたという。

しかし、他のメディアは、易綱氏のこのコメントは2013年の発言としており、どちらが正しいのか明白ではない。

易綱氏が総裁に就任した際、Youtubeチャンネルの「Boxmining」は、「新総裁となる易綱氏は、仮想通貨に極めて進歩的な見方をしている」と伝えている。資産保有額で世界最大の中銀総裁として、易綱氏の発言は今後注目されることは間違いない。しかし、これまでのように仮想通貨を熱烈に支持することはないかもしれないというのが、大方の観測筋の見方である。

仮想通貨に対する易綱総裁の次の一手に世界が注目

中国は2017年、ICOを全面的に禁止、中国本土の取引所を閉鎖するなど、仮想通貨の取引を厳しく規制した。中国の取引所は、拠点を中国本土から第三国に移している。そんな中、仮想通貨取引所の世界最大手のBinance(バイナンス)が、本社を香港から緩やかな金融政策を取るマルタ島に移すと発表(2018年3月24日)した。金融庁の警告に対する“回答”なのかもしれない。

易綱氏は中国が規制を強めた当時、仮想通貨取引について、「ビットコインの正当性を認めることは不可能だが、有益なものである」と発言し、また「中国人民銀行として、近い将来にビットコインの合法性を認めることは不可能であるが、ビットコインの取引はインターネットにおける売買活動の一種であり、一般の人々は自由に参加できる」と語っている。

規制強化が進む中、仮想通貨に寛容な姿勢を取る易綱氏が総裁に就任したことは、大きな注目を集めている。中国は本来、仮想通貨ブームの火付け役となり、マイニングから売買まで大きな市場を持ってきた。規制緩和の動きが出れば、世界の仮想通貨市場全体に限りなく大きな影響を与えることは間違いない。

G20財務相・中央銀行総裁会議 で2018年3月、アルゼンチンのF・シュトルツェネッガー中央銀行総裁が7月の次回G20までに各国の規制案をまとめることを明らかにした。中国としてどのような方針を打ち出すか、易綱総裁の本気度を知る機会となる。

関連:G20が一歩踏み出して閉幕:仮想通貨の監視は継続するが規制は当面なし

中国人民銀行は3月21日、電子決済など27兆ドルともいわれる中国国内決済サービスを外資に全面的に開放すると発表した。これは自由経済を標榜する易綱総裁の初の政策発表とも言える。仮想通貨についても、7月のG20以前に何らの政策が打ち出される可能性は十分あるだろう。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考:
Bitcoin.com