連日ICOやVALUに関わるニュースが報道されるなど、仮想通貨を資金調達手段として実需に活用する流れが目立っています。

しかしまだまだ仮想通貨市場は投機的な取引で価格が形成されている事は否定できません。

このように投機が価格を牽引する相場では、人間心理の癖を読み解く事で急所を捉える事が容易になります。

今回はその分析に有用なピークエンドの法則について解説したいと思います。

ピークエンドの法則とは

ピークエンドの法則(peak-end rule)とは、「人間は過去の経験のうち、ピークと直近の材料だけで評価を行う」という認知バイアスを指します。

原理原則として、相場参加者は常に過去の経験則に照らし合わせて最も合理的かつ効率的な判断を繰り返していく前提をとっています。

しかしこの前提において加味される「過去の経験則」に偏りがあるとしたらどうでしょう。群集心理が支配する相場では、ほとんどの参加者が似たような行動をとってしまうはずです。

こうして本来拮抗するはずだった買いと売りのバランスが崩れ、価格が乱高下していくのが、相場の一つの特徴です。

人間の記憶は感動と終焉で支配されている

具体例を挙げて考えてみましょう。

例えば皆さんの学生時代を思い出してみてください。入学式、学園祭、部活動、受験、初恋。

各々様々なシーンを思い浮かべたのではないでしょうか。

では、今度は皆さんの学生時代が良かったか悪かったかを二者択一で判断してください。

ここでおそらく皆さんが無意識に思い浮かべたのは、在学中に一番感動した出来事と、卒業式の日ではないでしょうか。

これらが皆さんにとってどんな日だったかを踏まえて、皆さんの学生時代は良いものであったかそうではなかったかが評価されたはずです。

人が経験する人生は十人十色ですが、印象に残る出来事には似た規則性が確認できます。

それがピーク時と最後の出来事に限定されるというのがピークエンドの法則の意図する所です。

印象に残ったテクニカルだけを使う

このようにピークエンドの法則は様々なシーンにおける判断の分析に用いられる基本的な考え方ですが、例えばテクニカルの選択においても有効です。

筆者がBTC相場で参考にしているテクニカル(指標および高値・安値等)の選び方はかなりシンプルです。

まず、最初に分析する期間を選択し、直近で効いていた代表的なテクニカルを確認します。

それを利用します。それだけです。

なぜこのような選択方法が適しているのかは、もうお分かりではないでしょうか。ピークエンドのエンドの性質から、多くの参加者は直近効いていたテクニカルの印象が強く残っているためです。

そのテクニカルがどのような意味を持つのかではなく、「効いている」という事実を多くの市場参加者が意識するのです。

とはいえ、これだけでは人間の判断を完全に透視する事はできません。まだピークエンドの法則のピークの部分が残っています。

実際、プロであってもアマであっても好みのテクニカル指標を持っている場合も多く、直近効いていたからといって必ずしも厚いオーダーが入るとは限りません。

ポイント付近での意欲が弱いと見れば、あえて狙って仕掛けてくる参加者も多くいます。

背景についても考えよう

したがって上述の検証が終わった後に、筆者は「こういう相場環境において、過去印象に残っているテクニカルは何があるか」という感覚的な検証を追加的に行います。ここが腕の見せどころです。

というのも、直近のテクニカルを参考にしない相場参加者には必ず代用するテクニカルが存在するはずですし、それも元を辿ればそのテクニカルでの成功体験が強く印象に残っているからこそ愛用していると考えられます。まさにピークエンドのピーク時のインパクトです。

またそのような成功体験は必ず「背景」に紐づけられて連想しているはずです。

例えば皆さんがふと思い出の場所を横切ると、その日の出来事を何年経っても思い返すのではないでしょうか。

これは、思い出していているものはピーク時の記憶であっても、トリガーになっているのは場所です。この場所が、筆者が考える「背景」です。

「ピボットラインは突発的な動きで効いていた印象だな」や「緩やかなトレンドだと移動平均線で大勝ちした印象が強い」という具合です。

情報のノイズを防ぐためにあえて短く、直感的に5秒くらいで考えます。参加者の記憶が風化している面もあるので、あえて大昔まで遡らないようにするのがポイントです。

上記のピークとエンドをしっかりと理解すれば、人間対人間の勝負であるビットコイン市場では多くの参加者の行動を読み切る事ができるのではないかと考えています。

ピークエンドの法則はチャート読みにも使える

今回はピークエンドの法則を、直近のテクニカル分析を読み切るための手法として紹介しました。

また、チャートの流れから長期的な方向感や速度を読む事にもピークエンドの法則は有用なため、今度ご紹介できればと思います。

BTCはリスクの高い投資対象です。投資の判断は自己責任で行いましょう。