BinanceのCEOによる昨今のICOへの意見をsteemitに投稿しており、これが僕の考えと近いので、解説します。

Binanceは、上海拠点の新興取引所で、現在急速に成長しており、CEOのCZ氏は元OKcoinのCTOで、http://blockchain.info  にも在籍経験ある人物です。

目標100億円のプロジェクト

彼は東京で、とあるチームからICについての発表を聞いたそうです。

そのプロジェクトは既にプロダクトがあり、ある程度のユーザーベースがあるものです。

しかし、これが目標調達金額が100億円であり、彼のブログはその内容にはっきりとした懸念を指摘するものでした。

本稿では、彼が、指摘することの一部を紹介しながら、筆者の見解を述べます。

ICOで巨額の資金を手にすることの懸念

彼によると、金額が大きいICOに成功すると、事業を成功させる活力、ハングリー精神を失うとのことです。

これは、全く同意をする部分で、チームの器以上の金額を、株式の対価もなしに集めれば、チームの寿命は短くなります。

ICOでチームの器以上の資金を調達して、事業の成功確率を逆に低くしてしまったり、チームの寿命を縮めるということは、実際に、過去のICOプロジェクトが証明しています。

数十億円という資金を集めながら、プロダクトをローンチ出来ていないICOがほとんどなので、この傾向は反論がしにくいものがあると思います。

人間は、必ずインセンティブで動いており、それを自制できる組織、人は多くありません。

そして、綺麗事を抜きの話で、経営陣が事業を成功させるためのインセンティブ、または辛い時に圧力に成る要素に、成功したときに得ることが出来る資金は、多かれ少なかれの影響を及ぼします。

そのインセンティブが先に与えられてしまっていることが、ICOで、巨額な資金を調達してしまったがゆえに、事業の成功確率を逆に低くしてしまうことに繋がるともいえます。

投資家はICOで何を得るのか

この問題を解決することにはいくつか手法があるはずで、例えば、複数回のラウンドのICOをわけることは多少有効かと思います。

どこまで事業を成長させられたら次の調達、この機能まで実装させられたら、次の調達みたいにということですね。

というより、普通のベンチャーの起業ならこれが当たり前なので、それは踏襲されるべきと思います。MVP(最低限の機能を持ったプロダクト)もないのに、シードでいきなり100億円調達とかあり得ないわけです。

筆者は会社経営者で、いくつかの未上場企業にも投資をする立場ですが、企業による資金調達で、株を引き渡すということは、体の一部を切り渡して、新しい株主に仲間になってもらうようなものです。

ICOは、一体なにと引き換えに投資家から資金を得るのでしょうか。

取引所CEOがICOの健全化を指摘する意味

ところで、取引所のCEOが、こういった現在のICOの問題点を指摘するのは好感度高いです。

なぜなら、取引所は黙って現在のICO熱に乗っかってコインを上場させたら、手数料収入が入ってくるにも関わらず、業界健全化に取り組んでいるといえることです。

Binanceは、UI・UXも優れていますが、伸びている理由はそれだけではないということが今回のブログ記事からはっきり分かりました。

こういった姿勢が、そのへんの事業者とは違うとは評価できます。

そういった意味で、日本の暗号通貨業界のビジネスサイドで、BinanceのCEOのような今回のような意見を発言できている人は、ほとんどいません。

取引所事業者が、こういった投稿をしていることの意味は大きく、他社は暗号通貨事業者として見習うべきものがあるのではないのでしょうか。

また、自分はICOに批判的なことを、ずっと言っているように見えますが、企業によるICOも不可逆だとは認めてます。

そもそも、新しい何かを批判するときは、自分が新しいものを理解していないだけではないか?という自問を一度深く行ったうえで、批判を行っています。

ブームに乗って、正当化が出来ない評価でICOに乗るのではなく、健全なICOとはなにか?ということが、業界で議論されることを願っています。