仮想通貨取引所クアドリガCX(QuadrigaCX)は顧客の200億円を超えるビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)を返却できないまま、今年4月に破産となっていた。その後、アーンスト・アンド・ヤング(EY:Ernst and Young)社が行っていた調査によると、2018年12月インド旅行中に死亡したとされる前CEO、ジェラルド・コットン(Gerald Cotten)氏が216億円を超えるQuadrigaCXの顧客資産を私的流用をしていたということが公表された。
関連記事:【墨汁速報】カナダのQuadrigaCX 約210億円のビットコインなどの資産を返金できず破産へ
元CEOは顧客のビットコインを私的流用
EYのレポートによると、「QuadrigaCXではない複数の他取引所のCottenの所有する個人アカウントへ、QuadrigaCXから大量の仮想通貨が送金されていた」と述べられている。
これらの送金された顧客の仮想通貨は、複数の取引所で取引されたとみられ、一部は証拠金取引の証拠金として使われていたと見られる。コットン氏はこれらを証拠金とし、ジーキャッシュ(Zcash)、ダッシュ(Dash)、ドージコイン(Dogecoin)、オミセゴー(Omisego)などを取引して大きな損失を出していることも判明している。
これらの元CEOによる使い込みがQuadrigaCXの破産の主な原因であり、一部は所有者の不明なウォレットへ送金されているという。
犯行は計画的か?
パスワードやビジネス記録などは、ハッキングや秘密鍵の漏洩などによるリスクを抑えるためにコットン氏が一人で管理していたとQuadrigaCXは主張していた。だがEYのレポートによると、2016年から2018年の末までにコットン氏はビットコイン、イーサリアム、ライトコイン(LTC)の三種類の仮想通貨をそれぞれ、9,450BTC、387,738ETH、239,020LTCをQuadrigaCXから私的に引き出しており、現在の市場価格で総額200億円を超えていたのである。
また、コットン氏はQuadrigaCX内に「Chris Markay」という偽のアカウントを作成しており、実際に存在しないカナダドルをアカウントへ反映して、顧客の売買する仮想通貨を購入していた。
取引所を使用する際のリスク
さらにEYはQuadriga CXが不足の事態を想定し、損失を抑えるためのコンティンジェンシープランがなく、会計も疎かであり9つの支払いのうち2つに手数料だけで約10億円を支払うなどを指摘している。
CoinmarkteCapのデータによると、仮想通貨取引所は世界に259取引所も存在する。日本は資金決済法に基づき、金融庁へ仮想通貨交換業者として登録が必要であり、仮想通貨交換業へ登録していない海外業者は日本人に対してサービスを提供することは禁じられている。
だが現状として、これらの交換業登録を回避するために、日本人が海外法人を設立し、違法に日本国内へとサービスを提供する問題が浮き彫りとなっている。取引所の選択肢が多いことは、ユーザーに取って大きなメリットとなるものの、海外取引所を使用する際にはQuadrigaCXと同等またはそれ以上のリスクがあることに注意が必要だ。
★ビットコイン(BTC)の価格・相場・チャート
★イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート
★ライトコイン(LTC)の価格・相場・チャート
参考:QuadrigaCX CEO Set Up Fake Crypto Exchange Accounts With Customer Funds
【こんな記事も読まれています】
・仮想通貨取引所ポロニエックス(Poloniex)で債務不履行、ビットコイン(BTC)資産が喪失!
・滞空時間長し!ビットコイン(BTC)100万円付近で揉み合い後、じり高展開か?
・ビットコイン(BTC)先物取引からシカゴ・オプション取引所(CBOE)が完全撤退