ロイターは「銀行は今のところ、分散型台帳技術によって国際決済処理する可能性は低い」との見出しでリップル(Ripple)開発責任者が言及した旨を伝えている。現状では、技術的にブロックチェーンを導入した海外送金は当面利用しにくいとのことだ。
※一部誤りがあり、内容を訂正しておりますことをお詫び申し上げます。(6/15 16:00)
現状ブロックチェーンは、銀行が国際決済で採用する可能性は低い
Ripple社のチーフクリプトグラファー(Chief Cryptographer:暗号作成責任者)であるデビッド・シュワルツ氏は6月13日、ブロックチェーンが海外送金に銀行が採用するかどうかとのロイターの質問に答えて、そのスケーラビリティ(可用性)とプライバシー問題と関連して、「現在はそのような状況に至っていない」ことを認めた。
しかし同氏は、RippleのシステムであるxCurrentについては分散型台帳ではないと述べ「当社顧客の多くから聞いている話によると、システムはプライベートな個人取引として保ち、毎秒数千の処理を行い、考えられるすべての通貨や資産タイプに適応するには絶対に必要になる」と語った。Rippleはこれまで、銀行間の海外送金に同社のシステムを推奨してきている。
「数十行の銀行がXRPを利用することになる」とCEOが発言
Rippleのブラッド・ガーリングハウス最高経営責任者(CEO)は6月12日、「XRPトークンは、決済目的に最高のデジタル資産である」と断言した。また、数十行の銀行が、XRPを利用する海外送金システムの開発を目指していると語っていた。同CEOがここでいうシステムはxRapidとなる。
実際にxRapidは5月、米国ーメキシコ間で、送金取り扱い事業者ViamericasとMercuryFX両社間の送金テストを実施している。また、xCurrentに関しては、スペイン大手のサンタンデール銀行が4月、「One Pay FX」と呼称する国際的な送金サービス向けシステムの運用を開始して、初のブロックチェーンベース技術として国際的反響を呼んだばかりだ。
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XRPはビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)に続く時価総額で3番目に高い仮想通貨だ。Ripple社が提供する技術が、金融会社間などの価値移転を含んだプロセスへの適用が期待されていることも事実であり、今後の開発動向が注目される。
(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)