【後編】ロシアにおける仮想通貨の需要、規制の行方とは?

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【後編】ロシアにおける仮想通貨の需要、規制の行方とは?

ロシアンOLちゃん(@crypto_russia)が紹介するロシア経済の現状についてのコラム。
前編では、ロシアの経済危機が仮想通貨(ビットコイン)の需要にどのような影響を与えるかについて、ロシア経済の現代風景や法定通貨ルーブルと仮想通貨の関連性など現在の状況を、ロシア大手仮想通貨メディアForklogを参照して解説。つづく後編では、具体的なロシアにおける仮想通貨の需要や仮想通貨規制、業界発展における障害などを掘り下げて紹介。

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仮想通貨業界の発展に関わる障害とは

一見、ロシアの仮想通貨業界の発展を妨げるものは何もないように思える。例えば、ルーブル安と経済の不確実性がビットコインの需要を促進し、寒冷な気候と比較的安価な電気によりマイニングの発展が促進され、仮想通貨プロジェクトの創出するのに十分な高い資質を持つ開発者がいる。

しかし、事はそれほど単純ではない。例えば最近、ビットコインATMの企業「BBFpro」社にて、同社がロシアの9つの都市で有するすべての仮想通貨ATMが突然押収された。またカザン市では、昨秋Malavita社のビットコインATMが当局の標的となっていた。

しかし高リスクにもかかわらず、「Coin ATM Radar」のデータによると、ロシアは依然としてビットコインATM保有数では下図のように世界5位以内にランクインする。

ロシアの経済危機は、ビットコイン(BTC)の需要にどのような影響を与えるのだろうか?
出典:Coin ATM Radar

7月には、コストロマ市の「仮想通貨取引所の運営者」が執行猶予を受けた。当初運営者は銀行口座を開設せずに送金したことで罪に問われていた(第172条 「不正銀行業務」)が、司法の議論の段階では、検察官は「寛大な」第171条「違法な事業活動」に罪状を変更し、裁判所は押収されたコンピュータ機器と電話機器の破壊を命じた。

専門家によると、問題の根源は規制当局の不確実性だけでなく、新しい資産に対する当局の否定的な態度である。例えば、ロシアの連邦中央銀行と財務省は特にこの点で顕著であり、これらの機関の代表者はしばしば仮想通貨を「通貨の代理」と呼んでいる。また、5月には連邦中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁が、金融市場プレイヤーが仮想通貨に関与して働くことを許さないと述べていた。

仮想通貨市場における規制

【後編】ロシアにおける仮想通貨の需要、規制の行方とは?

一般に、ロシアの権力者は、仮想通貨市場の規制措置を強化する傾向がある。ロシア連邦内務省は、仮想通貨の闇取引に対する刑事責任の正当性を主張し、ロシア連邦金融監督庁の命令の下、デジタル資産を用いた違法行為の検出ツールが開発中だ。

さらにロシアは仮想通貨投資家を国内パスポート(身分証明証)および納税者識別番号で識別する投資家台帳を作成している。これに加えて仮想通貨投資家は投資するためには認定される必要がある。ここで注目に値するのは、前述の連邦中央銀行と財務省が仮想通貨投資家登録を管理するということである。

しかし立法者が仮想通貨規制の法的枠組みを作る働きをしていないとも言えない。むしろロシア連邦の州政府は、今秋「デジタル金融資産について」および「投資誘致の代替方法について」の法案を審議する予定である。しかし、ロシア連邦民法典と同様、これらすべての文書において、「仮想通貨」という用語は単に除外される。

「実際には、電子マネーは “デジタル権利” とみなされ、それらの取引は認可されるだろう」と議会下院の金融市場委員会委員長であるアナトリー・アクサコフ氏は語る。

同時に「連邦中央銀行は誰がどのくらいの資金力でトークンを購入できるのかを決定する」と同氏は述べた。

仮想通貨の発展はマネーロンダリングとの戦い

【後編】ロシアにおける仮想通貨の需要、規制の行方とは?

ロシア当局が立法分野に導入を予定していない「仮想通貨」という用語には、「通貨」という言葉が含まれている。どうやら、国家は資金放出を独占し時には節約手段としてうまく機能するが、制御が難しいデジタル競争相手には必死に抵抗しようとしているようだ。

おそらく多くの人々は、仮想通貨の発展の制限を「マネーロンダリングとの戦い」と呼ぶロシア政府は、ルーブルの下落、銀行システムへの信頼喪失および経済成長の自信喪失に関連した同国からの資本流出の加速に抵抗しようとしている印象を受けるであろう。

「これは除外することはできない。しかし私たちには仮説ではなく事実が必要です。理論と実践によれば、仮想通貨の助けを借りて、資本を引き出すのは簡単です。昨年の中国のケースはこの点の証明です」と経済学者、iTuber放送局のトップ、CISでの仮想通貨企業のモデレーターであるユージン・ロマネンコ氏は述べる。

同氏によると、仮想通貨に対する当局の否定的な声明は、経済における様々なプロセスのコントロールを政府が失う可能性についての懸念の兆候である。

「独占的に通貨偽造を行っている政府とそれに守られている中央銀行こそが世界の主な金融詐欺師なのです。また彼らがコントロールできない様々な現象との闘いについての彼らの声明は、状況をコントロール出来ない自分たちの苛立ちの表れなのです。」

しかし金融アナリスト兼「Vector Advisory」の共同設立者であるヴァギズ・ヌルロフ氏は、ロシアの仮想通貨市場の規模はそれほど大きくないため規制当局は仮想通貨を経済システムへの大きな脅威として見ていないと考えている。

「規制当局が戦うほどの規模ではないのです」と同氏は言い、しかしながら闇収入は政府にとって依然として重大な問題であるとも指摘した。

同様の意見を持つ仮想通貨愛好家セルゲイ・ルミャンツェフ氏はこう話す。

「私の意見では、幸いにも仮想通貨業界は現在ロシア政府にとって最優先のテーマではない。基本的にロシアでもその他の国々でも、仮想通貨を利用した大規模なマネーロンダリング、資本流出やテロリズムのための資金調達は行われていません。私が思うに、ロシア政府は自国民による実質所得の隠ぺいや脱税の意味で、仮想通貨が持つ可能性を懸念しているのです。」

同氏はまた、当局はしばしば物事を意図的に「誇張」しており、それが中央チャネルの視聴者および聴取者の多くに一定の印象を与えてしまっている、と強調している。

仮想通貨の規制、そして管理強化のための法的枠組みの策定は多くの国で積極的に実施されており。その傾向は勢いを増す一方で、それが我々に何を結果的にもたらすのかは時間とともに明らかになるであろう。

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参考
Forklog

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