中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行をめぐる米中競争から米中ソ3国競争へと進展

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中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行をめぐる米中競争から米中ソ3国競争へと進展

中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行をめぐる米中競争が激化している中に、新たにロシアが参入して米中ソが2021年の早い時期に、法定通貨を補完するCBDCを発行する気配が濃厚になっています。

ロシアがルーブルを補完するデジタルルーブル発行の可能性認める

ロシア中銀のロシア銀行(Bank of Russia )は10月13日、デジタルルーブル発行の可能性を示唆する新たなリポートを公表しました。デジタルルーブルは、ロシアの法定通貨ルーブル(ruble)の電子版であり、現金を補完します。同行によると、ユーザーはCBDCのデジタルウォレットを利用して、デジタルルーブルとルーブル現金を自由に交換することができるようになります。

ロシア銀行はCBDCの開発を進める理由として、ロシア市民がキャッシュレス決済を好むようになっており、デジタル金融技術の利用が広がっていることを挙げています。

ブロックチェーン分析会社のチェイナリシス(Chainalysis)のレポートによると、ロシアは仮想通貨を採用、利用している世界で2位の国にランクされています。ちなみに世界で最も仮想通貨が普及している国は、ウクライナです。3位はベネズエラ、中国は4位、米国は6位となっています。

来年以降は仮想通貨による個人決済は禁止 中央銀行による管理進む

しかしロシアは、個人利用の仮想通貨については、厳しく規制しています。ロシアは7月2日、仮想通貨取引とマイニング(採掘)に関して新たな規制措置を発表、ロシア市民は2021年1月1日以降、仮想通貨を支払いに利用することができなくなります。世界のいくつかの国の中央銀行は最近、CBDCの発行を認可するか否かの協議を開催しましたが、ロシアはこの会議に参加しませんでした。

新たな規制措置でロシアの銀行は、中央銀行に管理の下で、仮想通貨取引所の開設を認められます。計画によると、その際に新しいデジタル通貨が発行されることになっています。新型コロナウイルスのパンデミックが世界に広がった3月、ロシアは仮想通貨を全面禁止するのではないかとの見方が広がりました。同月、ロシア銀行の法務部長であるアレクセイ・グズノフ(Alexey Guznov)氏はロシアは誰も仮想通貨の所有を禁止することはできないこと認めています。

今回の規制措置は、ロシアがむしろ仮想通貨とその採用についてより現実的な対応を示したと受け取られています。

米中ソにEUを入れて4者競争に

ロシア銀行はデジタルルーブル開発プロジェクトについて、特に金融市場関係者や専門家ら一般市民からの意見を聴取しようとしています。同銀はこの協議で、CBDCプロジェクト開始につながる意見やデータが収集されるだろうとコメントしています。最近のニュースによると、欧州連合(EU)の欧州中央銀行はすでに、デジタルユーロの発行に関連する一般市民の意見を集めるプロジェクトを開始しています。

ロシア銀行のリポートは、デジタルルーブルの開発に関するタイムテーブルあるいはCBDC開発を即時開始するのかどうかには触れていません。

米中ソの3国競争は、実は欧州連合(EU)のCBDC開発状況を含めると4者競争と呼んだ方が正確かもしれません。世界はデジタル時代に対応し、これまでの金融システムを補完するデジタル通貨発行に向けて確かな動きを見せています。

参考
Bank of Russia announces public discussions on digital ruble
Bank of Russia is planning to launch its ‘digital ruble’

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長瀬雄壱
フリージャーナリスト、大手マスコミのOB記者。在職中は社会部、科学部、外信部で記者活動を行なう。特に外信部では、10年余り海外特派員(3カ国)を務め、国際関係、政治、経済、社会、戦争取材など、あらゆる分野で記者活動を続けた。翻訳業務経歴は約50年あり、今でも海外ニュースを深くモニターしている。