ロシア中央銀行がICOベースの独自トークン発行テストに成功

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ロシア中央銀行がICOベースの独自トークン発行テストに成功

ロシア連邦中央銀行(The Central Bank of Russia)は、仮想通貨トークン発行のテストを成功裏に実施した。国営タス通信が2018年9月11-13日、ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラム会場で発表された声明を伝えた。

サンドボックス制度の枠内でICOテストに成功

ロシア銀行(正式にはロシア連邦中央銀行)の金融開発部門のイワン・セマギン(Ivan Semagin)次長は11日フォーラム会場で、同銀のサンドボックス制度(現行法の規制を一時的に止めて特区内で新技術を実証できる制度)の枠組み中で、「既存のインフラストラクチャーに基づくICO(Inistial Coin Offering)の実験を実施した」と発表した。

同次長はさらに「ICOテストは、技術的にすべて順調に行われたが、法的視点から多くの問題が残されている」と付け加えた。同次長は法的視点については一切説明していない。

ロシア銀行は規制当局はじめ関連する特定の業界や研究機関と提携して、2018年4月からサンドボックス関連プロジェクトの選定を開始した。特にブロックチェーン技術関連のプロジェクトが注目された。

ロシア貯蓄銀行、証券保管振替機関(NSD)が推進役

今回のICOテスト計画は2018年5月下旬に発表された。スベルバンク(Sberbank:ロシア連邦貯蓄銀行)のイゴール・ブランツェフ(Igor Bulantsev)副総裁は「スベルバンクは、(モスクワ証券取引所の)証券保管振替機関(National Settlement Depository=NSD)と協力して、ICOテストを実施する」と発表した。

ICOテストは、ICO発行元のLevel Oneも参加し、スベルバンクは「ICO発行のコーディネート兼アンカー」、NSDは「保管、取引記録・設定、資産保全担当者」としての役割を果たす。ブランツェフ副総裁は関連して、「スベルバンクの多くの顧客は、この種の投資に関心を持っており、われわれは適切な法的枠組みが発効すれば、積極的にこのサービスを進める計画である。われわれはこの種の取引を法制化し、広めるための推進者の一端を担っている」と語った。

ブランツェフ副総裁はその際、ICOテストは2018年8-9月に実施すること、そのための資金を調達すると語っていた。

ロシアで7番目に大きい商業銀行であるアルファ銀行(Alfa-Bank)は、今回のテストの目的について、ロシア中銀が提供するサンドボックス規制枠内のプラットフォームで、VIP顧客向けの新しい仮想通貨ソリューションのテストおよび実装する計画であると要約した。

ロシア中銀は仮想通貨に懐疑的、ブロックチェーン技術開発は積極支援

ロシア中央銀行はこれまで、仮想通貨について懐疑的な見解をとってきた。その理由は、仮想通貨が犯罪者やマネーロンダリグ(資金洗浄)、脱税者に好都合の手段になりうるというもの。

ロシア中銀はしかし、ブロックチェーン技術開発には積極的である。中銀は数カ月前、ユーラシア地域の決済に対するブロックチェーン技術ソリューションにすることを考慮しているとの発言があった。これはSWIFT(国際銀行間通信協会)による銀行間通信ネットワークに準じたメッセージと送金を視野に入れたものである。

ロシア中銀は以前、ICOを含む仮想通貨のリスクを警告する声明を出している。その中で中銀は、ロシアの金融インフラ内で仮想通貨の流通・利用・ICOにかかわる利用を許可することは時期尚早であると述べている。

主として仮想通貨をめぐる不正行為を防ぐ法的整備を念頭に、違法行為に関連するリスク対策が整わない限り、今回の公的機関によるICOテスト成功は、即座に独自トークンの発行にはつながらないかもしれない。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

関連:仮想通貨の店頭取引(OTC)需要が高まるロシア、取引高における中国国民の存在感

参考
Coindesk
Cryptovest
CCN