ロシアがクリプトルーブル(Cryptoruble)発行を2019年以降に延期、その要因とは?

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ロシア_クリプトルーブルイメージ

今にも発行されると予測されていたロシア政府の仮想通貨「Cryptoruble(クリプトルーブル)」の発行が、2019年以降になる見通しになった。

ロシアの中央銀行であるロシア銀行は、Cryptoruble(クリプトルーブル)が規制を避けて通り、不正利用されることを深く懸念している。一方財務省は、Cryptoruble(クリプトルーブル)を国際決済に利用したい意向だという。

ロシア銀行首脳たちがプーチン大統領の発行計画に異議

Cryptoruble(クリプトルーブル)は、プーチン大統領の発案(2017年10月までの発行計画)で、関係当局者に最終決定権を移譲している。ロシア銀行のセルゲイ・シュベツォフ(Sergey Shvetsov)第1副総裁は、2018年新年の経済フォーラム(Gaidar Forum)で発言し、「近い将来にCryptorubleが出現することなないだろう」(TASS通信)と次のように述べた。

仮想通貨の需要がかなりの程度で規制逃れにつながる限り、規制当局は規制を避けることができる仮想通貨の発行を許可できなことは明らかだ

ロシア銀行のオルガ・スコロボガトーバ(Olga Skorobogatova)第1副会長は、シュベツォフ副総裁の見解の同意した上で、同銀はBRICs( ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国) もしくはEAEC(東アジア経済協議体)諸国間ならありうる、超国家的デジタル通貨の導入を考慮していると語った。

旧ソ連邦諸国間の国際決済目的を模索か?

一方、財務省のアレクセイ・モイセーエフ(Alexei Moiseev)副首相は経済フォーラム会場で、記者団に「国際決済にCryptorubleを使うアイディアを支持する」と、以下のように述べた。

今注目すべき問題は、国際決済に仮想通貨という電子マネーを利用することである。われわれの代表的な取引パートナーとの話し合いや調整の中では、少なくとも旧ソ連邦諸国の間なら、外貨でなく電子的なルーブル貨幣を発行することが可能である

モイセーエフ副首相は2017年、「正直なところ、私はCryptorubleがどんなものか分からないが、電子ルーブルなら分からないこともない」と、比較的後ろ向きの姿勢だった。同副首相の考え方は、一歩進んだようだ。

ブロックチェーン 仮想通貨ロシア協会(RACIB)は、仮想通貨の発行が2018年中までに合意に達して、2019年頃ごろに実施されるだろうと予測している。「仮想通貨の提案が、大統領の指示の一環として7月に行われるならば、規範文書の草案づくりは秋になる」との見通しだという。この手順通りなら、Cryptorubleの発行は、早くて2019年にずれ込むことになる。

仮想通貨の功罪など各国中銀が無視できない時代に

主要国の中銀はほとんどすべて、何らかの独自の仮想通貨を発行することの功罪を検討中である。ブラジル、ベネズエラ、ドバイなど独自トークンの発行を現に進めている限られた国は別にしても、米国、カナダ、シンガポールや英国、フランス、ドイツなどEU主要国などが、あり得る規制も含めて、「中銀が仮想通貨を発行することが是か非か」の問題を検討している。

国内でも日銀が2016年に「中央銀行発行デジタル通貨について 海外における議論と実証実験」を発刊して、関心を示している。しかし日銀、金融庁とも公的な場では、慎重な発言が目立つ。仮想通貨そのものついては、2017年4月に仮想通貨法を施行して、仮想通貨そのものは保護し、いち早く仮想通貨の財産的価値を認めた。日本は実は、「決済手段」として仮想通貨を合法化した先進国である。

仮想通貨は、その功罪を含めて検討せざるを得ないほど、ブロックチェーン技術の開発と仮想通貨の取引は日々進化している。この事態を座視することはもはやできないだろう。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考:
Bitcoin.com