仮想通貨での給与支払いが広がる各国と課税制度の現状

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世界での仮想通貨給与の広がりと規制に関する現状

暗号資産(仮想通貨)による給与支払いは、仮想通貨業界では標準的になっています。こうした制度には特定の法律は必要ありません。ひと足早く仮想通貨給与を導入している、スイス・ニュージーランド・日本・エストニアを例に、その現状をレポートします。

仮想通貨収入への課税制度整備に前向きな国々

仮想通貨に対して先取的な国スイスにおいて、他国に先駆けて仮想通貨による報酬制度が始まっています。スイスのツーク州には、仮想通貨取引所のシェイプシフト(Shapeshift)、カストディサービスを提供するザポ(Xapo)、マイニング事業を運営するビットメイン(Bitmain)などがあります。

それに加え、イーサリアムファウンデーション(Ethereum Foundation)やFacebookによる仮想通貨プロジェクト運営本部リブラ・アソシエーション(Libra Association)といった著名な仮想通貨プロジェクト団体が本拠を構えています。

そのスイスでは政府当局によって仮想通貨は資産とみなされており、課税を含めた各種規制が確立しています。仮想通貨で報酬を得た場合、法定通貨と同様に税申告する必要があります。仮想通貨投資者やトレーダーは非課税扱いですが、それも州によって違いがあり、場合によっては現金や貴金属同様の富裕者税の対象になるかもしれません。

スイスには、連邦・州・自治体による複合的な課税制度があり、また累進課税や定率課税など課税方法もさまざまです。そして、課税の範囲はすべての人々の所得に及ぶため、仮想通貨給与もその対象になります。

広がりを見せる仮想通貨による報酬制度

スイス以外の国でも、仮想通貨給与は広がり始めています。例えば日本でも、GMOインターネットグループが、およそ5千人の社員を対象として給与の一部をビットコイン(BTC)で支払うことをできるようにしたと発表しています。またアメリカの取引所であるクラーケン(Kraken)では、2019年4月に250名分の給与をビットコインで支払いました。

エストニアでも仮想通貨やトークンによる給与支払いの制度を推進する動きが見えています。他にもバルト海沿岸諸国では仮想通貨収入に対する法整備が比較的進んでおり、ロシアにおいては法整備が進んでいないものの、フィンテック企業の半分は仮想通貨給与制度を採用しています。

フリーランスで働く人も10年後にはアメリカの労働者の半分以上を占めるとされ、2018年に実施された調査では、約3分の1の人々は仮想通貨による対価支払いを望んでいるとのことでした。ビットウェイジ(Bitwage)やワーキングフォービットコイン(WorkingForBitcoins)といったサービスやプラットフォームの普及によって、フリーランスで仮想通貨給与を望む人も仕事が見つけやすくなってきています。

ニュージーランド税務局は仮想通貨給与に対する規制を発表

ニュージーランドの税務当局は、最近になって企業がビットコインで給与を支払うことを、合法としました。この施策により仮想通貨による給与支払いであっても、所得税を徴収できるようになりました。仮想通貨給与に対する課税規制は今年の9月1日より発効され、向こう3年間で順次適用されることになります。これに対して仮想通貨支持者は歓迎の意向を示していますが、一方で政府による課税強化だという懸念もあるようです。

今回の規制によると、まず、仮想通貨での給与支払いを受けることができるのは、正式な雇用契約を結んだ従業員に限り可能ということです。また、最大でも給与の半分までであり、支払いに用いられる仮想通貨は法定通貨との交換ができるものなければいけません。

税務局が給与支払いに使用可能な通貨としてリストアップしているものは、ビットコイン(BTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ビットコインゴールド(BTG)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)の5種類で、テザー(USDT)のようなステーブルコインも視野に入れているようです。こうした規制によって、企業の従業員は現金化しにくい仮想通貨や、極端に価値の低いアルトコインで支払われることのないようにしています。

仮想通貨が社会的に流通する通貨となる中で、働き方の多様化とともに給与支払いの方法にも変化が生まれています。今後世界各国で仮想通貨に関するルール作りが進めば、仮想通貨による給与支払いが一般的になるかもしれません。

参考
Crypto Salaries Gain Regulatory Recognition Around the World

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