【後編】人民元のデジタル通貨発行で中国が世界金融に及ぼす影響とは?

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【後編】人民元のデジタル通貨発行で中国が世界金融に及ぼす影響とは?

人民銀行の新設デジタル通貨部長のムー・チャンチュン(MU Changchun)氏は、「DCEP(デジタル通貨/電子決済)は匿名性とAML/CFT/ATA(マネーロンダリング対策・テロ資金供与・反テロリズム法)の間のバランスを図る目的を持っている」と、その有用性を語っています。

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中銀と商銀を結ぶ第1層、商銀と消費者・小売市場を結ぶ第2層で実施

DCEPは、現在流通しているすべての法定通貨の人民元を切り替えるという使命を帯びた「2層(two-tier)」のシステムに基づいて実施されます。この2層システムの第1層は、中国人民銀行と商業銀行をDCEPで結び付け、このデジタル通貨の発行を容易にします。第2層は、これらの商業銀行を同国の消費者や小売市場と結びつけます。

フィンテック企業コンステレーション(Konstellation)のブロックチェーンリーダーで同業のダークマター・チャイナ(DarcMatter China)のマネジングディレクターであるニコラス・クラペルス(Nicholas Krapels)氏は「中国の消費者がDCEPを手にすれば、人民元の国際化とマネーの流通速度が進むことになる」と語ります。

中国が警戒するリブラ計画は人民元とのペグは拒まれる

それでは、Facebookのリブラと連結(ペグ)する一連の通貨のなかに、人民元が含まれる可能性はあるでしょうか?また、バイナンスのヴィーナス計画は、人民元と連結するデジタル通貨を生み出すでしょうか?

クラペルス氏によると、それは「いずれもノーです」。同氏は、「リブラが中国で売買されることは決してない。Facebook、Whatsapp(ワッツアップ)、Instagram (インスタグラム)はすべて、中国国内で阻止されるので、流通されることはあり得ない」と断言します。

ヴィーナスの場合は極めて不透明です。クラペルス氏は、「バイナンスのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)最高経営責任者(CEO)は中国の規則に反してまであからさまにヴィーナスを運用するほど非常識ではない」と述べました。

人民元とペグするステーブルコインの発行は中国の抵抗が予想されるが、寛容に期待

クラペルス氏は「人民元に支えられるステーブルコインを発行することは、特に中国のDCEPの発行が近いことから、極めて大きな抵抗を受けることになるだろう。しかし、準備資産として人民元を利用することなく、1人民元の価値に連結するステーブルコインを発行する別の方法はある」との考えを示します。

同氏はその方法について、「それは遅かれ早かれ、(非中央集権型金融の)誰かが新たな解決法を考え出すことである。解決策のカギは、香港で運用するかそれとも規制当局がデータにアクセスすることができ、ビジネスモデルの発展にインプットできるようなシンガポール方式のサンドボックスで運用することだ。誰がそうしようが、中国は最終的には容認するぐらいの寛容さを示すだろうと思う」と語りました。

バイナンスの共同創設者であるヘ・イ(He Yi)氏はBloombergとのインタビューに応じて、「遅かれ早かれ、ステーブルコインは世界の多くの国で、伝統的な法定通貨に着実に取って代わり、デジタル経済に新たな安定した基準をもたらすだろう」と語りました。

参考
China’s Stablecoin is Likely the Only One the Country Will Allow
First Look: China’s Central Bank Digital Currency

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