第1回:STO(セキュリティ・トークン・オファリング)の基本概要~SEC登録届出プロセスまで解説

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第1回:STO(セキュリティ・トークン・オファリング)の基本概要からSEC登録届出プロセスまで解説

Node Capital調査センター
朱子川

ここ数ヶ月、「STO(Security Token Offering/セキュリティ・トークン・オファリング)」という言葉が、世界のブロックチェーン業界を席巻しています。

STOは、ICO(Initial coin offering/イニシャル・コイン・オファリング)市場衰退後の次なるブームとなる可能性を持っていますが、証券化そのものはブロックチェーンが生まれる前から既存金融で既に存在した概念であり、本質的にはブロックチェーンと既存金融との融合から生まれた新たな投資形態であると言えるでしょう。

STOによって、国境を超えた証券市場の統合や資産の流動性の向上が期待できますが、同時に、高い参入障壁、厳しい譲渡制限、未発達のインフラ、不明確な規制といった問題を抱えています。

STO(Security Token Offering)の概要

セキュリティトークンとは

セキュリティトークンとは、その名前から想像できる通り証券性を持つトークンのことであり、法規制に準拠した形で発行・取引されるデジタル資産です。2016年以降に行われたICOはほぼ全て、規制当局の認可なしに不特定多数の投資家に対しトークンを販売していました。

たいてい、プロジェクト側は自らが発行したトークンは証券性を持たないユーティリティトークンであると言い張っていましたが、それがどの資産クラスに分類されるのか、そして合法なのかは、業界では長い間ネックとなっており、そのためにデジタル資産への適切な投資方法を見つけることができない機関投資家も存在しました。

一方セキュリティトークンは、法規制の枠組み内でトークンの発行と流通を行い、トークンに配当権や議決権などといった現実的な機能を与えることができるため、この問題を解決しうるのです。

セキュリティトークンには2つの特徴があります。

まず、セキュリティトークンはHowey Testの要件を満たし、証券と見なされたトークンを指します。

  • 金銭または資産による投資であること
  • 共同事業に対する投資であること
  • 利益に対する期待があること
  • その利益は第三者の努力によって生じるものであること

もしこれら4つの条件に当てはまれば、トークンは証券と見なされ、投資勧誘と販売にあたってはSEC(米国証券取引委員会)の規制に従わなければなりません。

次に、資産のトークン化により発行されるセキュリティトークンは、それに紐付けられた資産や権利が価値の源泉となります。この点は、サービスにおける利用や循環が価値の源泉となるユーティリティトークンとは、大きく異なります。

セキュリティトークンの分類

理論上は、株式や債券、先物、REIT、ファンドなど、さまざまな既存金融商品に対応するセキュリティトークンを開発することができます。Jssus Rodriguez氏は「Security Token 2.0 Protocols: Debt Tokens」の中で、セキュリティトークンは担保となる資産やスキームの違いによって4つのタイプに分類できると述べています。

  • Debt Tokens(債券型トークン): 資金を借り入れるための借金証書を代表するトークン
  • Equity Tokens(株式型トークン): アセットに対する部分的所有権を代表する株式型トークン
  • Hybrid/Convertible Tokens(ハイブリッド型/転換型トークン): 株式と債券との間での転換が可能なトークン
  • Derivative Tokens(デリバティブトークン): 原資産であるトークンから価値が派生したトークン

STO(Security Token Offering)に関わる法規制

米国SECの規制に準拠した証券発行には、登録届出を伴う証券発行と、免除規定を適用した証券発行との二種類に分けられます。

登録届出を伴う証券発行

「登録届出制国家」アメリカでは、全ての国内企業または国内投資家による証券発行に関わる主体は、必ずSECに登録届出を行い、証券発行に関わるあらゆる情報を提供しなければなりません。米国企業はフォームS1、非米国企業はフォームF1と呼ばれる書類を提出し、SECがそれを審査した上で、登録届出が有効であると宣言します。こうして証券発行企業は将来の訴訟リスクを軽減することができます。これはアメリカで企業が証券を発行する際に避けて通れないプロセスです。

STO(セキュリティ・トークン・オファリング)研究:技術革新の伝統金融への回帰

アメリカの「登録届出制」の特徴は、規制当局が発行体の収益力を判断するわけでも、公開された情報の完全性や正確性を判断するわけでもない点です。公開された情報の真偽や正確性に対しては、発行体と仲介業者が共同で責任を負い、証券そのものに対する価値判断は個々の投資家にゆだねられています。

◆登録届出のメリット

  • 適格投資家・非適格投資家双方に販売できる
  • 一般に対して投資勧誘(公募)ができる
  • 取引所等で即座に二次流通ができる
  • 調達金額に上限が存在しない

◆登録届出のデメリット

  • 登録届出のプロセスで一般的に200~600万ドル(約2億2,000万~6億8,000万円)かかる。
  • 登録届出や審査に数ヶ月かかる。セキュリティトークンが新たな形態の証券であることを踏まえると、一般的な証券の届出・審査よりも長い時間(1年ほど)がかかる可能性もある
  • 登録届出書を提出する前は、投資家と口頭や書面で証券販売の約束をしてはいけない。登録届出提出後でも審査が完了するまでは、投資家と書面で証券販売の約束をしてはいけない
  • 登録届出の際、監査済財務諸表を提出する必要がある
  • 資金調達終了後、少なくとも四半期ごとに詳細な事業報告を提出する必要がある
  • 連邦法に対する州法優位の法則が適用され、SECに登録届出を行った証券でも、さらに投資勧誘を行う全ての州で登録届出を行わなければならない
    ※アメリカでは連邦レベルでの証券規制に先立ち、19世紀中頃から各州が独自で法整備を進めていったという歴史がある。ある裁判官が「青空のように空想的で根拠のない投機を防ぐため」の法律であると宣言したことから、俗にブルースカイ法(Blue sky law)と言われる
  • パブリックプロトコルのネイティブトークン等、ネットワーク参加権に当たるトークンの場合、財務情報や事業報告などをしにくい

初回ではSTOの概要と、SECに登録届出を行いSTOを行う際の要件・制約について見てきましたが、次回は登録届出が不要となる免除規定について、詳しく解説をしていきます。

連載「STO解説コラム」
第1回:STOの基本概要~SEC登録届出プロセスまで解説
第2回:STOに適用の免除規定~コンプライアンス要求まで解説
第3回:STO市場のエコシステム~主要プレイヤーまで解説
第4回:STOに力を注ぐ仮想通貨取引所・証券取引所の解説
第5回:STOが市場にもたらす変革や発展の可能性まとめ

参考
注册制倒计时!看看美国怎么做的
Game of Regs: The STO Context

・Cryptoeconomics監修
CryptoAge こじらせ東大女子(@icotaku_utgirl)執筆

関連:セキュリティトークンとは何か?~証券トークンについて知っておくべきこと

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