シンガポール金融管理局がブロックチェーン採用を先導、銀行間送金アプリなど多数開発へ

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シンガポール金融管理局がブロックチェーン採用を先導、銀行間送金アプリなど多数開発へ

人口わずかに560万人の島国シンガポールが、フィンテック(Fintech)・ハブとして注目を集め、200を超える金融機関やイノベーションラボが進出している。

フィンテックの中心を成すブロックチェーン・エコシステムが驚異的に発達し、中央銀行に相当するシンガポール金融管理局(以下:MAS)は、既成の金融機関などを優遇税制などさまざまな支援をするとともに、ブロックチェーン・スタートアップ企業の発展に積極的に貢献している。

ブロックチェーン・DLT技術による銀行間送金「プロジェクト・ウビン」支援

MASのラビ・メノン局長によると、シンガポールには現在50社ほどのスタートアップ企業があり、ブロックチェーン中心のシステム上で機能している。ブロックチェーン・エコシステムがこれら企業を支援し、シンガポールの大学はブロックチェーン技術を学び、ベンチャーキャピタルは熱心に投資、大手テクノロジー企業はブロックチェーンを有効に利用する道を探っている。

MASはさらに2016年、フィンテック企業R3と提携して、ブロックチェーン/分散型台帳技術(DLT)を活用する銀行間送金プロジェクト「Project Ubin(プロジェクト・ウビン)」を開始した。その目的は、金融取引と処理の費用対効果を上げ、弾力性と透明性を増すことだ。「Project Ubin」は、MASを中心にしてコンソーシアムを結成し、クレディ・スイス、DBS Bank、シンガポール証券取引所、メリルリンチなどが参加している。

MASのチーフ・フィンテック・オフィサーであるソプネンドゥ・モハンティ氏(Sopnendu Mohanty)は2017年10月、シンガポールは新規テクノロジーの採用に進歩的戦術を採用していると語っている。MASは、ブロックチェーンと仮想通貨業界に対して、そのスタートアップ企業とICOに関連する状況について、「現実的姿勢」を採用している。シンガポールは今や、中小企業に有利な環境と技術革新で国際的に知られている

シンガポールは、仮想通貨に関する法律は施行していない。一方、銀行は危険性があれば、仮想通貨に関連する業務活動を規制する。

シンガポール金融管理局が東南アジア諸国の金融包摂向上を支援

シンガポール政府は他方、東南アジア諸国向けの金融包摂を向上する目的で、ブロックチェーン技術の開発を進めている。5月初旬に開かれたASEAN財務相・中央銀行総裁会議でシンガポールのヘン・スィーキェット財務相は地域の金融アクセスを向上するため、ブロックチェーンなどのイノベーションを高める政府計画を明らかにした。

同財務相は「われわれは特に、フィンテックのようなデジタル・イノベーションを支援する。例えば、分散型台帳技術は、安価で確実な取引のための多くの機会を与えてくれる。これによって、満たされず、銀行口座のないASEAN諸国の人々への金融包摂が促進される」と力説した。

フィンテック特許申請に迅速承認制度を導入

シンガポール知的財産局(IPOS)は、特許申請・処理手続きを簡略化して、フィンテク企業が早期に特許を取得できる政策を執っている。IPOSによれば、これまで最低2年はかかっていた特許取得が、6ヵ月で認可されるようになっている。シンガポール・フィンテック協会のChia Hock Lai会長は「シンガポールのフィンテック部門は急成長している。特許申請手続きが早まれば、企業はより早く製品を市場に出すことが可能になる」と語った。

MASのモハンティ氏は「製品化までの時間が極めて重要な業界では、フィンテック特許の迅速承認制度によって、製品とサービスをこれまで以上に迅速に商品化することができる。特許の高速処理によってシンガポールは、フィンテック企業にとってより魅力的な目的地になり、シンガポールの力を一段と強化することになる」と語っている。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考
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CCN