ステーブルコイン(Stablecoin)が色々と話題、トレーダーの間で盛り上がっているので、簡単に状況を整理します。
ステーブルコイン(Stablecoin)は今、何が起こっているのか
テザー(Tether/USTD)が急落して、他のステーブルコイン(Stablecoin)に退避させ、ドルとの乖離が発生し、トレーダーは値動きを期待してトレードをしています。
OKex(オーケーイーエックス)やBinance(バイナンス)など有力な取引所は、テザーの信用が落ちていることから、複数のステーブルコインの上場を続けています。取引所は、複数のステーブルコインのペアを作り、トレードさせたほうが手数料収入が増えるので、このような新規上場の流れは変わらないと思います。
今のところ、Huobi(フォビ)だけが例外のアプローチをとっており、Huobiに各種ステーブルコインを入金するとHuobiのアカウント内では、「HUSD」表記になります。
Huobi(フォビ)が行うアプローチとは?
HUSDをHuobi(フォビ)から引き出す時は、自分が好きなステーブルコインに変換して出金ができるというものです。Huobiのようなソリューションは取引所プラットフォーム側の視点が、下記のようになります。
- 取引ペアを作成しておらず、トレード収益を得れるマネタイズ機会を捨てている。
- 低リスクのステーブルコインからユーザーは先に出金をして、Huobiが保有するステーブルコインには高リスクのものが残る。
上記のような2点で取引所側が不利です。
なので、ステーブルコインの値段乖離が盛り上がっているうちは、Huobiの手法をすぐフォローする他の取引所は少ないのではないかと予想します。もちろんユーザービリティの観点では、Huobiのほうが望ましいですが、トレードが盛り上がっているうちは、そのようにならないでしょう。
とはいえ、ステーブルコインの価格変動が収まり、リスクヘッジ出来ればこちらのほうがユーザビリティが高いですし、そのときは他の取引所もこの手法を採用するかもしれません。
ステーブルコイン価格変動に伴い、各ステーブルコインのマーケットサイズの確認や、ボリュームドミナンス、それぞれの現在価格などを確認できるサイトも登場しています。
様々な企業からステーブルコイン(Stablecoin)が発行
テザー(Tether/USTD)に関しては、執筆時点では1ドルの値段をつけていますが、ときによって2-3%のマイナスプレミアムが常についていることもあり、それはテザーの低い信用を可視化しています。
ですが、2-3%の乖離はともかく、ステーブルコインは本当に1ドルと等価なのかと考えると、そうではありません。
理論的には、下記のマイナスプレミアムが考慮されるはずです。
- ステーブルコインには金利がつかず、実際の法定通貨を銀国保有捨て得られる金利分だけマイナスプレミアムがあります。(カストディがあるタイプのステーブルコインの場合、この金利は発行体が吸収し、ステーブルコインの発行会社のマネタイズポイントの一つです)
- テザーのように、カウンターパーティーリスクがある分だけマイナスプレミアムの考慮が必要
- カウンターパーティーリスク以外に、イーサリアム(Ethereum)などのブロックチェーンの技術脆弱性やスマートコントラクトの内容次第でマイナスプレミアムが考慮される可能性がある。
ステーブルコインについては、これまで様々なものが提案されており、主には下記などがあります。
- 担保型(代表:Tether、TrueUSD)
- 分散的に担保を管理する手法(代表:DAI)
- シニョレッジ・シェア型(代表:Basis)
これまで下記のようなステーブルコインが開発されてきました。
また、特に2017-2018年にステーブルコインを有望な分野だとして、非常に大きな分野とされています。各ステーブルコインがどのようなファンドから投資をされているかをマッピングした図が下記です。
ステーブルコインが、これほど数多く生き残るかは悩ましい問いですが、ステーブルコイン自体は重要な領域であることは間違いありません。
しばらくステーブルコインに対しての注目は、冷めないでしょう。
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