韓国の仮想通貨規制幹部が自宅で死亡、原因は過度のストレス?それとも…

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センタリング

韓国政府で仮想通貨規制の旗振り役だった国務調整室・経済政策調整室長の鄭ギ駿(チョン・ギジュン)氏(52)が2018年2月18日朝、自宅で亡くなっているのが見つかった。チョン氏はまだ52歳で、命を脅かすような病歴はなかったという。

韓国の聯合ニュースによると、韓国警察が死因を調べているが、21日まで検察医からの報告は受けていない。韓国メディア報道によると、チョン氏は睡眠中に心臓発作に襲われたという。チョン氏の同僚の話では、仮想通貨規制についての関係各省の見解を調整する職務に就いて以来、大きなストレスを感じていたという。

チョン氏は仮想通貨規制の調整で過度のストレスに悩む

韓国は2017年、仮想通貨に深くかかわり、政府は取引所での匿名の取引からICOの発行まで、急速に変化するエコシステムのリスク面から市民を守る責任を果たしてきた。

2017年11月末、韓国政府は仮想通貨の規制について、国務調整室のホン・ナムギ国務相を議長とする副大臣級の定期会議開催を決定、チョン氏は意見を調整する責任を負っていた。同氏は、仮想通貨をめぐる投機や違法行為を抑えるための新たな法案の作りに深く関与していた。

李洛淵(イ・ナギョン)首相は2017年末に、「仮想通貨の手数料値上げは、深刻なゆがみもしくは病的現象につながりうる」と警告していた。

「キムチ・プレミアム消失、韓国バブルは破裂」とまで報道

韓国は2017年以来、ビットコインはじめ仮想通貨に熱狂的な取引が行われ、政府関係当局は取引の規制に忙しく対応してきた。

昨年の世界のビットコイン全取引量の決済通貨は、1位は米ドル、次いで日本円、ユーロで、韓国は4位にランクされた。韓国ウォンは、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)などアルトコインでも2位で取引された。

ビットコイン価格は、韓国では他国より高い価格で取引されることで知られている。これは韓国が狂乱の仮想通貨取引環境だったことを物語っている。この数ヵ月でも、韓国ではビットコインが他国より50%高で取引されている。韓国のトレーダーは、このような状態を「キムチ・プレミアム」と呼んでいたが、2018年1月にビットコイン価格が6000ドルまで下落した際には、「キムチ・プレミアム消失、韓国バブルは破裂」とまで報道された。

仮想通貨をめぐる国民的論争の犠牲に?

チョン・ギジュン氏の訃報は、韓国国内や日本などではほとんど報道されていない。欧米のメディアは、韓国での熱狂的な仮想通貨取引事情や規制の動きを詳しく報道してきただけに、チョン氏の死亡にも特別の関心を示している。

チョン氏は亡くなる2日前、仮想通貨の規制について、「政府レベルで十分な協議と意見調整を経た上で決定する」と、当面の政府見解を発表した。強硬派の朴相基(パク・サンギ)司法相は11日、投機の過熱で仮想通貨取引による副作用が深刻になっていることに対して、取引所の閉鎖を推進する考えを表明していた。

2017年12月28日、「特別対策で司法省が提示した投機抑制対策」の1つとして、今後、国務調整室が中心となって政府内の意見を調整し、政府レベルで対応していく方針が再確認された。そんな時の朴司法相の発言だ。青瓦台(韓国の大統領官邸)はチョン氏を通じて「確定していない」と、火消しに懸命だった。チョン氏の訃報は、仮想通貨をめぐる国民的論争と無縁ではないことだけは明らかだろう。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考:
Bitcoin.com
聯合ニュース