韓国がICOなど仮想通貨規制を一転緩和か、金融監督院(FSS)トップ交代が契機に

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韓国がICOなど仮想通貨規制を一転緩和か、金融監督院(FSS)トップ交代が契機に

韓国の規制当局である金融監督院(FSS)は、2018年5月8日付でユン・ソクホン(尹碩憲)氏が新長官に就任,コリア・タイムズ紙に対して「仮想通貨規制の緩和を考慮する」と語った。韓国の最高財務責任者の1人であるユン長官の発言は、そのまま仮想通貨の緩やかな規制緩和につながるものと期待が高まっている。

ユン長官は、キム・ギシク(金基植)前長官とは違って、活動家で改革論者として知られている。同長官は記者団に、「仮想通貨については、いくつかの肯定的な側面がある。対応・検討する必要がある問題点が多く、それらを徐々に特定し、見直すことになる」と語った。

2017年9月以来の規制の緩和に向けて協議開始へ

韓国には、FSSを監督する国務総理直属の金融委員会(FSC)が存在する。FSCは、ユン氏が仮想通貨業界の「イノベーションをリードする」理想的な人物だと評価している。ユン長官は記者団に、仮想通貨の規制問題では「FSCの監督を受けて密接に協力する」意向である。

FSSは2017年9月、国内でのICO(Initial Coin Offering)の全面禁止を発表した。一方、FSCは2018年1月、サービスを提供する取引所や銀行双方に対して、実名による取引口座の利用を命じて、匿名によるすべての仮想通貨の取引を禁止していた。

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韓国最大手仮想通貨取引所ビッサム(Bithumb)のイ・ ジョンア副社長によると、この規制の導入によって仮想通貨の取引活動が激減し、1日の取引額は同規制が導入される前の4兆ウォン(約37億米ドル)から約4,000億ウォン(約3億7,200万米ドル)にまで急落したという。

ユン長官は、規制緩和に向けて検討を開始するに当たって、FSCとの関係調整が重要であることを強調している。同長官は記者団に、「FSSは、政策や金融機関に関する調査の範囲や構成について、FSCと連携・協力することになる。FSCが政策の調査を行い、FSSはFSCの監督の下で金融機関を審査・監督することになる」と、微妙な発言をしている。

与党国会議員グループが一定枠のICO合法化法案提出に動く

仮想通貨市場は、新長官を迎えたFSSが、仮想通貨取引の規制緩和に動く可能性があると歓迎している。ユン氏はソウル大学の経済学部 客員教授で、FSS長官に任命される前には、FSCの下で規制機関による改革の取り組みを計画する委員会の委員長を含む多くの公職に就いていた。またFSCの金融管理革新委員会の議長を務めていたこともある。

別の大手取引所アップビット(Upbit)関係者は「規制に反対はしないが、規制するだけで市場が完全に抹消されることはない。FSS新長官がなすべきことは、暗号通貨取引とブロックチェーン技術の改善を促すために、規制当局がどのような措置を講じなければならないということだ」と語った。

韓国にはまた、別の新たな動きもある。コリア・タイムズによると、与党民主党のホン・ウィリク(洪宜洛)議員ら10人の議員グループは、ICOを合法化する新法案の提出を進め、2018年中に可決を目指しているという。法案は、ブロックチェーン技術開発を進める研究機関や公共機関によるICOに限って合法化するもので、民間企業などの資金調達については、当面考えていない。

2018年中には規制緩和の観測強まる

韓国では2018年3月前後から、規制緩和の動きが出始めた。機を見るに敏な仮想通貨業界の中でも最大手のビッサムは3月、キオスクやレストランでの支払いにビッサムブランドの3つのサービスを提供し始めた。Touchpad、Touchbone、Bithumb Cacheの3サービスである。

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ユン長官の就任は、業界の規制緩和ムードを高める新たな動きである。規制強化で海外に逃避してしまった取引資金を呼び戻す方向で、韓国は2018年中に思い切った緩和政策に転じるのではないかとの予測につながっている。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考
CCN
Bitcoin.com