スウェーデン通貨クローナが消える?「eクローナ」への転換報道に金融当局が慌てる

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スウェーデン通貨クローナが消える?「eクローナ」への転換報道に金融当局が慌てる

スウェーデンが世界のどの国よりも早く、法定通貨クローナが消えてデジタル通貨「e-krona(eクローナ)」に取って代わる可能性をニューヨークタイムズ紙電子版(2018年11月21日)が伝えています。

同紙によると、スウェーデンでは街中のATMが閑散としており、eクローナ開発を進めている政府金融当局が慌ててその勢いを抑制し始めていると伝えています。小売業者の半数は、同国では2025年までに現金決済を中止するのではないかと予測しています。

キャッシュフリーの事態評価完了までeクローナ発行推進を抑制

「スウェーデンが現金排除に動く」の大見出しで伝えられたこのニュースには、ひっそりとした街中のATMの写真が掲載されています。同紙は記事の冒頭に「誰もが予想した以上に速く、この国から現金が消えていく。今や、(金融)当局者がその終焉の時期を遅らせようと努めている」と生々しく記述しています。

eクローナ発行政策を進めてきた金融当局は今や、キャッシュフリー(脱現金)の事態を評価し終わるまで、紙幣やコインを長持ちさせるよう関係部門に指示したと伝えられています。法定通貨の消滅を予測した中央銀行のスウェーデン国立銀行は、eクローナのテストを進める傍ら、通貨供給量をしっかり管理しています。同行のステファン・イングベス総裁(Stefan Ingves)は「時間を巻き戻すことはできないが、変化に対応する方法を見いださなくてはならない」と語りました。

スウェーデン国民の大多数は、買い物などをキャッシュで支払うか聞かれて、「ほとんどない」と答えます。約1,000万いる国民の5人に1人は、もはやATMを利用していません。4,000人余りの市民が、腕に電子決済にも使用できるマイクロチップを埋め込んでいます。

世界中で財布は持たず、カードとモバイル決済が日常に

世界の都市部住民は、アプリやカードで支払いを済ますケースが増えています。スマートフォン全盛の中国やその他アジア諸国は、モバイル決済が日常になっています。オランダの金融機関INGグループの調査によると、欧州では5人に1人は財布を持ち運ぶことはめったにないそうです。ベルギーやデンマーク、そしてノルウェーでは、デビットカードやクレジットカード利用が記録的な高さになっています。

モバイル&カード決済

スウェーデンでは、特に若い世代がどの国よりも先進的な考え方をしています。国際決済銀行(BIS)の調査によると、スウェーデンでは紙幣やコインの流通は経済の1%程度で、他の欧州諸国は10%、米国は8%になり、2010年から40%も減っています。また、驚くべきことにスウェーデンの18~24歳の世代は、95%の買い物でデビットカードか、大手銀行グループが設定した決済システム「Swish」と呼ばれるスマホアプリを利用しています。

人気の家具店イケア(IKEA)は、現金払いの割合が1,000人の顧客に対して1.2人まで減ったことに合理的に対処するため、一部店舗で現金払いの中止実験を試みました、将来キャッシャーを閉鎖する動きの1つです。シニアマネジャーのパトリック・バーステイン氏は、店内のカフェテリア利用客に対して、「お客さん、50セントのホットドッグをお買い上げなら、どうぞお召し上がりください。次にご来店の際はよろしかったらカードをご持参ください」と、従業員に対応させたそうです。

現金を扱わない銀行が増えて銀行強盗事件が劇的に減少

スウェーデンの銀行は、安全性を理由に現金を扱うこと嫌います。その好例は、2008年に銀行強盗事件が210件発生しましたが、17年には僅かに2件でした。銀行を襲っても現金が見つからない時代になっています。ATMが銀行から消えていく時代です。

スウェーデン国立銀行は19年から、試験的なeクローナを発行する計画です。パイロットバージョンのeクローナは、法定通貨に代わりうるものか、少なくとも当面の現金に関連する困難な諸問題を鎮静化することが狙いです。

国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は11月中旬、世界の中央銀行は、取引をより一層安全確実にするためデジタル通貨の発行を真剣に考慮すべきだと語りました。スウェーデン国立銀行のイングベス総裁は「これは現金(法定通貨)に対する戦いではないが、この革新的の動きが止まるとはだれも予測しない」と表現しています。スウェーデンの商業銀行や企業、そして個人ですら、10年以内に完全にキャッシュレス社会になる準備を進めているようです。銀行はすでに、1,400行の支店が現金を持ち込む預金を受け付けません。

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参考
New York Times
ING
Bank for International Settlements

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