スイス政府が独自仮想通貨「e-franc (eフラン)」発行に向けて正式調査開始へ

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スイス政府が独自仮想通貨「e-franc (eフラン)」発行に向けて正式調査開始へ

スイス政府は、独自の仮想通貨「e-franc(eフラン)」発行を目指して、そのリスクとチャンスに関するリポートを提出するよう連邦議会に正式に要請した。eフランは、ビットコインのような民間が発行するコインと類似しているが、政府の直接支援を受ける点が異なる仮想通貨である。

ロイター通信が2018年5月18日に伝えたもので、スイス連邦会議の下院はこれによって、スウェーデンの先例にならって、独自仮想通貨について検討する調査委員会を早急に発足させることになる。

中銀発行の仮想通貨は中国、シンガポール、英国などかなりの国で検討中

いくつかの国は、国が支援する独自のデジタル通貨を発行する可能性を評価し始め、例えば「e-crown(eクラウン)」の発行を目指すスウェーデンのリクスバンク(Riksbank)は、キャッシュ利用を拒むことで生じる問題を解消し、決済システムをより堅ろうにすることを目指している。

しかし、ビットコインのような既存のデジタル通貨は、極端なボラティリティ、高度なハッキング、長期的な可能性に対する疑念などさまざまな問題を抱えている。

そんな中でベネズエラはすでに国家支配仮想通貨「Petro(ペトロ)」を発行、主要経済大国はこれまでのところ介入を避けて、成り行きを注視している。国際決済銀行(BIS)は3月、独自の仮想通貨発行前に、ありうるリスクや波及効果について真剣に検討すべきであると世界の中銀に警告している。

eフラン発行は、社会民主党副総裁のセドリック・ウォーマス下院議員が提案したもので、政府として正式に検討することを求めている。同議員は提案の中で、中国、シンガポール、カナダ、イスラエル、英国、ロシアなどが、中銀の支持を受けた仮想通貨の発行について積極的に検討していると指摘した。

発行を前提にeフランの法律、経済、金融上の問題点を解明

eフラン発行が承認されれば、検討結果はスイス財務省に提出される。発行されるとしても、時期がいつになるかは現時点では明らかではない。

連邦政府に相当し、連邦議会議員7人で構成するスイス連邦参事会(内閣)は5月17日声明を発表し、「参事会は、e-フランの使用に伴い、法的および金融面で大きな変革が起きる可能性を理解している。eフランのリスクとチャンスを調査し、eフランの法律、経済、金融上の見通し明確にするために、この提案が採択されることを要請する」との公式見解を発表した。

半年前からe-フラン発行を目指す調査開始の準備進む

eフラン発行の計画は2018年初めごろから具体的な動きが出始めていた。1月には、スイス証券取引所のロメオ・ラッハー会長は、国内経済を振興し、キャッシュレス金融インフラ育成のために、国家所有の仮想通貨の発行を政府に要請した。

スイス金融市場監査局(FINMA)は2月、ICO発行のためのガイドラインを公表している。さらにスイスのヨハン・シュナイダー・アマン経済相は1月、「Crypto Nation(仮想通貨国家)」になるよう呼びかけ、「Crypto Valley(クリプトバレー)」として知られるツーク市のように、積極的な行動を呼び掛けている。

一方、スイス国立銀行(SNB、中銀)は今のところ、この問題に警戒心が強い。SNBのアンドレア・メクラー(AndréaMaechler)理事は4月に、「民間部門のデジタル通貨は、中銀が発行するかもしれないバージョンより優れて、リスクも低い」と発言していた。

eフラン発行が実現するかどうか当面は不明だが、発行を目指してその可能性を調査する政府主導の正式調査が始まることは間違いない。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

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参考:REUTERS
参考:CCN