米国と欧州の亀裂深まる、ドイツ外相がSWIFTに代わる独自システム採用呼び掛け

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米国と欧州の亀裂深まる、ドイツ外相がSWIFTに代わる独自システム採用呼び掛け

ドイツのハイコ・マース(Heiko Maas)外相が、長年利用されてきた国際送金システムSWIFT(国際銀行間通信協会)とは別の欧州独自のシステム創設を呼び掛けました。

1974年以来、銀行間の国際送金に利用されてきたのはSWIFTですが、マース外相はこのほど、米国(特にトランプ大統領)との確執を理由に、米国の影響力の大きいSWIFTを見捨てるととれる深刻な発言をドイツの日刊経済紙ハンデルスブラット(Handelsblatt)に寄せました。米国のSWIFT独占支配に対するまさに「驚くべき不信任投票」となるのでしょうか?

マース外相がトランプ氏に反発「米欧の固い絆は今や歴史となった」

ブロックチェーン技術による国際決済は現在、例えばRippleのようにすべてテスト段階ということで、海外への送金はSWIFTに依存しています。SWIFTによる決済額は、2012年の推計値によれば1日当たり6兆ドル(約665兆円)にもなると言われます。SWIFTからの離脱は、世界の国際金融が大きく転換することを意味します。ベルギーのブリュッセルに本部のあるSWIFTは、米国によって支配さていることは紛れもない現実です。

マース外相は2018年8月21日付のドイツ日刊紙「ハンデルスブラット(Handelsblatt)」に寄稿し、米国を厳しく批判しました。同外相は米欧関係が年々落ち込んでいる事実を挙げて、(ロシアを念頭に)もはや米欧共通の敵はいないとして次のように指摘しました。同外相は特に最近の例を挙げて、イラン核合意離脱を決定(2018年5月)したトランプ氏を批判しました。

「米国と欧州は長年にわたって、隔たり続けてきた。2つの世代の関係を形成してきた価値観と利害関係の共通部分は低下しつつある。東西(米ソ)紛争によって生まれた固い絆は、今や歴史になっている」

米国支配のSWIFTシステムを離脱して欧州通貨基金(EMF)創設呼びかけ

マース外相はその上で、米欧関係はトランプ氏の大統領選挙前より悪化していると批判するとともに、「欧州は、頭越しにわれわれの犠牲を強いる米国の思い通りにはならない。そのような理由から、われわれは米国とは別の決済チャンネルを確立して、欧州の自律を強化することが重要だ」と主張する。別の決済チャンネルとは、同外相の言う「SWIFTシステムとは別の欧州通貨基金(EMF)」のことです。

それでは国際決済システムSWIFT離脱は、今後の世界的金融政策にどのような影響をもたらすでしょうか?

実は、米国と欧州の金融アライアンスは、最も長い年月続いてきた一例であり、第二次世界大戦中と戦後の米欧結束を固めた最重要の政策です。このようなアライアンスの破綻は、世界金融を揺るがせるとともに世界情勢のほかの側面すべてに影響を及ぼすことになります。

SWIFT離脱はブロックチェーン技術の国際決済に朗報になるのか?

世界ではさまざまな事態が同時進行しています。米中貿易戦争は深刻な様相を見せています。イラン、ベネズエラ、ロシアはすべて石油対象生産国であり、現行の法定通貨金融インフラストラクチャーとその石油への緊密な関係とは別の新しいシステムを創設するため、独自の仮想通貨発行に目を向けています。

欧州委員会(EC)は2017年12月、政策文書「EMUの深化のためのロードマップ」を公表しました。これは2015年6月発表の欧州経済通貨同盟(Economic and Monetary Union=EMU)構想を進化させたもので、行き着くところは欧州通貨基金(European Monetary Fund=EMF)の創設です。

現行の世界金融体制は揺らいでいます。その反動として、ブロックチェーン技術と仮想通貨が重要な役割を演じ、にわかには信じられませんが、迅速、簡便、プライベートで非中央集権という新しいグローバルナ金融インフラ創設に重要な役割を果たす可能性があります。

欧州通貨基金(EMF)の構想は、どこかブロックチェーン技術と仮想通貨を連想させます。米国支配の法定通貨による金融システムからの離脱は、非中央集権化された仮想通貨と金融の将来を変えるかもしれません。

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参考
Cryptodisrupt
Zerohedge
EuropeanCommission