多くの投資初心者は相場の上下や勝率ばかりを意識してしまい、資金管理を怠り失敗するケースがよくあります。
資金管理の考え方をいくつか身につけるだけでもトレード損益は大きく変わります。
資金管理はメンタル管理にもつながる重要なスキルですので、きちんとポイントを押さえましょう。
目次
資金管理は「いくらで」「どのくらい」
投資を始めた時に、「いつ」「どっちに」注文を出すかを考えやすい一方で、「いくらで」「どのくらい」注文を出せばいいのかについては意識が低い事が多いです。
投資する資金量をルール化し、それぞれの状況にふさわしい目安を設定する事が資金管理のスキルと言われるものになります。
その中でも今回は「レバレッジ」について基本的な考え方を紹介したいと思います。
レバレッジは自分以外のお金を運用しているのと同じ
レバレッジ取引と聞くとてこの原理を連想し小難しいように感じられますが、単純に自分以外のお金を運用していると同じです。
例えば100万円の金融商品に対して10倍のレバレッジを効かせていれば、10万円しか自己資金(自分のお金)を必要としないというのがレバレッジ取引のポイントです。
90万円は自分以外の資金を一時的に借りて運用を行っているため、結果的に100万円を運用しているのと同じ効果が得られます。
信用取引であればお金を借りている状態となるため金利を支払う必要がありますが、証拠金取引の場合は金利が必要ないため、手数料を除けば小額の資金で多額の運用を行う事ができます。
レバレッジ取引には気を付けるべき点も
こう聞くと一見錬金術のような仕組みにも思えますが、レバレッジ取引を行う際は現物取引よりも注意が必要となります。
例えば100,000円の自己資金で1,000,000円の運用を行っていた際に、金融商品がデフォルトし現物価格が0円になってしまうと他人資本である90万円(+信用取引なら金利)の赤字を負担します。
他人のお金を借りて運用を行う以上、自分の資金がなくなるだけでは済まないのがレバレッジ取引の怖いところです。
このようにレバレッジ取引はリスクの高い取引手法なので、正しい考え方に基づいて適切に運用する必要があります。
レバレッジは資金効率を上げるため
このレバレッジとの付き合い方は、個人投資家の資金管理で最も重要なスキルと言えるでしょう。
まずは大鉄則です。
レバレッジは自分の資金管理の効率を上げるため、というポイントを忘れないでください。
日経平均先物や原油CFDなどの金融商品と同じく、BTCも取引所によっては20-25倍程度までのレバレッジをかけられます。
ですが、これらは25倍の値動きを常に期待するためではなく必要なリターンに対して自己資金を最小化(最小で4%に)するためと考えてください。
レバレッジをかける目的は?
例えばレバレッジ10倍で1BTC=400,000円で購入する時には必要な証拠金は40,000円です。
ここでレバレッジをかける理由は、400,000円必要なところを40,000円に限定する事で360,000円が柔軟に使える状態を維持し、突然お金が必要になった等の理由でトレードを辞める障害をなくす事にあります。
400,000円で10BTCを購入する必要性はありませんし、そのようなトレードは極めて危険です。
もちろん綱渡りのような心理状態でトレードをするのが好きだったり、裁定取引のように確度の高い手法なのであれば最大のレバレッジで取引することも可能です。
しかし最悪BTCの価値が大きく毀損するような事態になれば多額の赤字が発生するため中長期の投資家にはお勧めはできません。
また、投資歴の長い方でも例えばFX感覚でレバレッジをかけてしまうとBTCは極めて危険です。
G10カレンシー(先進国通貨)はレートがダイナミックに変化する事は稀ですが、BTCの場合は1日15%程度の値動きなら想定の範囲内だからです。
レバレッジをかけるならボラティリティを意識する
とはいえ、レバレッジをかけて運用を行えば大きな利益を狙えるのも事実です。したがってレバレッジをかけて取引を行いたい場合は下記の点を意識すると良いでしょう。
・相場がレンジかトレンドか
・今のボラティリティはいつもの何倍くらいか
まずレンジかトレンドかの判断ですが、トレンド相場でレートが1BTC=410,000円から430,000に上昇したとして今後も価格が上昇する見込みがあるのであれば、レバレッジ比率を高めて買い増しを行うのも良いでしょう。
最悪420,000円にBTCが下落しても損益をフラットにできるからです。ただし、トレンドに逆行したり、長く続いたレンジ相場である場合はあまりレバレッジ取引をお勧めしません。
予想外の事態になった際に取り返そうとしてしまい冷静な判断ができなくなるからです。
また普段の相場に対してボラティリティが直感的にどのくらいなのかも良い判断軸です。
これは、テクニカル分析のボリンジャーバンドでも簡単に確認できます。
テクニカル分析を使ってみよう
例えば普段のボラティリティに対して2倍(ボリンジャーバンドが2倍に広がった)なのであれば、レバレッジを半分に戻したり、逆にボラティリティが低い相場に限定してレバレッジを2倍にします。
いずれにせよ、期待するリターンと損失上限に対してレバレッジを調整する、という思考の順序が大切です。
レバレッジ × ボラティリティ が一定になるように意識すると、損失を限定する事ができます。
なお、ここ最近のボラティリティから、筆者が考えるBTCの適正レバレッジはデイトレードなら最大でも6倍、中期投資なら2-3倍程度です。
まとめ
どれだけ勝率が良くても、レバレッジが高すぎると予想外の値動きについていけなくなります。
LTCMという有名なヘッジファンドも優れた戦略を持ちながらレバレッジをかけすぎたために破綻しました。
著名長期投資家のウォーレンバフェットは、レバレッジに対して否定的な見解を示しています。
レバレッジを上手くコントロールして、負けない投資家を目指しましょう。
次回は、打診売り・打診買いについて説明します。