決定版!ビットコインETFの最新事情~課題と展望を改めて総整理、SEC主導で年明け早々にも承認へ?

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決定版!ビットコインETFの最新事情~課題と展望を改めて総整理、SEC主導で年明け早々にも承認へ?

ビットコインETFの申請がまたまた却下され、仮想通貨市場を賑わしています。これまでに25本以上のビットコインETFが申請されていますが、五月雨式に却下や取り下げ、判断先送りといった報道が流れることから、情報が錯綜しており、一部の専門家を除くと何が起きているのかさっぱり分からない状況となっています。

そこで今回は、ビットコインETFを巡る最近動向をまとめ、ポイントを改めて整理することで、実はSECの主導で年明け早々にも承認が期待できるのではないか?ということを紹介します。

5つのガイドライン、扇の要は投資家保護

米証券取引委員会(SEC)は22日、プロシェアーズなど3社が提出した9本のビットコインETFの申請を却下しました。却下の理由に入る前に、まずはガイドラインから確認しておきましょう。

関連:SECが9つのビットコインETFを却下と発表、その理由とは?

ビットコインは昨年12月、シカゴ・オプション取引所(CBOE)とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で先物取引が開始されましたが、この動きに合わせてビットコインETFの上場申請が殺到したことから、SECは今年1月にガイドラインを公表し、審査基準を明確化しています。

ガイドラインでは、以下の5つを懸念材料として挙げています。

  1. バリュエーション
  2. 流動性
  3. カストディ
  4. アービトラージ
  5. 価格操作・不正行為

参考:SEC(ビットコインETFに対する5つの懸念)

ただ、こうした懸念は証券市場でも同じであり、たとえばインサイダー取引に対する懸念がなくなることはないでしょう。したがって、ビットコインには流動性がないからダメ、価格操作の疑いがあるからダメという話とはややニュアンスが異なります。

SECが求めているのは、投資家を保護するためにこれら5つの懸念に対してどのような対策が取られているのか、そこを明確にしてSECを納得させてほしいということです。マーケットで取引されている以上、価格操作の疑いから逃れることは難しいのですが、疑いがもたれないように工夫することは可能であり、そうした注意がきちんと払われているのかを見ているわけです。

現物の受渡しのない先物はダメ

では、5つのガイドラインを踏まえて、これまで申請が却下されてきた背景を見てみましょう。

参考:SEC(ビットコインETFの申請を却下)

まず、22日に却下された9本のETFはすべて先物をベースにしています。ビットコインの先物市場はまだ新しく、現物市場に比べるとまだ取引規模も小さいことから、流動性が高いとはいえません。したがって、大口取引による価格操作の懸念が残るといえるでしょう。

ただ、理由はそれだけではありません。ETFとは、Exchange Traded Fundの略で上場投資信託のことですが、指数に連動するタイプと商品に連動するタイプとでは大きく構造が異なります。

たとえば、前者の代表が日経平均連動型ETFであり、後者は金(ゴールド)連動型ETFです。同じETFでも指数型と商品型では準拠する法令が異なっており、見方によってはまったくの別物となります。

SECはイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を証券と見なすことを基本方針としていますので、ほとんどの仮想通貨は証券に分類される恐れがあります。ただ、ビットコインは証券ではないと考えられており、では何なのかというと「商品」であり、ビットコインETFは商品型ETFに準拠して上場されることになります。

関連①:米SEC、ICOの資金調達において発行されるトークンは証券とみなす方針が明らかに

関連②:「仮想通貨(ビットコイン)はコモディティ」と判決、この規制が及ぼす影響とは?

一般に指数連動型のETFは差金決済をベースとしていますが、多くの商品型ETFには現物の裏付けがあります。ただ、ビットコインには金のような実体がありませんし、ビットコイン先物は現物の受渡しを伴わない差金決済です。

一般に商品先物は現物の受け渡しが可能であり、たとえば金先物を買えば、決済日に差金決済をすることもできますが、現物を受け取ることも可能です。それに対し、ビットコイン先物を買っても差金決済の一択ですので、ビットコインを受け取ることはできません。

商品型ETFの中には先物に連動するタイプもありますが、SECはそもそも実体の怪しいビットコインにおいて、連動する先物取引が現物の受け渡しを伴わないことを問題視しています。

したがって、今回申請が却下された9本のETFは先物取引の流動性の低さのみならず、
現物の受け渡しを伴わない先物取引に連動していることも却下の理由となったようです。

現物取引の壁として立ちはだかるカストディ問題

では、現物をベースにしていれば問題なしかというとそうではありません。カストディ問題が最後の難関として立ちはだかっているからです。

カストディとは証券管理のことで、通常は証券会社が請け負っています。ビットコインETFでのカストディ問題は、まずはビットコインそのものの分離保管が難しいこと、さらに信頼できるカストディアンの不在という2重構造となっています。

投資信託ではファンドマネジャーが顧客から資金を預かって資産運用をしていますが、この点はETFも同じです。そして、ファンドマネジャーは顧客の資産を分離保管する義務を負っているのですが、ビットコインはその構造上、購入者と所有者が一致しますので分離して保管するのが難しいと考えられています。

すなわち、ファンドマネジャーは少なくとも一旦は自身のアカウントに入ったビットコインを顧客に振り分けられることになりますので、恣意的に配分される可能性を排除できないわけです。

また、ETFの運用には信頼できるカストディアンが必要と考えられていますが、現時点ではビットコインETFをしっかりと管理できるカストディアンがいないのが実情です。

SECは7月にビットコインの現物をベースとしたWinklevoss Bitcoin Shares(ウィンクルボスETF)の申請を却下していますが、ETFの運用者がカストディアンを兼務している点が問題視されたようです。

このように、ガイドライン公表から半年以上が経過し、5つの懸念の中でも焦点はカストディ業務に絞られてきています。

こうした状況の中、救世主として登場したのがBakkt(バクト)です。バクトはニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社であるインターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)の肝いりで設立された新会社であり、現物をベースとした先物取引の開始と機関投資家向けのカストディ業務の提供を高らかに宣言しました。

まさに、ビットコインETFの行く手に立ちはだかる障害を打ち砕くことが意図されており、全世界の金融市場の頂点に君臨するNYSEが仮想通貨の普及にいよいよ本腰を入れたことを示唆しています。

関連:ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社ICEがデジタルアセットのプラットフォームとしてBakktの立ち上げを発表

ETFは市場の安定化へ寄与、SECが先導役で年明けすぐにも上場か?

最後にSECサイドから見たETFのメリットを紹介しましょう。ビットコインETFは投資家目線でメリットが語られることが多いのですが、実は投資家保護を御旗に掲げるSECからも切望されているからです。

米国初のETFはSPY SPDR S&P 500 ETFで上場は1993年です。専門家の間でもあまりしられていないことですが、最初のETFが作られるきっかけとなったのは1987年10月に起きた株価の大暴落、いわゆるブラックマンデーだといわれています。

ブラックマンデーは史上最大の下落率を記録しているにもかかわらず、その原因ははっきりしていません。売りが売りを呼んであっという間に暴落してしまったのです。こうした事態に直面し、SECは株価の急落時など市場が不安定化したときにS&P500の構成銘柄をバスケットで一度に取引できれば株式市場の安定に寄与するはずだと考えました。

こうして米国初のETFの開発は他ならぬSECからの要請でスタートしたのです。こうした経緯を振り返ると、ETFは市場の安定化装置としての役割が期待されていることがうかがえるでしょう。

すなわち、現物の取引市場が確立しており、そこに先物取引とETFが加わることで、市場に厚みと安定感が増し、突き詰めれば投資家保護に貢献することになるのです。

ウィンクルボスETFを審議した4人のSECコミッショナーのうち唯一の賛成票を投じたへスター・パース氏は「ビットコインETFの上場を阻止する動きは、投資家にとって不利益だ」と断言しています。

ビットコインETFの申請が相次いで却下されていることから、SECは上場に反対しているようなイメージを持つかもしれませんが、実際は逆なのかもしれません。SECは上場を待ち望んでおり、そのための整備を促した結果がバクトの設立だったのはないでしょうか。

ビットコインETFの最後の砦、CBOEが申請しているVanEck SolidX Bitcoin Trust(CBOE ETF)は審議が9月30日にまで延期されました。

ただ、バクトでの先物取引の開始は11月が予定されていることから、最初のETFの承認はこの取引開始を待つことになるでしょう。カストディ業務の整備が順調に進んだ場合、2019年の年明け頃が最初のビットコインETFが上場される一つの目途となりそうです。

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参考:Marketwatch