第四弾:セキュリティトークン関連の最も重要な米国での議論~証券トークンについて知っておくべきこと

編集部ピックアップ

第四弾:セキュリティトークン関連の最も重要な米国での議論~証券トークンについて知っておくべきこと

第一から三弾に続いて、セキュリティトークン(Security Token/証券トークン)についての解説を行います。よく話題にあがるセキュリティトークンというトピックには多くの投資が集まり、様々なプロジェクトが立ち上がっています。セキュリティトークンについての規制に関しても議論される非常に重要度が高いトピックです。

セキュリティトークンの売り出しは、IPO(公開株式市場に上場)、ICO(トークンの売り出し)に対して、STO(Security Token Offering)と呼ばれます。

前回コラムでは、なぜアメリカの企業がセキュリティトークンに熱心なのか、セキュリティトークンが盛り上がる理由について紹介しました。第四回目は、特に重要度が高いアメリカで行われている議論について解説をします。

▼連載
第一弾:セキュリティトークンとは何か?
第二弾:セキュリティトークンの領域にベットする主要プロジェクトリスト
第三弾:なぜ米国企業はセキュリティトークンに熱心なのか?

米国で議論をされている証券に関する取り扱いの大きな議論

現在、アメリカで議論をされている「Jobs act 3.0」(Jumpstart Our Business Startups Act)について解説をします。これは今後、アメリカでの株式会社の上場基準や適格投資家基準について関わるものですが、暗号通貨・ブロックチェーンの文脈でも大きな影響があると予想されます。

現在、下院を4票の反対に対し、406の賛成で通過しているステータスで、年内や来年前半とは言わずとも、近い将来に、Jobs Act3.0 またはそれに多少の変更を加えたものがアメリカで施行される可能性が高くなっています。

Jobs Act 自体は、2015年のオバマ政権下に行われた米証券法の改正で、これによって株式型クラウドファウンディングの裾野が広がったなどの変更がありました。Jobs act 3.0は、このラインの改正のアップデートになります。いくつか条項があってややこしいのですが、重要なテーマなので、議論がされている要点ポイントをシンプルにまとめます。

「Jobs Act 3.0」で議論されているポイントの解説

第四弾:証券トークンについて知っておくべきこと「Jobs act 3.0」
※一部、修正しております

適格投資家の範囲の拡大

アメリカには適格投資家制度があることはご存知の通りで、この適格投資家に該当をする人と、そうでない人では、投資できる金融商品、投資機会が異なります。また、未上場企業も、非適格投資家には販売できる証券の金額上限も異なります。

適格投資家の条件は 過去2年間に年間所得が20万ドル(約2,200万円)または、家を除く純資産100万ドル(約1億1,300万円)でした。

この要件は一般の個人投資家にはハードルが高いものだとして、提案されている Jobs Act3.0 では、適格投資家(Accredited investor)と別に、十分な投資経験・リテラシーの認定者(qualifying education or experience)という枠組みを作るとしています。

これは実質的な適格投資家制度の緩和であり、個人の投資機会が広まることを意味します。

IPOに関わるコストを削減

IPO(Initial Public Offering)タスクフォースの報告書では、現在アメリカで上場をするためのコストは、平均で250万ドル(約2億8,000万円)程度と言われており、条件を設定して、特定の条件下では財務報告書の提出の緩和を行い、この費用を下げることが議論されています。

スタートアップや中小企業のための取引所創設

今回の論点として、より小規模の企業のための証券市場が必要であると議論されています。現在は証券市場も、そこに上場している会社の監査規定も画一的で、株主が5,000人いる会社と、株主が10万人いる会社で同じ規制がされていることは効率的ではないということ意見されています。

そのために中小企業やスタートアップのための取引所が必要だとされています。

適格投資家要件の緩和後を見据える米国のプロジェクトたち

第四弾:証券トークンについて知っておくべきこと「適格投資家要件の緩和後を見据えるアメリカのプロジェクトたち」

今回の議論は既存の公開株式市場の問題点などを大きなテーマにしていますが、当然、暗号通貨・ブロックチェーン業界にも大きな影響があります。散々議論がされているように、ICOトークンは証券になり、およびICOの売り出しも証券法に沿ったものとして今後行われるべきというのが大きな流れです。

今回議論されているスタートアップや中小企業のための取引所の創設はICOトークンの取引所もカバーするはずですし、ICO時にトークンの売り出しは主幹事会社のような存在が必要になるはずで、その際は、適格投資家要件の緩和である「qualifying education or experience investor」というトピックが影響をしてきます。

現在、コインベース(Coinbase)をはじめとした米国の取引所各社、セキュリティトークン関連プロジェクトは、Jobs Act3.0 で議論されているテーマで米国の証券取り扱いが緩和される将来を見据え、戦略を練っているはずです。

連載「証券トークンについて知っておくべきこと」
第一弾:セキュリティトークンとは何か?
第二弾:セキュリティトークンの領域にベットする主要プロジェクトリスト
第三弾:なぜ米企業はセキュリティトークンに熱心なのか?
第四弾:セキュリティトークン関連の最も重要な米国での議論
第五弾:分散型金融のプロトコルはどのようにスタックするか
第六弾:セキュリティトークンの中期予想
第七弾:セキュリティトークン情報収集おすすめサイト5選


筆者が運営する研究所サロンでは、このような動向解説から更に深い業界のビジネス分析、技術解説、その他多くの議論やレポート配信を行なっています。ご興味ある方はぜひご利用ください。

▼d10n lab 未来を思考するための離合集散的コミュニティ
https://d10nlab.com/

編集部ピックアップ

マルチシグ管理の安心・安全ウォレット