第一から四弾にかけて、セキュリティトークン(証券トークン)について広範な解説を行っています。まだまだ続編もあります。
セキュリティトークンというトピックは、ブロックチェーン業界全体で見ても、非常に大きいトレンドとして注目されており、多くの投資が集まり、それにより様々なプロジェクトが立ち上がり、規制に関しても議論されている非常に重要度が高いトピックです。
セキュリティトークンの売り出しは、IPO(公開株式市場に上場)、ICO(トークンの売り出し)に対して、STO(Security Token Offering)と呼ばれます。
前回コラムでは、セキュリティトークンに関連する米国での最重要な議論「Jobs act 3.0」などについて解説を行いました。今回は、セキュリティトークンにも関連する分散型金融に関連するプロジェクトについて大まかに解説します。
▼連載
第一弾:セキュリティトークンとは何か?
第二弾:セキュリティトークンの領域にベットする主要プロジェクトリスト
第三弾:なぜ米国企業はセキュリティトークンに熱心なのか?
第四弾:セキュリティトークン関連の最も重要な米国での議論
目次
0x(ゼロエックス)上に構築される期待のP2P金融プロジェクトの数々
イーサリアム(Ethereum)の上に走るDEX(分散型取引所)のプロトコルに0x(ゼロエックス)があります。このような分散型金融を目指すプロトコルやアプリケーションがいくつかあり、サードパーティーを排除した金融システムを見据えたプロジェクトが数多く存在します。
0xについては、筆者の下記ブログで過去に紹介しましたのでご覧ください。
▼レポート
DEXプロトコルの0xとは。分散型金融を担うプロトコルの仕組み・ZRXのモデル・エコシステム全般・課題
こういったものと併用できるプロトコルがいくつかあります。
例えば、0xで作られたDEXの上に、スマートコントラクトで表現される債権が上場したり、スマートコントラクトで複数のアセットがまとまったバスケットが上場していたりとそんな具合です。ここには当然セキュリティトークンも含まれ、0xのリレーヤーでは、The OceanやParadexは、セキュリティトークンを上場するとしています。
Dharma Protocol(債権のプロトコル)
債務証書を発行、引受、および暗号トークンとして管理するためのオープンソースのプロトコルです。
伝統的な債券市場は不透明で、独自性があり、非効率的です。
0xのオーダーブックを使っても構築可能です。
Set Procol(ETF・バスケット)
こちらはいわば、ETF(上場投資信託)を作れるバスケットです。
ERC20トークンをスマートコントラクトでロックアップして、それらをまとめてセットにしたトークンを上場させることなどができます。例えば、これを使用したTokenSetsというプロジェクトが存在しており、
- EthereumX(トップ10のERCトークンに分散投資をするセット)
- StableSet(DaiとTrueUSDのStablecoinを半分ずつにしてリスク減を狙ったセット)
- DEXset(DEX銘柄であるZRX・KNC・ASTにまとめて投資をするセット)
などを作っています。
こちらはわば上場投資信託であり、自由にETFを作成できるといえます。
The Ocean(機関投資家でも使えるDEX)
DEXリレイヤーのOceanTradeは、KYCを可能にするDEXですが、そのメリットを、DEXでありながらも、機関投資家を受け入れることができることや、ステーブルコイン(Stablecoin)を規制に基づいて扱うこと、などとしています。
関連:分散型取引所プロトコル“0x”の次期メジャーアップデートがDEXエコシステムで可能にすること
dYdX(デリバティブ)
dYdXは、分散型のデリバティブのプロトコルを作るプロジェクトです。a16z、Polychain、1confermationなどから資金調達をしています。0xでのラッパーや、不特定多数のレンダーが参加できる共有レンディングコントラクトを準備しています。
下記のビジュアルは、分散型金融のプロトコルとアプリケーションがどのように積み重なっていくかを非常にわかりやすくイメージできるでしょう。
連載「証券トークンについて知っておくべきこと」
☆第一弾:セキュリティトークンとは何か?
☆第二弾:セキュリティトークンの領域にベットする主要プロジェクトリスト
☆第三弾:なぜ米企業はセキュリティトークンに熱心なのか?
☆第四弾:セキュリティトークン関連の最も重要な米国での議論
★第五弾:分散型金融のプロトコルはどのようにスタックするか
☆第六弾:セキュリティトークンの中期予想
☆第七弾:セキュリティトークン情報収集おすすめサイト5選
筆者が運営する研究所サロンでは、このような動向解説から更に深い業界のビジネス分析、技術解説、その他多くの議論やレポート配信を行なっています。ご興味ある方はぜひご利用ください。
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