ロンドン証券取引所(LSEG)ら、株式トークン化に向けてブロックチェーン企業と共同事業へ

3625

編集部ピックアップ

ロンドン証券取引所(LSEG)ら、株式トークン化に向けてブロックチェーン企業と共同事業へ

ブロックチェーン技術を利用したクラウドファンディング(不特定多数の人から資金を募ること)というのは、ここ最近の資金調達の手段としてはそこまで珍しくはない。しかし、それを金融規制機関や大手証券取引所が着手するとなると話は別である。

ロンドン証券取引所(LSEG)らがブロックチェーン企業と共同事業へ

イギリスでは今まさにそのような出来事が起きている。ロンドン証券取引所(LSEG / London Stock Exchange Group)とイギリスの金融規制機関である金融行為監督機構(FCA / Financial Conduct Authority) が、分散型台帳技術を専門とする新興企業Nivaura社、さらにブロックチェーンによる株式発行のTwenty Thirty AG(20|30社)と提携を結んだのだ。

この共同事業は、FCAが行うレギュラトリー・サンドボックス(新規事業育成のために特定の企業に規制緩和を行うこと「規制の砂場」)の第4期に選ばれた企業(約4割がブロックチェーン技術を持つ新興企業)の中でも 注目を浴びている事業であり、その対象となるのは、機関投資家もしくは認定投資家である。彼らはロンドン証券取引所(LSEG)が管理するTurquoiseというヨーロッパ株の取引プラットフォームで従来の方法と新しい方法を組み合わせて証券の取引を行っているのだ。

共同事業の目的

この共同事業の目的は、国内企業株式のトークン化(暗号化したデータにすること)及び発行を、精巧に構築された清算・決算システム内で行えるということを、現行の取引で最初に示すことである。

20|30社の共同創設者Tomer Sofinzon氏によると、このまま行けば今年の9月に株式のトークン化及び発行を取り組んだ最初の企業となり、この事業は丸々1年続くそうだ。

20|30社によると、この取り組みの第一段階が完了したときには、株式のトークン化事業を視野に入れている新興企業と多くのコネクションが既に出来上がっているそうだ。この新興企業の中には、医療機器メーカー、製薬部門、農業関係、ソフトウェアプロバイダーなど様々な企業が含まれている。

株トークンはイーサリアムのシステムで発行されるので、この1年の期間が過ぎた頃には、少なくともこれらの取引はおそらく店頭(OTC)でも行われていることだろう。

「実現は確定的だ。この1年の期間が過ぎれば、次の段階、つまり実際に取引が可能かを確認する段階に移行するだろう」とSofinzon氏は述べた。

続々とはじまる株式トークン化事業

20|30社が始めたこの事業を皮切りに、現在では様々な新興企業が同様の事業を展開し、ブロックチェーンを利用した株式クラウドファンディングによって市場の流動性を高める試みが行われている。例を挙げると、韓国取引所が2016年にKorea Startup Marketを立ち上げ、店頭で取引を行えるようにしたことだ。

ロンドン証券取引所は、仮想通貨メディアCoinDeskへの声明で、「ブロックチェーンの開発は、中小企業の援助とLSEGの行為規範の中で譲渡・決済が可能な有価証券の発行とトークン化の為です。Nivaura社と共同で行うこの事業は、より効率的な方法で企業の資本を上げるツールを開発することが目的です。」と述べた。

株式トークン化は何をもたらす?

この事業は現職者にとって大きなステップである一方で、関連新興企業にとっても大きな恩恵を受けることにもなる。

Nivaura社はこの事業を一歩ずつ着実に進めていき、遂には債券までもが、規範に準拠した方法でトークン化し、イーサリアムのような公開ブロックチェーンで譲渡・決済できることを示した。実際のところ、Nivaura社はFCAのサンドボックスに前回の2回を合わせて、今回が3度目の参加である。

取引によって流通したトークン株を分散させることはこの事業において非常に重要なことであるが、まず取り組まなければならないのは株式クラウドファンディングの効率化である。これは、株式を発行する側と購入する側、双方の関係において非常に重要な役割を果たす。

しかし、一方で機関投資家にはまた別の対応が必要なのである。彼らが求めているのは、この場合、Nivaura社が提供し、LSEGのネットワークによって投機がなされた信頼性の高い市場インフラであり、彼らはそれによって大規模な売りオーダー・買いオーダーができることを期待しているのだ。

Nivaura社のCEO兼チーフ製品企画Avtar Sehra氏がCoinDeskとの独占インタビューで話した内容によると、

「そのうち誰かが私たちのテクノロジーを利用し、法律文書化、資産のトークン化とその譲渡を可能にするでしょう。そしてLSEGは、これらを既存の市場に引き出せるだけの先見的な考えを持っています。

とは言うものの、株式のトークン化はかなりの技術を要します。株式のトークン化に関して、それはただの暗号化したデジタル証明書にすぎず、譲渡すらできないという指摘をよく耳にします。」

とSehra氏は語った。

彼は続けて、「負債の問題に関してはもっとシンプルです。なぜならトークン自体が縛りとなっているからです。株式の扱いには必ず法の問題が関わってきますので、トークンを株式そのものにするのがそれによってかなり困難になるのです。」と述べたのだ。

株式トークンに関する法整備へ

株式トークンに関する法制度を構築することは、適法なマークアップ言語を創り、中央証券預託規制 (CSDR / Central Securities Depositories Regulation) の遵守を保証することを意味し、それはNivaura社がAllen & Overy社や、今回のFCAのサンドボックスに参加しているLatham & Watkins社のような法律事務所と現在共に取り組んでいることだ。

「トークンに関して、一度しっかりとした法制度が出来上がると、そのトークンの保持者は株式の所有権とその株式によって得られる恩恵を享受することができるでしょう。」とSehra氏は語る。

彼は目線を上にあげ、そして次の段階についても話し始めた。

「このことが株のトークン化に最も商業的で実行可能な方法だとすれば、それは一次流通を効率よくするだけでなく、二次流通も非常にシンプルに行える可能性を秘めているでしょう。この事業を来年には実現できる可能性は充分あります。」

最後になるが、ネットワーク内の決済を行う層はイーサリアムの公開ブロックチェーンで出来ているため、少なくとも技術が向上するまで、しばらくは1秒間に15回の取引しか記録できないということは頭に入れておきたい。

莫大な情報量とその処理にかかる時間は公開ブロックチェーンにおいては非常に大きな問題あるといういことはSahra氏も認識している。しかし彼は「2~3年先のこのプロジェクトの目標としては申し分ない」と述べた。

彼は最後にこう結論づけた。

「産業の発展により、世界は資産のトークン化へと足を進めています。これはもはや避けられるものではあません。イーサリアム(ETH)なのかビットコイン(BTC)なのかは問題ではありません。基盤となるインフラはそこまで重要ではないのです。しかし、ブロックチェーンであるかどうかは注目すべき重要な項目です。」

参考:CoinDesk

編集部ピックアップ

マルチシグ管理の安心・安全ウォレット