米国:USバンコープに6億1300万ドルの罰金!マネーロンダリング対策の怠りが要因

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米国、USドルイメージ

米銀業界で第5位のUSバンク持ち株会社「U.S.バンコープ(U.S.Bancorp:以下USB)」は、資金洗浄対策を故意に怠ったとして、司法省から6億1300万ドルに上る高額の罰金を科せられた。司法省は2018年2月15日、刑事および民事上の容疑についてUSBと司法取引(和解)が成立したとの声明を発表した。

その中でUSBは2009年から2014年にかけて、傘下金融部門で適切な資金洗浄対策を取らず、不審な多数の取引を見過ごし、隠ぺいしたと指摘された。

AML対策の不備を認め、高額の罰金支払いで和解

声明によると、USBは財務省、通貨監督庁(OCC)、連邦準備理事会(FRB)に対して、4億5300万ドルの罰金を支払うことで合意した。USBは傘下のU.S Bank National Associationを通じて、2009~2014年の期間に不適切なマネーロンダリング対策(AML:アンチ・マネー・ロンダリング)を意識的に実行した。USBは疑わしい多くの取引を見つけられず、規制当局の目をごまかすため、それら取引の過失を隠ぺいしたという。

2009年の記録によると、USBのコンプライアンス最高責任者は、「疑わしい取引を監視する仕事は、危険な程度まで精一杯の状態だった」と訴えている。司法省によると、「USBがこの問題を米通貨監督庁に隠そうとしたため、警告は大方無視されてしまった」という。

USBのアンドリュー・セシール社長兼最高経営責任者(CEO)は、司法省との交渉の中で、「われわれは当行のAML対策で、不備があったことを遺憾に思い、責任を負う。当社の倫理感と完全主義は、より良い仕事をするよう求めている」と語ったという。

司法取引の結果、司法省はUSBが合意の条件をすべて実行することを前提に、同銀に対する告訴容疑を2年間取り下げることで合意した。USBはこれに対して、問題に対処するため近年取ってきたAML政策を再点検することになった。

消費者金融業でレーサーのスコット・タッカー被告の不正も見逃す

USBと顧客との不正な関係を物語る有名な話がある。
USBは2011年から2013年にかけて、消費者金融業でレーシングカー・ドライバーのスコット・タッカーの不正な金融業活動に対する報告義務を怠った。タッカーは大規模の不正な金融活動で逮捕され、2018年1月に上級審で「インターネットを利用して35億ドルの不正な消費者金融を行った」罪で、刑期16年の有罪判決を受けた。

タッカーはUSB口座の20億ドルを資金にして消費者金融を営み、最高1000%のローン金利付きで主としてネイティブ・アメリカンら数千人を対象に不当な利益を稼いでいた。

タッカーはさらに、別荘やフェラーリ・レーシングチームなど、私的な支出に先住民の名前を利用した偽造のUSB口座などから数百万ドルを不法流用した容疑に問われた。USBは、司法省から2013年に召喚状が出されるまで、タッカーのこれらいくつかの危険な兆候を無視するか、報告しなかった。マンハッタン連邦地検のジェフリー・バーマン判事は、USBのマネーロンダリング対策を「極めて不適切」と断じている。

2年間のAML対策見直し結果次第で検察告発は取り下げに

USBのアンドリュー・セシールCEOは「われわれは今日整えたAMLの力を信じている」と述べた。

連邦検察庁との和解は、米銀行秘密保護法が定める2件の重罪に関する2年間の不起訴合意が含まれる。USBがこの2年間にAML見直しを強化する努力を十分完結すれば、連邦政府は告発の取り下げを求めることになる。この合意には、ニューヨーク連邦地裁判事の承認が前提となる。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

参考:
REUTERS
USA TODAY