米国政府機関が約6.3億円を費やし、仮想通貨ユーザーの実態を調査していた

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米国政府機関が約6.3億円を費やし、仮想通貨ユーザーの実態を調査していた

調査・研究会社のDiarが公文書を解析して公表した。それによると、米国政府の関係機関はブロックチェーン解析を行う複数の請負業者への業務委託契約費として、総額570万ドル(約6億3,800万円)を支出していた。

仮想通貨の関連調査費を支出する機関、1位は内国歳入庁

さまざまなツールとユーザーが資金を匿名で送金することができると主張する個人的な仮想通貨もあるが、ほとんどすべての仮想通貨ユーザーは、相応のツールがあれば十分追跡されてしまい、調査官は居ながらにして、そのウォレットが誰のものかを知る情報を取得することができる。

実在の身元を知りうるサービスあるいは個人の匿名の仮想通貨アドレスが露出してしまうと、科学捜査専門家なら仮想通貨ユーザーのウォレットすべてをのぞき見することはたやすいことだ。こうしたプライバシー侵害は、身元確認を必要とする仮想通貨取引所で、資金を出入金すれば容易に起こりうることだ。

調査結果によれば、米政府関係機関の中で、このような資金を最も支出している機関は、連邦所得税を徴収している内国歳入庁(IRS)である。IRSは仮想通貨科学捜査プロバイダーと9件の契約を結んでいるが、支出総額の38%に相当する約220万ドル(約2億4,800万円)を提供しているという。

トランプ政権の不法入国、不法就労規制強化で移民税関捜査局の支出増

CCNが2017年に伝えたところでは、IRSは仮想通貨追跡業者と契約して、納税申告書に仮想通貨投資により所得を正確に申告しなかった投資家を調べ上げた。IRSに次いで多額の支出をしている機関と言えば、連邦捜査局(FBI)、麻薬取締局(DEA)あるいは証券取引委員会(SEC)を思い起こすかもしれないが、実はそうではない。

驚くかもしれないがそれは移民税関捜査局(ICE)なのだ。ICEは言うまでもなく、政府の移民受け入れ政策執行機関であり、米国に居住する外国籍の移民が関係する主として犯罪行為を捜査している。トランプ政権になって以後、特に不法入国者に厳しく対処しており、特に不法就労者に目を光らせている。その政策の一環として、彼らが関係する仮想通貨もひそかに監視されている訳だ。

ブロックチェーン追跡企業が大モテ、2018年から調査依頼費が急増

そのICEは、仮想通貨取引にかかわる調査にIRSに次いで2位の150万ドル(約1億7,000万円)を支出して、9件の契約を結んでいる。ちなみに3位はFBIで12件、110万ドル(約1億2,400万円)を契約している。一方、SECは、さまざまな仮想通貨絡みの不正行為や不法なICOを取り締まっているが、資金の流れを追跡するためつぎ込む資金は18万5000ドル(約2,085万円)と意外に少額だった

特に注目されることは、仮想通貨市場は2017年末から約70%ほど下落したにもかかわらず、これら調査費が2018年に一挙に3倍ほど膨れ上がっていたことである。ちなみにマネーロンダリング(資金洗浄)など犯罪防止に関連して、ブロックチェーン上の取引の分析・解析ソフト開発で知られる企業Chainalysisは、政府支出の93%、530万ドル(5億9,800万円)を受注している。

思わぬ政府契約と相まって、ブロックチェーン追跡企業は投資家の投資対象として注目され始めている。この分野のスタートアップ企業は、総額2,900万ドル(約32億7000万円)を調達している。この面で最も高額の資金を調達した企業は、前述のChainalysisの1,700万ドル余りとだという。

(フリージャーナリスト、大手マスコミOB記者:長瀬雄壱)

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参考
CCN

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