出典:Vault公式サイトより
VAULTがモバイルウォレットをリリース
VAULTというスタートアップが、クリプトコレクティブルズ(Crypto Collectibles)特化のモバイルウォレットをリリースをしました。
Crypto Collectiblesとは、主にERC721などNon Fungible Token(NFT)で表現されるゲームアイテムなどのトークン化です。
クリプトキティーズ(CryptoKitties)をはじめとするその他の多くのイーサリアム(Ethereum)関連のゲームも、ERC721という規格のトークンを使用しています。この規格に準拠した形では、NFTという新しいタイプのトークンを扱えるというところに特色があります。
Non Fungible Token(NFT)とは
アリスの持っている1000円とボブが持っている1000円は、どちらの1000円も常に同じ1000円でありこの状態をファンジブルといいます。
これはビットコインも同じであり、アリスの持っている1BTCとボブの持っている1BTCは同じ1BTCでのはずです。基本的に誰が持っている1BTCも同じ1BTCも同じであり、ほとんどファンジブルです。これを代替可能性があるというわけです。
これに対して、Non Fungible Tokenとは、ファンジブルでないこと、つまり代替可能性がないことを前提にしています。そのトークンそれぞれに色をつけられるという仕様です。
筆者のブログでもより詳しい解説をしています。
→EthereumのNon Fungible Tokenが切り開く未来、将来の応用のされ方について。
こういったユニークなトークンでゲームアイテムや、デジタルアイテムを表現することはすでに一般的になっており、これらを総称して「クリプトコレクティブルズ(Crypto Collectibles)」と呼びます。Vaultは、そのCrypto Collectibles特化のウォレットです。
基本的な機能は、コインベースウォレット(Coinbase Wallet)やトラストウォレット(Trust Wallet)と変わらず、Dappsブラウザもついていますが、UI/UXがよりCrypto Collectiblesに向いている設計になっています。
ユニークなブロックチェーンベースのウォレットの台頭
こういったある領域に特化したコンセプトウォレットがいくつか出てきています。
例えば、下記のAlphaWalletは、チケットに特化したウォレットです。
出典:AlphaWallet公式サイトより
ERC875の規格から開発をして、現実世界に即したブロックチェーンベースチケットなどのシステムを開発しようとしているシンガポールのスタートアップです。
Coinbase WalletやTrust Walletなどの垂直統合型の多機能ウォレットの他、ブラウザのエクステンションでウォレットがつくようなタイプのbraveやoperaがあり、それらの隙間のニーズを埋めるようなコンセプトウォレットが生まれているというのが現在の状況と言えるでしょう。
隙間を埋めるコンセプトウォレットとは、今回のようなNFT特化に寄せたウォレット、ライトニングネットワークウォレットなどを指します。これらのウォレットが生き残れるかどうかは今後注目です。
関連
・ビットコイン(BTC)のプライバシー保護に強力な新ツール「わさびウォレット」が登場
・クレジットカード型のハードウェアウォレット「Coolwallet」が登場
・仮想通貨の議論でよく聞く「Non-Fungible Token (NFT)」とは?特徴や使われ方などをわかりやすく解説
参考
・Vault
・AlphaWallet
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