ベネズエラの石油裏付けトークンICOから見える未来の世界

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ライトニングネットワーク_イメージ

Junya Hirano 平野淳也(@junbhirano

先日、ベネズエラは石油裏付けトークンのICOを、今年2月20日に開始することを発表しました。

ハイパーインフレのベネズエラが仕掛けるICO

国家発のICO最速はエストニアではなく、ベネズエラということになります。
調達規模としては6000億円ということになり、実行されると、過去最大のICOになります。
なお、執筆時点(2月1日)で、ホワイトペーパーは確認できませんが、同プロジェクトには大統領署名もされ、明確な国家プロジェクトです。

※追記(2月2日)
ホワイトぺーパーがでたとのこと|平野氏Twitterより

ベネズエラ議会議員のホルヘ・ミラノ氏によると、

「これは、暗号通貨ではない、これはベネズエラの石油の先売り売却です。暗号通貨、あるいは新しい通貨を発行するようなグレーなものではない。」

と述べています。

ベネズエラはハイパーインフレ国家でもあり、アメリカから経済制裁されてる国家でもあります。石油輸出国機構(OPEC)が1月18日に公表した集計によると、2017年のベネズエラの原油生産量は日量207万2000バレルで、2016年比で約13%減少しました。

産油国は昨年、OPEC主導の協調減産を2018年末まで延長することで合意しましたが、ベネズエラは6年続く原油生産の減少に歯止めを掛けることができずにいます。なお、ベネズエラは外貨収入の96%もを石油産業に依存しています。

また、同国は、現在、最もハイパーインフレになっている国で、その模様を簡単に表すと、先月300円で売っていたパンが、今月になったら800円になっているというくらいのインフレ、つまり、ベネズエラ紙幣の価値が原価し続けています。

石油決済通貨のアメリカドルを外すことでもある

さて、このICOは財政破綻危機にある国の再建の手段というだけでなく、石油決済通貨は米ドルという絶対的な暗黙的了解を覆すことでもあり、その点は議論されていないですが、あとから重要な論点になる筈です。

アメリカが何故強いか、その一端は、ドルが基軸通貨だからです。
何故、基軸通貨なのか、その理由は背景にある軍事力がまずひとつ。
アメリカが毎年財政赤字でも、日本はアメリカと付き合わないといけないので、米国債を購入するわけです。

次に米ドルが石油決済通貨だからです。
なぜ石油決済通貨かはこれまた軍事力や様々な密約の歴史があります。

石油は、米ドル決済が国債市場で暗黙の了解なのです。
ここで、暗号通貨がベネズエラに提示したものは、既存の市場を一切通さずベネズエラが石油を売れるかもしれないという可能性です。

暗号通貨であれば、完全にP2Pで決済できますので、経済制裁でアメリカの同盟国がベネズエラの銀行取引を中止しようが、少なくともトランザザクションを発行できます。需要さえあればですが、P2Pで石油を前売りできるということです。

ベネズエラがここまで考えてるかは定かではありませんが、暗号通貨はこのような可能性を提示しています。

ベネズエラのトークンはこういった背景を引っくりかえすかもしれず失敗するかも知れませんが、半世紀後の世界は変わるかもしれません。

すぐに世界が変わることは無理でしょうが、アメリカドルが大戦後に世界のゴールドの70%を保持して、同時に石油決済の基軸の地位を獲得してからの歴史は70年くらいです。これから半世紀後はどうなるか分かりません。

こういったことを考えると、世界に暗号通貨が多く普及し、あらゆるものがトークン化すると、一番不都合なのは、現在基軸通貨の地位を持っているアメリカでしょう。

それは、これから数年でより顕著になるはずです。