仮想通貨の現状とこれから必要ものとは?:a16z cryptoのポッドキャストを紹介

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今回は、仮想通貨のを取り巻く現状やオープンソースの歴史について議論が交わされたa16z crypto のポッドキャストを紹介。議論の内容を要約してお届けします。

はじめに:このポッドキャストについて

Sonal Chokshi氏:
今日のエピソードは、a16z cryptoのジェネラルパートナーのChris Dixon氏と、コインベース(Coinbase)のCEOであり共同創設者の(Brian Armstrong)氏とのAnnual Innovation Summitにおけるディスカッションに基づいている。

このディスカッションでは、「今私たちはどこにいるのか?」という質問から始まり、「仮想通貨に関する全体的なヴィジョンを描くために何が必要なのか?」、「仮想通貨を取り巻く厳しい環境での会社創り」、「オープンソースの進化の歴史」、「暗号技術の興味深い応用」などさまざまなテーマについて議論した。

仮想通貨の現状とは?

Sonal Chokshi氏
私たちにとっての緊急の問題は、人々が暗号技術に取り組み、それを利用して何かをしようとしている今、暗号技術を使って何ができるのかということだ。

Brian Armstrong氏:
依然として暗号通貨を利用する目的の90%は投資や投機だ。それらが最初に暗号通貨に興味を持つきっかけとなっているというのは素晴らしいことだ。しかし、もっと興味深いのは10%の実用的な面について考えることだ。それについて話したいいくつかの例がある。

1つ目は、これから何が起きるのかということについて大衆の知恵を借りることができるグローバルな予測市場「Augur」だ。このようなことは以前には不可能だった。2つ目は新興市場だ。例えば、人々が商品を購入したり安定した通貨を持つことができず、国を出ようとすると国境警備員に財産を差し押さえられてしまうベネズエラのような市場のことだ。

Chris Dixon氏:
私の全体的な感覚では、過去40年間でコンピュータの世界に大きな変化が起きている。つまりPC、インターネット、そしてモバイルだ。モバイルは2005年くらいだったか。これらは技術系の人々の相棒のようなものとなった。また他にも多くの新しいものが出てきた。

熱狂的なアーリーアダプターは最終的にはそれらが大衆に受け入れられると思っていたがそうはならなかった。もちろんiPhoneやAndroidは別にして。まだスケーラブルなスマートコントラクトプラットフォームのような基本的なインフラストラクチャは揃っていない。さまざまな取り組みが始められているが、私の見解ではまだアーリーアダプターが熱狂している段階にある。

Brian Armstrong氏:
確かにまだダイヤルアップモデムの時代のような感じだ。ネットワークのスケーラビリティを実現し、ボラティリティに対処し、アプリのユーザビリティを改善する必要がある。ユーザビリティについては、例えば長いパスワードのようなアドレスの代わりに人間が読める文字列を使ったりといったシンプルなことだ。

仮想通貨イメージ画像

ボラティリティが最大の問題の1つ

Sonal Chokshi氏:
実際の所ボラティリティが最大の問題の1つだ。最近も80%程度の下落があり、ニュースでは「仮想通貨は終わった」と叫ばれた。これまでも「ウェブは終わった」とか「Eメールは終わった」といったようなことが言われてきたが、このボラティリティの問題にはどのように対処することが可能か?

Brian Armstrong氏:
ボラティリティは投資家にとっては特徴の1つであり、交換手段として使う人にとっては不具合だ。仮想通貨はどちらにとっても最も良いものだ。いくつかのコインは非常にボラティリティが高いが、ステーブルコインと呼ばれる価格が安定した新しいタイプの仮想通貨も出てきている。今日聞いたDAIもその1つだ。これは本当に重要なイノベーションだ。「tech light/audit heavy」と呼ばれるモデルは、銀行口座に保有しているドルと1対1で対応させるというシンプルなアイディアだ。

最近コインベースは、ステーブルコインのプロジェクトを持つ仮想通貨企業コンソーシアムの会員になった。ステーブルコインは、ボラティリティの問題を解決するだけでなく、スマートコントラクトの一部としてプログラム可能なドルでもある。決済に使用するコインの価値は安定している必要があるからだ。そのようなコインをイーサリアムの世界に組み込むことができる。

仮想通貨を法定通貨と紐づけることについて

Sonal Chokshi氏:
経済学者のポール・クルーグマン氏のような人は、ステーブルコインについて詳しくは知らないかもしれないが、価格を安定させるために仮想通貨のような抽象的なものをドルと紐づける(ペッグする)ことは頭がおかしいと言うだろう。そういった人々に対してどのように説明したらよいだろう?

Brian Armstrong氏:
シンプルな説明がある。私たちは文字通りドルをアメリカの銀行口座に保有し、そのドルと1対1に対応したトークンを発行する。この説明ならほとんどの人にとって十分理解しやすい概念だろう。
DAIのように、コインの発行や破棄を行う独自の中央銀行を持っているコインもある。

Chris Dixon氏:
例えばDAIは、1年以上運営している。根底にある資産は非常にボラティリティが高いがDAIの価格は安定したままだ。興味があるならビットコインやイーサリアムのホワイトペーパーを読んでみるのもいいだろう。私にとって最も興味深いのはMakerDAOだ。価格を安定させるためにそれらがどのように設計されているのか知ることができるだけでなく、人々がどのような議論をしてきたのかという本当に良い例でもある。

MakerDAOのDAIは実際に運営されている。そしてそれはコードに過ぎず、開発者でさえコントロールすることはできない。コードが、コントラクトを清算し、ローンを組み、ステーブルコインを発行し、すべての複雑なことを実行している。そういったプロジェクトについて最も良いことは、サトシがビットコインを創ったように、ステーブルコインの考案者たちは実際にそれを創り、スタートさせたということだ。人々はそれについてもっと良い方法が無いかさらに考えるようになり、このような未来的な概念を使って他に何ができるのか活発に議論されるようになった。

ビットコインとドル

暗号技術業界における企業のあり方について

Sonal Chokshi氏:
すでにステーブルコインは運営されていて、自律分散型の組織も存在している。イノベーションの歴史や古典的な企業の理論に関するいくつかの論文について考えてみると、今は企業の未来について再び考えるべき時のように思う。一歩下がって、コインベースのような今日存在する企業について見てみよう。仮想通貨に関して言えば、なにか宗教かカルトのように思われている面がある。Satoshi Nakamotoが予言者で、ホワイトペーパーは聖書、マイニングは何かの儀式という感じだ。このような環境の中でどのように企業を創っていったら良いか?

Brian Armstrong氏:
部族主義は人間の深いところに根差している。政治や国家、チームスポーツにおいてもそうだ。企業はその1つに過ぎない。コインベースには多くの人が関わっているが、オープンな金融システムを創るという非常に魅力的なミッションがそれを可能にしている。それはインターネットのようなもので、グローバルかつ分散化されていて、誰もそれを所有することはできない。インターネットが情報を移動させる代わりに、価値を移動させる。私たちはそれが、イノベーション、平等な機会、経済的な自由、資産に対する強固な権利のように、世界に対してあらゆる種類の利益をもたらすと考えている。

Sonal Chokshi氏:
ブライアン・アームストロング氏は古典的な企業を経営しているというが、このディスカッションの前に登壇した元コインベースのリンダ氏からは反対のことを聞いた。すでにコインベース・マフィア(Coinbase出身者)が多くの興味深い取り組みを始めている。インテル式やトヨタ式といった企業独自の方式が知られているが、コインベース式はどのようなものか?

Brian Armstrong氏:
ミッションに集中することに加えて、私たちはフィンテック企業だ。37%をエンジニアが占めている。また強力な法務部門も持っている。それらをまとめていくためのコインベース式は4つある。

1つ目はコミュニケーションだ。簡潔で率直であり、良い聴き手となれる人を探している。効果的に情報を伝達し仕事に役立てる。

2つ目はポジティブなエネルギーだ。将来に対して楽観的になり、そこにたどり着くために決心し、内在的な動機を持つ。オープンな金融システムを創る上では多くの挫折がある。やろうとしているのは世界全体の経済の再発明だ。あらゆる挫折を機会と捉え楽観的に受けとめる必要がある。

3つ目は学び続けることだ。私も非常に熱心に学んでいる。CEOを務める間エグゼクティブコーチに付いてもらっている。学ぶ機会はとても多い。

4つ目は効果的な実行だ。私たちはより少ないものによってより多くのことを実現しようとしている。80:20の分析や自動化など、優先順位について常に考えている。これら4つがコインベースのカルチャーを構成している。

今の仮想通貨業界に足りないこと

Sonal Chokshi氏:
Chris Dixon氏、投資家として、またCoinbaseの役員の1人として、今まで多くの企業や仮想通貨のプロジェクトを見てきたと思うが、足りない部分は何だと思うか?

Chris Dixon氏:
宗教的なカルトという面について言えば、仮想通貨が誤解されているということがある。人々はそれが犯罪に利用されるものだと思っていたり、ビットコインしか無いと思っていたりする。さまざまなプロジェクトがあるが、どのようなメッセージを発信し、人々をこの動きに巻き込んでいくかが重要だ。本当に上手くいくようにするためにはプロダクトマネージャーとマーケターが必要だ。仮想通貨業界はまだエンジニアと企業家の段階にあり、誤解を解いていかなければならない。というのも仮想通貨は非常に強力なテクノロジーだからだ。

非常に強力な仮想通貨技術は、オープンソースとのアナロジーで捉えることができるだろう。オープンソースは政治的な運動として80年代に始まった。それがLinuxのような技術的な運動に変わっていったが、Microsoftを含めほとんどすべての人に見落とされていた。暗号技術に関しても同じことが起きている。暗号技術によって、企業の代わりにコミュニティが所有する本当に新しいデジタルサービスを構築することができる。しかし、無政府主義や反政府主義のような誤解を受けている。その誤解を解くことでより多くの人をこの運動に呼び込むことができるだろう。

コードイメージ画像

Sonal Chokshi氏:
オープンソースの話を持ち出したことは興味深い。というのもMicrosoftはGithubを買収し、IBMはRedHatの買収を発表した。Microsoftの元CEOであるスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏はかつてはオープンソースは癌のようなものだと言っていたにもかかわらず。

Chris Dixon氏:
今やすべてのAndroidフォンはLinuxだし、ソフトウェアの半数はオープンソースだ。これは仮想通貨とよく似ていると思う。起業家や若い人にとっては非常に大きな機会だ。これは良いニュースだ。一方、人々を納得させ正しい情報を伝える必要があるというのは悪いニュースだ。

仮想通貨業界をあるべき形にしていく上で必要なこと

Sonal Chokshi氏:
現状について見てきたが、私たちが到達したい場所に行くための方法についても考えてみよう。ボラティリティの他に、教育やコミュニティ作り、そして誤解を解くことなどが出てきたが、他に足りていないインフラストラクチャや特徴はあるか?

Brian Armstrong氏:
仮想通貨は、実用フェーズというよりは投資フェーズにあるが、今後は毎日10億人が利用するオープンな金融システムにしていきたいと考えている。それは5年以内に可能だ。一生懸命取り組まなければ、それが10年、あるいは20年になるかもしれない。

投資フェーズにおいても、法定通貨を簡単に仮想通貨に交換できるようにするためにはまだまだやるべきことがたくさんある。今日、33カ国で事業を行っているが、100カ国に増やしたいし、ロングテールの支払い手段にも対応したい。小売りだけでなく、90%の資本を持っている機関を呼び込むにはもっと多くのことが必要だ。私たちはSECの規制に基づいたカストディアンを立ち上げた。SECのライセンスを受けた取引所も必要だ。ブローカーやディーラーもだ。投資フェーズは鉄道のレールを敷いたり、インターネットのケーブルを引くような作業だと考えている。

広く普及するための臨界点を越えなければならない。より多くの人が参加するようになればネットワーク効果によってさらに多くの人がやってくる。そうすれば実用フェーズに入っていけるだろう。私たちは、人々が新しい種類の分散型アプリを開発できるようにしている。実用フェーズに入れば、P2Pのローンアプリやゲームなど数千のアプリが作られるだろう。

新しい世代は、通帳の形をした銀行口座を持たずに、スマートフォンがその役割を果たすようになる。良いアイディアを持っていれば誰もがお金を得ることができる素晴らしい世界になり、支払いはもっと速く安くなる。金融サービスはアメリカのGDPの9%を占めているが、トランザクションごとに2%の手数料がかかり、別の銀行口座への送金に3日かかる必要はない。新しいインフラストラクチャができればこのような非効率は無くなるだろう。

投資イメージ

Sonal Chokshi氏:
鶏と卵の問題のようにも思える。ネットワーク効果は、より多くのユーザーが集まればネットワークの価値が高まるというものだからだ。スケールできなければより多くのユーザーを獲得できないが、スケールするためにはより多くのユーザーが必要となる。スケーラビリティというボトルネックに対してはどのような対処が可能か?

Chris Dixon氏:
ある仮想通貨のネットワークは、約10件のトランザクションを1秒程度で処理する。この問題に対処するために多くの興味深いアプローチが提案されている。もう1つの良いことは、すべてはソフトウェアの問題だということだ。ソフトウェアとハードウェアは大きく異なる。インターネットの普及に時間がかかったのは、文字通り穴を掘りケーブルを埋める必要があったからだ。

今日、私たちはモバイルフォンを持っており、高速のネットワークがある。鶏と卵の問題のようなものはあるが、5年から10年で臨界点を超え、ビットコインになるかステーブルコインになるかわ分からないがインターネットの通貨を持つようになる。インターネットは広告に依存してしまったため、ユーザーと企業、そしてその他のもろもろが一致していない。

Sonal Chokshi氏:
その問題は繰り返し議論されてきたものだ。広告ベースのモデルを越えて、本当に新しい方法を探さなくてはならない。

Chris Dixon氏:
広告はGDPの3%程度で非常に小さい。純粋にビジネスの視点で考えると、トランザクションに基づいたモデルは劇的に大きな機会への門戸を開くだろう。

中央集権と分散の関係性

Sonal Chokshi氏
中央集権と分散の関係については?

Brian Armstrong氏:
コインベースはオープンな金融システムまたは分散型の金融システムを創ろうとしている。しかし、私たちは中央集権的な企業であり、10億(ドル)以上の仮想通貨を管理している。オープンな金融システムであっても一部は中央集権的な部分が残る。私たちがしているのは、人々に選ぶ権利を与えることだ。

SMTPによって世界中のすべてのEメールプロバイダーが相互運用でき、それによって誰もが無料でEメールを送れるようになった。それと同じように、Coinbaseで仮想通貨を購入することができる。仮想通貨を送金したい場合、共通の基準に基づいてその他のウォレットや取引所に送金できる。Coinbaseのウォレットは完全にユーザーが管理する。分散化することで可能になった選択はユーザーの手にゆだねられている。

Sonal Chokshi氏:
中央集権と分散について、選択のパラドックスについて伺いたい。ビットコインとイーサ以外に、Coinbaseはさらに多くのコインを上場するための新しいプロセスを創ろうとしているが、人々がビットコインとイーサの違いも分からない段階でそのような決定をした理由は何か?またどのようにして人々に案内するのか?

Brian Armstrong氏:
人々といってもさまざまで、ビットコインについて聞いたことはあるが所有したことはないという人もいる。しかし、顧客から受ける一番のリクエストはもっと多くのコインを取引したいというものだ。株式市場のように、顧客は複数のコインに投資したいと考えている。

分散化イメージ

その他ブロックチェーン関連の興味深いプロジェクトは?

Sonal Chokshi氏:
仮想通貨のファイナンスや支払い、そして送金について話すことから離れてみよう。それらは明らかに最初の決定的なユースケースだった。それ以外に、わくわくするようなプロジェクトについて1つか2つ聞かせてほしい。

Brian Armstrong氏:
ちょっとブレーンストーミングしてみよう。1つは、人々はあらゆる種類の資産を証券化したいと考えている。ブロックチェーン技術によって家や芸術品に対する部分的な所有権を持つことができる。これは興味深いことだ。

Sonal Chokshi氏:
つまり、物理的な家がブロックチェーンによって証券化されるということ?

Brian Armstrong氏:
その通りだ。物理的な資産のように。他にも、空港などでWi-Fiにアクセスしようとするとパスワードが必要になるが、クレジットカードは使いたくないという場合、いくらかの仮想通貨で支払い自動的にアクセスポイントに接続することができるというようなことが考えられる。

私が注目している最大の領域は新興市場だ。人々はさまざまな新しいタイプの分散型アプリを開発している。インターネットには「いいね」ボタンのような機能があって、偽のポイントで評価し合っている。しかし、それらが実際の価値を持つようになるとしたらどうだろう。仮想通貨によってインターネット上の通貨を再創造することができるだろう。

Chris Dixon氏:
ビデオゲームのビジネスを見てみると、10年前は50ドルのコンソールゲームや、広告バナーの付いたFlashベースのゲームだった。AppleとAndroidのおかげでモバイルアプリになり、PCの側にも変化があってSteamのようなマイクロペイメントモデルが出てきた。

League of Legendsのような10億ドル以上の歳入のあるゲームもある。それも、見た目にしか関わらないアイテムの購入によってだ。こういったビジネスモデルのイノベーションがクリエイティビティを解き放ち、ゲームデザイナーはそれによって高い報酬を受け取った。音楽や文章、動画など、他の分野に目を向けると、彼らはインターネットによってビジネス状況が悪くなったと言う。これは適切なビジネスモデルを見つけられていないからのように思う。例えば、何か文章を書いて、それがすぐに30億人の人に読まれるということが実際に起こり得るだろう。

クラウドファンディングによって新しいアイディアを試してみることも可能になった。クリエイティブな人々が暗号資産を使った新しいビジネスモデルを考案するための実験が行われていくだろう。革新的な企業が新しいやり方を見つけ、それが瞬く間に広まってきたという歴史がある。

クリエイティブのイメージ画像

Sonal Chokshi氏:
人々の創作活動を民主化するというビジョンは素晴らしいと思う。また、創作者だけでなくファンもマネタイズが可能となる。他にも今までできなかったさまざまなことが可能になる。これは非常にわくわくするようなことだ。「Augur」について1つ質問がある。予測市場の重要性は何か?そこにおいて仮想通貨が果たす役割は?

Brian Armstrong氏:
大衆の知恵を得られるということとインセンティブが一致しているということが重要だ。これは今まで不可能だったことだ。世界に対して質問を投げかけることができ、世界中の人がそこに賭ける。その中にはより多くの情報を持っている人や優れた分析を行う人がいる。それらの人々の正体を知ることなく、2万人のランダムな人々が集合的な知識を持ち寄ることで次に何が起きるのかということについてより良い予測が可能になる。

これまでこのようなことの妨げとなってきたのは、決済方法だ。特に世界的な規模で考えたときに、リーチできる企業が少なかったということだ。インターネット上の通貨によって世界中の人をリアルタイムで参加させることができればそのようなことが可能になる。

Chris Dixon氏:
このようなことは規制され法律に従う必要が出てくるだろう。しかしそれは本当の問題ではない。本当の問題はそれをどこに構築するのかということだ。中央集権化されたシステムの場合、プラットフォームがルールを変更するとどのようなことが起きるのかをこの2,30年で経験してきた。TwitterにしてもFacebookにしてもそうだ。最終的にはすべての価値をネットワークが持って行ってしまう。Augurのようなシステムが素晴らしいのは、これが純粋にプロトコルであり、起業家はその上に何かを構築して利用することができるという点だ。真に公共の目的のためになっている。

非常に素晴らしいことが今起きている。私たちはそれをコンポジショナリティと呼んでいる。MakerDAOやdYdX、そしてAugurがその例だ。これらはレゴブロックのようだ。人々はそれらを新しい方法で組み合わせることができる。そのようなものが10個や100個、そして1,000個あれば新しい組み合わせが指数関数的に増えていく。そしてそれらのコードは公開されているのだ。人々はこのようなオープンソースの力を過小評価しているが、これがLinuxが権利を勝ち取った理由だ。そしてそれはインターネットが発展したのとも同じロジックだ。

Sonal Chokshi氏:
文字通り「組み合わせによるイノベーション」だ。人々は原始のスープの材料を組み合わせてまったく新しいものを生み出すことができる。

仮想通貨業界イメージ

仮想通貨業界に入った理由

Sonal Chokshi氏:
そろそろまとめに入ろうと思う。そもそも仮想通貨業界にやって来た理由は何か?

Brian Armstrong氏:
1つ目は、コンピュータサイエンスと経済学を学んでいたことだ。ソフトウェアが産業に破壊的な変化をもたらすことに興味を持っていた。

2つ目は、2009年にアルゼンチンのブエノスアイレスで1年過ごしたことだ。ハイパーインフレーションが起きた国の実情について目にした。レストランに入ると、値段を書いたシールが何枚も重ねて貼られていた。値段が変わるたびに毎週メニューを印刷するわけにはいかないからだ。

3つ目は、40人かそこらの時代にAirbnbにジョインし、支払いを統合する仕事をしていたことだ。そこでグローバルな決済システムがどれほど非効率なのかを目にした。各国が独自のシステムを持っていて、それらをパッチワークのようにつなぎ合わせて使っていた。またそれらを改善するインセンティブも無かった。ドキュメントを読んでも実際に手数料がいくらになるのか分からないようなシステムもあった。完全に不透明で、Eメールを送信するようにはいかなかった。

そこで2010年にビットコインのホワイトペーパーを読んだ。それは私の想像力を捉え、過去5年間で読んだ中でもっとも重要なもののように思われた。それからビットコインのミートアップに参加した。すでにいくつかの仮想通貨取引所があり、参加するのが遅すぎたと感じたが、それからプロトタイプを創り、後にコインベースになった。

Chris Dixon氏:
何かを始めるのに遅いということはない。シリコンバレーでは新しいホットなものが次々に現れてきた。AIやVR、自動運転もそのようなものだろう。

Sonal Chokshi氏:
Brian氏とChris氏に改めて感謝する。そろそろ終わりにしなければいけないが、「遅すぎるということはない」というのがこのディスカッションの一番の収穫かもしれない。

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