ブロックチェーンを活用し学位詐称を防ぐ取り組みのBlockcertsとは?

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ブロックチェーンを活用し学位詐称を防ぐ取り組みのBlockcertsとは?

「学習するほどトークンがもらえる」ブロックチェーンのオンライン学習サービス「PoL(ポル)」を運営する、株式会社techtecの田上です。

前回の記事より数回に分けて、ブロックチェーンの活用が進んでいる「学位の詐称」問題について紹介していきます。第2回となる今回は、学位の詐称をブロックチェーンで解決しようとしているアメリカのプロジェクト「Blockcerts」についてです。

第1回:ブロックチェーンの活用が進む学位の詐称を防止する取り組み

Blockcertsとは

Blockcerts(ブロックサーツ)は、MITメディアラボやラーニング・マシン(Learning Machine)社を中心に開発された、学位管理のプラットフォームです。特徴としては、学位の管理にブロックチェーンを活用している点があげられます。ブロックチェーンの耐改ざん性を利用することで、学位の詐称問題に取り組んでいるプロジェクトです。

Blockcertsでは、学位だけでなく資格なども管理できるため、デジタル証明書が普及した時代の総合的な管理プラットフォームとしての台頭が期待できるでしょう。既に、バーミンガム大学やバーレーン大学、マルタ共和国などの多くの機関や国に採用され、実証実験が進められています。

今日、企業に提出される学位や資格証明書などの半数以上が偽造されているとの調査結果が出ています。こういった状況では、本人が学位証明書を持参したとしても、それが本物であるかどうかを企業側で判断できず、大学や機関にいちいち問い合わせなければなりません。しかし、問い合わせた場合でも個人情報保護の観点から教えてもらえない可能性が存在し、こういった無駄な確認コストが日に日に膨れ上がるばかりな状況になっています。

ブロックチェーンを活用したBlockcertsの仕組み

Blockcertsのプロトコルは、ビットコインとイーサリアムのハイブリッド型になっています。(基本的にはビットコインプロトコルを使用する部分がほとんどです)ブロックチェーンにデータを記録する場合、トランザクションごとに手数料が発生します。

そのため、Blockcertsでは複数の学位をまとめてハッシュ化したハッシュ値でマークルツリー(Merkle Tree)を構築し、トランザクションのアウトプットにOP_RETURNを利用して256bitのマークルルート(Merkle Root)を記録しています。

Blockcertsのマークルツリー構造

Blockcertsのマークルツリー構造

Blockcertsのマークルツリー構造

学位の発行機関は、各学位に受取人の情報を記録し、それらをまとめてハッシュ化してマークルツリー内に取り込みます。マークルツリー内に学位のハッシュ値が含まれていることを証明するために、学位はMerkle Proof Signature Suite 2017プロトコルに準拠した形式で作成されています。

マークルツリー内に格納される複数の学位は、ビットコインプロトコルによって100KBのトランザクションとして制限されます。Blockcertsによると、これはおよそ2,000人分の学位に相当するということです。Blockcertsで用いられる証明書の構成要素には、学位の他にレシートと呼ばれるものが存在します。

まず、学位には以下の情報が含まれます。

  • 受取人の氏名
  • 学位の発行機関
  • 発行した日付などの基本情報

学位が発行されるまでの過程は次の通りです。

  1. 受取人の氏名と発行機関、基本情報を含んだ学位を作成
  2. 発行機関の秘密鍵で学位に署名し、その署名を学位に追加
  3. 学位のハッシュ値を生成
  4. 学位のstateをブロックチェーンに記録。このとき、発行機関の秘密鍵で再び署名

一方、レシートには以下の情報を含まれます。

  • マークルツリーに格納されるトランザクションID
  • ブロックチェーンに記録されるマークルルート
  • 学位のハッシュ値
  • 受取人の学位からマークルルートまでのマークルパス(上図のオレンジ色の部分)

このレシートを用いることで、「学位のハッシュ値が受取人の持つハッシュ値と一致するか」や「マークルパスが正しいものであるか」、「マークルルートが改ざんされていないか」といった項目を検証することができます。

このような仕組みにすることで、ブロックチェーンに格納された学位を用いて以下の項目を検証することが可能になります。

  • 学位は誰に発行されたのか
  • 発行機関はどこなのか
  • 学位自体の内容は有効なのか

Blockcertsで使用される証明書の構成要素

Blockcertsで使用される証明書の構成要素

Blockcertsを共有フロー

ブロックチェーンの特徴として、個人のデータを個人に帰属させることができる点があげられます。Blockcertsでも、作成された学位を持ち主自身のコントロール下に置き、簡単に他者へ共有できるようになっています。多くの既存SNSやメールプロバイダに対応しており、リンクをシェアするだけで共有が可能です。

卒業予定の学生の場合、スマホアプリの「Blockcerts Wallet」をダウンロードすることで、大学からデジタル化された学位を受け取ることができます。就職活動の際は、企業に対してリンクをシェアすることで学位を提出することができ、企業側は、専用のWebサイトに提出された学位をアップロードすることで信憑性を確認することが可能です。

その際の検証プロセスは以下のようになっています。

  • 検証したい学位がマークルツリー内に存在するか確認
  • 学位のハッシュ値とレシートに記録されているハッシュ値が一致するか確認
  • トランザクション内のマークルルートの値と学位に記録されているマークルルートの値が一致するか確認

Blockcerts解説図

Blockcerts Walletを介することで学位を簡単に共有可能

以上の方法で、学位が改ざんされておらず有効なものとして使用できるか、発行機関が正しいかといった項目を検証することができるのです。

参照
Blockcerts
Blockcerts Github

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