エストニアが計画した仮想通貨「エストコイン(estcoin)」プロジェクトの今後

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エストニアが計画した仮想通貨「エストコイン(estcoin)」プロジェクトの今後

エストニアは、世界でも特化していると言えるほどの IT先進国だ。すでに、国民による行政手続きなどは、ブロックチェーン技術を活用したうえで、申請をオンライン上で行うことができる。

そして、エストニアでは、仮想通貨関連の企業を広く受け入れると公表したうえで、エストコインの開発が発表された。国による仮想通貨の発行は、ベネズエラのペトロなどの先例があるが、エストコインは異なった性質を持つことになると見られている。

エストコイン(estcoin)仮想通貨開発計画を縮小

エストコインは、エストニアが開発を示唆した仮想通貨だ。しかし、エストコインは国が価値を保証する法定仮想通貨とは性質が異なるものになるだろう。

エストコインは、ペッグ通貨と呼ばれる法定通貨と等価交換が可能な仮想通貨ではない。ペッグ通貨は、企業がその価値を担保しており、企業が消滅すれば、価値がなくなる。エストコインは発表された当初はエストニアが発行し、価値を保証する法定仮想通貨を目指していた。

しかし、今後エストコインが開発された場合、エストニアの独自のシステムであるeレジデンシー(電子居住権)内相互的に使用可能な通貨となる見通しだ。また、エストニアには独自の法定通貨が存在しない為、ペッグ通貨を作成することそのものが難しく、ビットコインなどと同じように価値が大きく変動する性質を持つことになると予想できる。

エストコインがエストニアの法定仮想通貨となり得ないのは、エストニアがEUに加盟し、ユーロを使用していることに大きな原因がある。ユーロ圏の条約で、EUに加盟する全ての国々の共通通貨はユーロでなければならないとされている為だ。

もし、エストコインがユーロと互換性のもつ仮想通貨となった場合、EUの条約に違反することになり、EUとしては特例だとしてもエストコインだけを法定仮想通貨と認めるわけにはいかない。加えて言えば、エストニアの独自通貨開発の発表の直後、ユーロとの等価交換は欧州中央銀行のトップであるマリオ・ドラギ氏から強く否定されている。

エストコインが法定通貨となる可能性はゼロに近くなった。しかし、エストニアの電子国民などの限られたコミュニティ内で使用できるものとして、エストコインが発行される可能性はある。もっとも、法定通貨との互換性はおろか、仮想通貨取引所への上場などは可能性として低く、エストコインは市場に流通しない可能性が非常に高いと言えるだろう。

エストコインの使い道、今後の考察

エストニアは、ソ連に属していた国であり、EUに所属することで安定した経済を手に入れたという一面がある。もし、エストコインの発行や自国の経済成長を促すために、EUから離脱した場合、EUの形成する経済圏からはじき出され、国としての体制を立て直す必要がある。

仮にEUから離脱した場合、エストニアのメリットは非常に少ない。エストニアの優れた技術力が他国に流出することになる上に、経済的な圧力がかかる可能性が非常に高いだろう。そして、国としての豊かさを失ったうえでエストコインを発行しても、価値を担保できるものがないという事態になることは想像に難くないと言える。

しかし、経済的な発展という意味では、エストコインに無理にこだわる必要はなく、エストニアの開発力を用いれば、ブロックチェーン技術をサービスとして展開する方法などの方が有効だと言えるだろう。

エストコインの今後については、ユーロに基づいた仮想通貨の発行は条例によって規制されており、エストコインが法定仮想通貨となることは難しいだろう。今後、エストニア政府がエストコインをどう扱っていくかは不明だが、ICOなどの大規模な資金集めは厳しい状況だ。

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参考:Cryptonomist