ゲームやデジタルアートなどに特化した新しいブロックチェーンFlowとは?

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ゲームやデジタルアートなどに特化した新しいブロックチェーンFlowとは?

ゲームやデジタルアートなどに特化した新しいブロックチェーンのフロー(Flow)のメインネットの公開を控え、コインリスト(CoinList)ではトークンセールが実施されました。

新しいブロックチェーンのFlowとは?

Flowはクリプト・キティーズ(Crypto Kitties)など著名なブロックチェーンゲームを複数リリースした実績を持つダッパーラボ(Dapper Labs)社によって開発されている新しいブロックチェーンです。

Dapper Labs社はゲームやトレーディングカードゲームなどのブロックチェーンアプリケーションをこれまで3年以上にわたりイーサリアム(Ethereum)上で開発をしてきましたが、イーサリアム上のトランザクション性能をはじめとする課題に直面してエンターテイメント向けあるいはコンシューマ向け特化のブロックチェーンの必要性を認識したことがFlowのプロジェクトのきっかけになっているといいます。

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公式サイト
Dapper Labsサイト

Flowのコンセプトとイーサリアムの課題

Flowはエンターテイメントをはじめとしたコンシューマ向けアプリケーション特化のパブリックブロックチェーンです。コンシューマ向けアプリケーションとは具体的には、ゲーム・デジタルアート・トレーディングカードなどが主です。これらのアプリケーションは日本でも人気で、マイクリプトヒーローズ(My Crypto Heros)など世界でも人気のゲームが国内企業から登場している他、暗号資産交換業者のコインチェックもゲームアイテムトークンなどを取引できるNFT交換所のリリースを計画しています。

2020年現在、こういったブロックチェーンアプリケーションのほとんどはイーサリアム上で構築されています。しかしFlowは、このようなコンシューマアプリケーションに特化してこの分野でイーサリアムより優れた開発環境を構築することをコンセプトにしています。Flowの開発主体であるDapper Labs社自身もブロックチェーンゲームなどをイーサリアム上で開発してきましたが、今後はこれまで開発したアプリケーションをFlow上に移植することを発表しています。

コンシューマアプリケーションにとって、イーサリアムのデメリットはトランザクション手数料のgas代が高いこととスケーラビリティの課題です。特に執筆時点では、イーサリアム上の金融アプリケーションが人気でトランザクション手数料の高騰が目立ちました。金融アプリケーションのユーザーが100万円のトランザクションのために数千円の手数料を支払うことは合理的な場合もありますが、ゲームアプリケーションを利用するユーザーが数千円のトランザクション手数料を支払うことは多くの場合、納得できるものではありません。

またDapper Lab社は、将来Ethereum2.0がリリースされても、スケーラビリティの課題は残るだろうことを予想しています。Ethereum2.0は64のシャードブロックチェーンの集合ですが、各シャード同士のトランザクションが困難で、ブロックチェーンアプリケーションの利点であるコンポーザビリティ(あるアプリケーションが同じブロックチェーン上に存在する別のアプリケーションを機能の一部を柔軟に取り入れること)が失われてしまうと懸念しています。これらを懸念してコンシューマアプリケーションに特化したブロックチェーンFlowの開発が始まっています。

FlowではPoS(プルーフ・オブ・ステーク)のコンセンサスメカニズムを採用し、シャーディングやレイヤー2を取り入れないでスケールをする志向をしています。シャーディングやレイヤー2スケーリングソリューションによるユーザーエクスペリエンスの悪化を回避することが目的です。

コンシューマオンボーディングの容易さが特徴

Flowの特徴的な点は、メインストリームユーザーにリーチするアプリケーションのインフラを意識している点です。

Flowはコンシューマアプリケーションに利用されることを前提としているブロックチェーンであり、ブロックチェーンに慣れていないメインストリームユーザーにも使われるアプリケーションの開発インフラストラクチャーを志向しています。

その特徴の一つは人間が可読可能なセキュリティを実現できるブロックチェーンインフラストラクチャーであることです。イーサリアムを始めとする現在のブロックチェーンでは、トランザクションを実行した後に承認されなかった場合、なぜそれが実行できなかったのかをウォレットが通知することは困難です。また分散型アプリケーション(DApps)のスマートコントラクトがユーザーのウォレットに対して署名を要求したときに、どのような権限を渡すかをユーザーに正確に通知する設計にはなっていません。

Flowのブロックチェーンはウォレットプロバイダがこれらに正確に対応できる設計に工夫されています。また、ユーザーが秘密鍵を紛失すると資産を失ってしまうブロックチェーン特有の問題については、アカウントのソーシャルリカバリーなどの機能を標準装備しています。

Flowは人気ブロックチェーンゲームの開発会社であるDapper Labsが開発するコンシューマアプリケーション専用のブロックチェーンということだけあり、メインネット公開後に注目されるかもしれません。

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平野 淳也
大学在学中に起業した服飾事業を2016年に譲渡。現在は貿易業、ビットコインなど暗号通貨投資、ベンチャー投資などを行っている。ブログオンラインサロンでも情報を発信中。仮想通貨については投資、世界をどのように変えていくのか両面から考える。ツイッター@junbhiranoでも情報発信中。