スケーリング問題を巡るオンチェーン/オフチェーンの議論をわかりやすく解説

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スケーリングを巡るオンチェーン/オフチェーンの議論をわかりやすく解説

五月雨まくらです。
この記事では、スケーリング問題のソリューションに関する議論をわかりやすくお届けします。

スケーリング問題とは?

現在、ビットコインやイーサリアムを初めとする多くの仮想通貨は、スケーリング問題に直面しています。スケーリング問題とは、取引量の増加により、取引手数料の高騰や取引速度の遅延が起きることです。例えば1秒間にビットコインは6~7件の取引(トランザクション)、イーサリアムは約15件の取引(トランザクション)しか処理することができません。これでは世界中の取引需要に対応するのが難しいことは簡単にイメージできると思います。

ライトニングネットワークはまだまだ不確実

ビットコインのスケーリング問題を解決するための手段としてもっとも知られているのは、ライトニングネットワークと呼ばれるオフチェーン・スケーリング・ソリューションです。ライトニングネットワークはものすごく簡略化して説明すると、取引の最初と最後だけオンチェーン(ブロックチェーンを利用する)で行い、毎回の取引はオフチェーン(ブロックチェーンを利用しない)で処理する方法です。

しかしライトニングネットワークはまだまだ実験段階であり実用化できるステージにはありません。そしてもし実用化されたとしても、ライトニングネットワークが正しく機能するかどうかはわかりません。ライトニングネットワークは非常に大きな注目を集めていますが、まだまだ不確実な技術なのです。そのためオフチェーン・スケーリング・ソリューションではなく、オンチェーン・スケーリング・ソリューションについても考える必要があります。

ブロックサイズの拡大というソリューション

オフチェーン・スケーリング・ソリューションとして有名なのはビットコインキャッシュのブロックサイズの拡大です。ブロックというのは取引(トランザクション)が格納されるデータのまとまりです。

ビットコインのブロックサイズは1MBと決まっています。それに対してビットコインキャッシュは、現在32MBの容量を持ちます。当然、ブロックサイズが大きいほど1回のマイニングで承認される取引(トランザクション)の数が多くなります。

2017年11月のCraig Wright博士の論文は、ネットワークに影響を与えることなくオンチェーン・スケーリングをどのように実現するかについて述べています。また現在のハードウェアの制限でも10年後の需要を満たすには十分であることを示しています。さらにシュミレーションの1つでは、ブロックサイズを300GBまで拡大させることができるとさえ論じています。

もともとSatoshi Nakamotoが提唱したビットコインの仕組みはとてもシンプルなものでした。ソフトウェアの世界では、複雑性が増すほどバグが多くなることは常識ですので、ライトニングを初めとする複雑なオフチェーン・スケーリング・ソリューションよりもブロックサイズの拡大というシンプルな方法によってスケーリング問題を解決する方が理にかなっているとみることもできます。

なぜビットコインはブロックサイズを拡大しないのか?

ブロックサイズの拡大がスケーリング問題に対するもっともシンプルなソリューションであるならば、なぜビットコインはブロックサイズを大きくしていないのでしょうか?さまざまな議論がありますが、ここではその理由を2点あげたいと思います。

理由1:過去のチェーンと互換性がなくなる

ブロックサイズを拡大しようとすると、従来のブロックチェーンと互換性がなくなってしまいます。ビットコインは過去に1度もハッキングされたことがありません。ビットコインの価値はそのような安全に対する信頼性によって保たれています。もしブロックサイズを拡大して新しいチェーンに分岐してしまうとそのような安全性が崩れてしまうかもしれません。そのためビットコインはそのようなリスクをとることができないということです。

理由2:一部のマイナーに権力が集中する

ブロックサイズが拡大して、1度のマイニングで処理できる取引(トランザクション)の量が増えるということは、マイナーの負荷が増えることを意味しています。つまり処理能力の高いノードを運用しないとマイニングに参加して利益をあげることが難しくなります。そのようなノードを運用できるのは資金力のある法人が筆頭ですので、権力の集中化がおこり、ネットワークが分散的じゃなくなる恐れがあります。

五月雨の結論と考察

スケーリング問題の解決は、仮想通貨スペースにおいてもっとも優先度が高いといっても過言ではないでしょう。ブロックサイズを拡大すれば早急に問題を解決できるのですが、文中で述べたようにビットコインはそのリスクをなかなかとれない状況にあります。

しかしそのリスクをすでにとったビットコインキャッシュの社会実験がスタートしているので、ビットコインコア陣営がビッグブロックを必ずしも採用する必要はないと思います。

今はやはりいわれているように、ライトニングなどのオフチェーン・スケーリング・ソリューションに注力して、それがうまくいかなければ、ビッグブロックも検討するという方法で良いのではないでしょうか。

関連
期待のライトニングネットワークは時期尚早?支払い実験をやってみた!(2018/8/6)
ビットコインキャッシュ(BCH)ハードフォーク実施後、メリットがある一方で懸念も?(2018/5/29)

参考
Reddit
CoinGeek

★現在、これまでの外資系コンサル、ライター経験を活かし、仮想通貨やライティング、ブロックチェーンのSkype無料相談の活動(ボランティア)を行っています。気になる方はTwitterのDMにて相談を無料で受け付けてますので気軽にどうぞ。■五月雨まくら(@samidare_makura)

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