世界の中央銀行が発行するデジタル通貨の開発はどこまで進んでいるのか?

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世界の中央銀行が発行するデジタル通貨の開発はどこまで進んでいるのか?

日銀の雨宮正佳副総裁は最近、中銀が発行するデジタル通貨に否定的な見解を示しました。雨宮副総裁は、デジタル通貨が既存の金融システムに与える影響を十分評価しなくてはならず、「現時点でデジタル通貨を発行する計画はない」と語りました。

言うまでもなく、中銀が独自のデジタル通貨を発行すれば、仮想通貨市場に大きなインパクトを与えます。ここではデジタル通貨に何らかのコミットメントを明らかにしている国の思惑などを調べてみました。

中銀が発行するデジタル通貨つまり法定デジタル通貨(CBDC=Central Bank Digital Currency)は、政府の監督機関が発行・管理する仮想通貨です。関係各国のスタンスはそれぞれ微妙な差異があり、CBDCそのものばかりでなくは発行までの手続き、発行後の管理などで立場の違いがあるようです。

仮想通貨の発行に消極的なヨーロッパ

EU:EUはCBDCについて概して「静観の構え」です。欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は18年9月、「ECBおよびユーロシステム(Eurosystemはデジタル通貨を発行する計画はない」と明言しました。同総裁は続けて、「現在、法定通貨の補完となるような通貨の発行によってもたらされる結果について慎重に分析している」と述べるにとどまっています。

スイス:スイスは仮想通貨ハブの実現を目指し、規制も緩やかでツーク市を中心に「クリプトバレー」の開発を目指しています。スイスはしかし、CBDCの有用性には疑問を呈しています。スイスは当社、eフラン(e-franc)というCBDCの発行に関心を示していましたが、2018年6月、スイス国立銀行(SNB)のトマス・モーザー総裁は、CBDCをコンパクトディスク(CD)と比較して、有用性に消極的な見解を述べています。

スウェーデン:CDBC発行に前向きの中銀のリクスバンク(Riksbank)は17年12月、eクローナ(e-Krona)プロジェクトの第2段階の行動計画を発表しました。e-Kronaはそこで、「電子的決済手段」であり、「法定通貨を補完する」と位置付けられました。e-Kronaが発行される否かは決まっていません。

英国:イングランド銀行のマーク・カーニー総裁は18年5月に公表された調査報告書の中で、「CBDC発行の見通しにオープンマインドだが、近い将来発行されることはない」と語っています。

法定デジタル通貨の発行に向けて動くアジア

中国:中国人民銀行(PBoC)は、2017年にデジタル通貨研究所を設立して、CBDCについて調査研究をしてきました。PBoCは18年9月、南京に研究所を新設、10月には仮想通貨関連の専門家4人の新規募集を発表しています。またファン・フェイ副総裁は、CBDCの開発を急ぐとの見解を明らかにしています。

香港:香港行政府は18年5月、すでに有効な決済インフラが存在することを理由に、近い将来CBDCを発行する計画はないと発表しています。香港は国際決済銀行(BIS)が公表した報告書にある「大口資金決済にCBDCを実装するとの提案は、既存のインフラストラクチャーと共通点が多く、それに明白に勝るものではない」との見解を踏襲しています。

シンガポール:中銀に相当するシンガポール金融管理局(MAS)はCBDCのテストを進めていると報道されていますが、発行される気配はありません。MASは17年6月、シンガポールドル連動トークンを発行するProject Ubinを発表しましたが、実施に直結するまでに至りません。

インド:最近になってCBDC発行に積極的で、インド準備銀行(RBI)はルピー連動のデジタル通貨発行の有用性を分析する部門間グループを設置しました。特に発行コスト面でルピー紙幣(18年の発行コストは約100億円)よりCBDCの方が優位ではないかとの調査を進めています。

仮想通貨の発行をめぐるその他の国の動きとは?

カナダ:カナダ銀行など関係機関はさまざまな調査報告書の中で、CBDCの発行に関する明確な立場を明らかにしていません。同銀は18年7月、「CBDCは利子が付く可能性など一定の潜在的利益になる可能性がある、CDBCを発行する福祉利益は、0.64%と推定される」と含みのある報告書を発表しています。

イラン:イランは米国の経済制裁に対抗するため、独自のデジタル通貨発行を真剣に検討しています。特に米国の圧力でSWIFT(国際銀行間通信協会)からイランを除外した11月以降、独自仮想通貨発行が強いられる状況になっています。これは同様の理由で18年2月、ペトロ(Petro)を発行したベネズエラ、米国に対抗してクリプトルーブル(CryptoRuble)発行をちらつかせるロシアにも言えることです。

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