ビットコインコミュニティでは、11月に控えたハードフォーク、Segwit2xについての議論がさかんです。

ここから起きるシナリオはいくつか考えられるものの、現時点では誰にも正確な予想は出来ません。

さらに、考えられるシナリオの中であまり意識されていないのがビットコインキャッシュの存在です。

本稿では、Segwit2xの騒動において可能性のあるシナリオのひとつである、ビットコインキャッシュ移行シナリオを考えようと思います。

沈黙を保つマイナーと、Jihanのツイート

Segwit2xの開発者がリプレイプロテクションを入れない仕様のコードを公開したり、それについての脆弱性をコア開発者が指摘したり、混乱が起こったのが10月前半です。

しかし、この間影響力のあるマイナーは沈黙を保ったままです。

NYAのシグナルを出したままですが、最新の状況については、なにもコメントをしていないまま、今を向かえています。

なお、F2POOLのみに至ってはNYAのシグナルも消し、Segwit2xのサポートを停止をしました。

ちなみに、F2POOLは、ビットコインのSegwitを比較的早い段階で受け入れ、ライトコインのSegwitアクティベートのときも許容してきた、マイナーです。

さて、ここで沈黙を保っていて、最も注視しなくてはいけないのは世界で最も大きなハッシュレートを持つBitmain社でしょう。

同社CEOのJihan(ジハン)氏は、市場に影響を与える発言をしばらくしていませんが、ここ1~2ヶ月の彼のツイートを見ると、実はほとんどビットコインキャッシュのことしか呟いていません。

他、同社が販売しているマイニング機器であるAntminerをビットコインキャッシュのみ支払い対応したりしている様子を見ると、NYAを放棄していないものの、ビットコインキャッシュを支持していることは間違いありません。

Segwit2xよりまともなビットコインキャッシュの開発体制

ビットコインキャッシュ自体は開発もしっかり行われているようで、先月はテストネットで1GBのブロックがマイニングされたようです。

実際のメインネットでは、大きいサイズが必要になるほど利用されてないじゃないかという批判を浴びつつも、ビッグブロックの実験を着々と進めています。

Jeff Garzik氏1人に開発がゆだねられてしまっているSegwit2xより、よほどまともな開発体制です。

また、ビッグブロック派はそもそもSegwitを否定してきたのですから、Segwitが実装されていないビットコインキャッシュのほうがSegwit2xより、思想に相応しいともいえます。

当然、Jihan氏をはじめとしたビッグブロック派マイナーは、その事実に気がついていないはずがありませんし、ビットコインキャッシュに深く関わっている可能性もあるでしょう。

マイナーは何を考えているのか?

しかし、ビットコインキャッシュをマイニングしようにも、現状ビットコインキャッシュの価格はビットコインの1/10以下です。

ビットコインに注いでいるハッシュパワーを全て移しても収益性が見合わないので、現状ビットコインキャッシュを本格的にマイニングすることは出来ないでいるという状況です。

つまり、Antmainerをビットコインキャッシュのみ支払い対応にしたなどの一連の動きは、自身のハッシュパワーを動かさないで、なんとかして、ビットコインキャッシュの価格を上げようとしていると読み取ることが出来ます。

同じく、ビットコインキャッシュをサポートするロジャー・ヴィア氏も、彼の会社のBitcoin.comのブログから、ビットコインキャッシュこそが本当のビットコインであるという記事を投稿しています。

彼もここ数ヶ月の間、Jihan氏と一緒に映った写真がSNSに何回かアップされており、恐らく何かしらやり取りは続けていることは間違いないでしょう。

もしもビットコインキャッシュの価格が上がったら

いずれにしても、今のビットコインキャッシュの価格ではBitmain社も身動きがとれないというのが、実際のところだろうと思われます。

しかし、ここでもしビットコインキャッシュの価格が「何か」をきっかけに上昇トレンドに入ったらどうでしょう。

ビットコインブランドを襲名できずアルトコイン扱いになりそうなSegwit2xコインをプッシュするNYAを放棄して、ビットコインキャッシュでビッグブロックを実現させようという動きになるのではないのでしょうか。

Jihan氏も、これは可能性があるシナリオのひとつとして確実に考えているでしょう。

このシナリオの実現のためには、ビットコインキャッシュの価格が、「なにか」をきっかけに上がる必要がありますが、それが何なのかは分かりません。

筆者個人的には、最も支持するビットコインは、スモールブロックのセカンドレイヤー技術を使ったスケール方法のものですが、このシナリオはベターシナリオのように思います。

Segwit2xの体制は、非常に企業的であり、オープンソースの暗号通貨の開発体制としても許容できないものが多く含まれます。

であれば、ビットコインキャッシュをサポートしてもらうほうが遥かに良いし、ビッグブロックでのスケーリングの実験も、それはそれで行われるべきというのが、筆者の持論でもあります。

しかし、このシナリオが現実になった場合、コアのビットコインはビットコインキャッシュにマイナーが移動したことで、ハッシュレートが一気に減り、ブロックの採掘が遅れる期間があり、大暴落は免れないでしょう。

ただ、それも致し方ないとも思っており、その理由は、やはりSegwit2xがビットコインとして扱われるより、遥かにましなシナリオだからです。

いずれにしても現在のビットコインは、価格は元気ですが、あまりいい状況とは言えません。