イーサリアム2.0へのアップデートを控え、企業がなぜ注目するのか?

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イーサリアム2.0へのアップデートを控え、企業がなぜ注目するのか?

大阪で開催されたデヴコン5(Devcon5)にてイーサリアム(Ethereum)2.0へのアップデート内容が明かされた。トランザクション処理速度の向上や、スケーラビリティ問題改善の為のインセンティブ設計の変更など、これまでの問題を解決し、更なる実用化に向けて進もうとしている。さらに、2019年12月4日頃には次期大型アップデートとなる「イスタンブール」も控えており、イーサリアムをプラットフォームとしたソリューションに関心を示す企業も増えているようだ。

PoSへの移行による改善内容

イーサリアムのネットワークは順調に稼働を続けていたが、スケーラビリティとトランザクションの処理速度という点においては、他のプラットフォーム型ブロックチェーンと比較した際には遅れを取っていた。その原因の一つとして挙げられるのが、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)のアルゴリズムを利用していることが関係していると考えられる。

このような現状を打破するための新しいコンセンサスアルゴリズムとしてプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用し、より循環しやすいエコシステムを構築するようだ。PoS移行により、バリデータが承認処理を行うことになるが、そのためには最低でも32ETHを保有する必要がある。また、バリデータが不正を働いた際には、監視役のチャレンジャーが報告をすることで、バリデータがステークしていた金額を没収する形で報酬を代わりに受け取ることができるといった不正防止策も加えられる。

イーサリアム2.0までのロードマップ

フェーズ0の段階として、2020年1月3日に予定されているビーコン・チェーンの実装では、バリデータを管理するシステムの追加が予定されている。将来的にはシャードチェーンと同期し、スケーラビリティ問題を解決していくことになりそうだ。段階は6つのフェーズに分かれており、主な実装の予定は次の通りとなっている。

  1. フェーズ0:ビーコン・チェーン実装(シャード未実装)
  2. フェーズ1:EVMを介さない基礎部分のシャーディング実装
  3. フェーズ2:EVMのステート(状態)推移機能実装
  4. フェーズ3:ステートプロトコル用のライトクライアント実装
  5. フェーズ4:各シャードをまたいだトランザクション
  6. フェーズ5:メインチェーンのセキュリティ強化
  7. フェーズ6:指数関数的シャーディング

分散型金融の可能性

イーサリアム2.0が完全に使える状態になると、まったく新しい金融モデルである分散型金融(DeFi:Decentralized Finance)の仕組みが有効となっていく。現在の金融業界は圧倒的に中央集権的に管理されており、当事者間のマッチングができない仕組みになっている。DeFiアプリの開発が進んでいる有名なプロジェクトとして、Uniswap(ユニスワップ)、Dharma(ダルマ)、Compound(コンパウンド)などが存在している。これらは、第三者の承認を得ることなく、ユーザー同士でトークンの交換やお金の貸し借りを既に可能なものにしている。

また、よりネットワーク処理が高速化するという単純な業務効率化によるインセンティブを引き起こすことができるため、このアップグレードの一番の恩恵を受ける分野に成り得る可能性がある。そのためにはスケーラビリティ問題とトランザクション速度の向上の2点をクリアできるかが大きな鍵を握っている。

このアップグレードが成功するかどうかは、時が経てばいずれ分かることであるが、他のブロックチェーンプロジェクトの方がより速く適合させてくる可能性もあるため、時間がかかりすぎたり、リスクが大きすぎる場合はプロジェクトを完全に中止した方が良い場合もあるようだ。しかし、成功した暁には、イーサリアム2.0は既存のシステムと技術インフラを再構築するほどの画期的な存在へと生まれ変わる可能性もある。

イーサリアム(ETH)の価格・相場・チャート

参考
Sharding roadmap
Why Enterprises Are Paying Attention As Ethereum 2.0 Unfolds

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