8月1日にビットコインはハードフォークにより分裂しました。

この分裂を経て、今まで通り利用できるビットコインに加えて新たにビットコインキャッシュ(BCH)という仮想通貨が誕生しています。

一連のビットコインの分裂騒動では想定外の事態に至らず一安心ですが、8月1日の分裂前に取引を行っていた方は突然の下落に驚いたのではないでしょうか。

夕方頃に現物取引の価格が突如50,000円ほどの下落を記録し一時騒然となったのを筆者も覚えています。それから価格は回復し本稿作成時点では1ビットコインあたり305,000円付近を推移しています。

今回の下落は先月の下落とは異なり分裂の不透明感嫌気して価格が下落したのではなく、むしろ予定通りイベントを消化したに過ぎないのに価格が落ちたように筆者は思います。

このような局面では「上がると思っていたのに。なんだか相場って難しいな」と感じてしまった方も多いのかもしれませんが、背景が理解できればそれほど恐れる必要はありません。

不安だから価格は急落する


相場が急落するパターンは大きく二つに分けられます。

一つは、投資対象に対してネガティブな材料が突然現れ、市場がパニックになり下落するパターンです。

たとえば、株式であれば決算が予想以上に悪かった、為替なら経済指標の結果等が悪化した、という具合に市場が想定している金融商品の先行きが暗くなると、今の価格は正しい価格より割高であると認識が修正され、価格が下落します。

すなわち価値<価格となるため、価格が価値を追いかけるように下落するという仕組みです。

もう一つは、不安心理を利用した仕掛け的な売りです。仕掛けとは、需要と供給の偏りに着目しパニック的な売買を誘うような取引手法の事をさす、言わば駆け引きの一種です。

そしてこのところのビットコインの下落は、明確な材料があるというよりはこのような駆け引きによって乱高下しているというのが筆者の見方です。

しかしこの場合は価格<価値となるため、中長期的には価格は元の水準に押し戻されていきます。

一般的にこのような駆け引きがいつも成功するわけではないので、このような仕掛け的な売りを成功させるためにはいくつかの条件が必要となります。筆者が考えるものでは

・市場の不安心理が高まっているタイミングであること
・参加者の資金量に偏りがあること
・仕掛ける方向がわかりやすいこと
・相場のポジション(買建、売建)が傾いていてストップロス(損切り)が出やすいこと

などが挙げられます。

今回に限らずビットコイン相場は上記の条件を満たしやすいため、本質的な価値とは無関係に乱高下してしまうのです。


人間はわからない状況を不安に感じます。したがって短期的な値動きに想定外があると、根拠に従って判断をするのではなく、判断をしてから根拠を探してしまいます。

ビットコインの分裂は前例がなく不安感が高まっていたため、今回の下落は不安に乗じて売るタイミングを待っていた参加者が売った、というべきでしょう。

8月1日は事前の予定通りに友好的にビットコインが分岐するイベントだったのですが、過去の情報がアップデートされないままインターネット上に出回っていたり、事実を歪曲して悲観的な投資判断を吹聴していた取引参加者がいたため、直前に「本当に大丈夫か」と不安な投資家が投げ売りに転じる気配が相場にはありました。

仕掛けるなら分岐直前までに売り方向で一回あるかもしれないな、というアイデアが頭の片隅にあれば、今回の下落はあまり不可解な行動ではなかったと感じます。

このようなケースは今後も起こりうるため、ビットコインのシステム上のトラブルや取引所のハッキングなどは、仕掛け的な売りが出やすいと頭の片隅に置いて冷静に対応するように心がけましょう。

投資家なら投機には付き合わない

これまでの失敗とはおさらばしよう!
投資初心者が行う失敗の一つに、事前に中長期的に運用を行う計画で買ってみたものの突然の下落で決済をしてしまい、気が付いたらもっと高いレートになっていた、ということがあります。

短期的に利鞘を取りに行くトレードを行うのか中長期的な投資を行うのかによって、下落局面での対応は異なりますし、事前のルールを守れば慌てることもありません。材料が不透明で乱高下が大きいビットコインに投資するのであればなおさらです。

自分が想定する時間軸が長ければ長いほど、意図しない調整(突然の下落)に対峙する機会は多くなります。じっくりコツコツと投資を行うなら、そのような時こそ買い増しを行うチャンスと言えるでしょう。